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 御前会議の後、対策を進める関係各所に意見を求められて城内をあちこち動き回る事になっていた。


 なんでもこれだけ大掛かりなアンデッド対策を行う事が無く、ギルドや教会も他に手一杯で手を出す事は出来ないとのこと。


 なら疾風の面々にという意見もあったが、法外な金額を提示されて断念したとか。

 

 依頼しなくてよかった。


 宰相が頭を撫でながら安堵していたというアンジェの言葉を聞いた時はお茶が気管に入って酷い目にあった。


 宰相、大変なんだな。


 今度育毛剤を差し入れしようと口に出したらアンジェにちょっと微妙な顔をされる。


 なんでも大半の心因は皇帝陛下の親バカだそうで、親バカを受けてるアンジェがなんとも気まずそうであった。


「今度私がガツンと言ってあげるわ!」


 とルイスは言っていたが、それ、兄バカなお前が言っても説得力ないぞ。


 と心の中で呟いたらアンジェに言われてしまった。


「それじゃロイド様にも妹バカなのを言わなきゃいけませんね!」


 と言われてしまった。


 2人して慌てて「ちょっとまて」とか「それはいいの!」とか慌ててるとクスクス笑って


「冗談です♪」


 と言われてタジタジになってしまった。


 そんな風に戯れる事もあるが、基本的に会議の後から二日間はずっと気を張る必要があったので、それは一つの気分転換になっていたのだろう。


 幸いにして警備の呼び出しはなかったのだが、呪いに対する研究やそこへの対抗策の研究、また会議では上がらなかった事だが、孤児院で暴走した子供達の肉体面の変化に対する調査にも関わる必要があったため、通常ではとてもではないが終わらないようなことであった。


 そもそも、そういった実験等には色々な書類や許可が必要になり予算も必要になる、通常この類の研究を行うには年単位で時間をかけて行うことなのである。


 それではとても間に合わない、その性質への対策がアンジェであった。


 皇帝の名代、それが意味するところは自らの責任でその場で許可を出す事が出来、自らの責任で臨時の予算を使う事が出来る事である。


 自らの責任というのは悪用した時に裁かれるという事、また大きな事を行い結果が出なかった時にもある程度の責任を問われるという事である。


 その代わりにそこでの成功は莫大な利益を生む。


 その大きさが大きいほど利益も大きくなるのである。


 チャンスであり、特大のピンチ、それを任せられた時大抵の皇族は慎重になる。


 慎重に準備を行い、程々の成功を積み上げて一歩ずつ信用を重ねていく。


 それが名代を受けた時の普通なのである。


 しかし今回、この火急の事態においてアンジェは周囲の人間を驚かせた。


「ロイド様が必要だと思われた実験と、それに伴う費用の使用を許可します、存分にその手腕を振るって下さい!」


 アンジェがそう言い放った時、激励に来ていた皇帝陛下と宰相、そこに付く近衛騎士達が驚きの余り硬直した。


 そして追加で爆弾を投げ込まれる。


「もし失敗して、私が路頭に迷う事があれば、責任取ってもらいますからね♪」


 楽しそうに弾んだ声で言う姿にこの国のトップ2人は後にこういったとか


「ショックの余り(毛根が)死ぬかと思った」


 そういって頭をなでる姿にそれを聞いた人達は何とも言えない笑みを浮かべる以外なかったとか。


 例外は皇族の一部と公爵閣下だけだったとか。


 その例外たちは皆揃って大笑いしていたとかなんとか。


 かく言う俺もその言葉に胃が痛くなるという初めての経験を得る事になったのだが。


 止めるに止められない状況なので誰も止められない中アンジェは続ける。


「民は今も苦しんでいます、あのような子達でさえ。皇族として、ここで出来る事をしなければ皇族ではいられません、それに」


 そう言って一拍置くと頬をほんのり染めて両手で手を握られる


「ロイド様には一度命を救っていただいています、ですから、その分恩返しをしたいのです。なのでこの決定は覆しませんので、ロイド様、どうかご存分に!」


 そう言って手を握って激励される。


 普段はそれで困ったりする事はないのだが、この時は気が動転しているところに美少女の笑顔という強力な武器を使われてしまい、心が乱れて顔が赤くなってしまった。


 なんといっていいか分からないところに肩を叩かれる。


「お姫様がこれだけ言ってるんだから頑張ってね、お・う・じ・さ・ま」


 ルイスのその言葉に更に顔を赤く染めてしまう。


 おまえもかブルータス!!! 







 そんな事があったのだが、そのおかげで仕事が滞る事もなく2日で大体の準備は整った。


 失敗したら人生終了するからこれまでにないほど頑張った。


「さすがロイド様です!成功すると信じていました!」


 そういって満面の笑みで労ってくれるアンジェに苦笑いしか返せない。


 リンとクウもニコニコとしているしアンジェと相当仲良くなったようで一緒にハイタッチしている。


 そのまま俺にもハイタッチしてくるけど、この2人も色々と手伝ってくれたおかげで間に合わせる事が出来た。


 ルイスもニヨニヨと労ってくるのを若干訝しく思いながら皇帝陛下に報告を行ったところ、それはもう喜ばれて、宰相達も若干ドン引きしていた。


 そこにアンジェは褒章等は全てが終わってからと言った時には親ばか極まれりといったテンションで了承して横に控えている人達に苦笑いさせていたのはご愛嬌か。



 謁見後ルイスは苦笑いでアンジェは若干不満そうで。


「やっぱり親ばかね」


「いい加減娘離れしてほしいです」


 そういいながらやっぱりといわんばかりにルイスがアンジェをなだめていた。


 そうして騒がしく慌しい二日が過ぎて、城内で済ませられる準備を終えたのだった。

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