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 警備が3倍必要、それは警備兵が応援を呼んで粘って生き残れる最低限の数。


 通常2人出回っているところを6人で回ってなんとか生き残れ、これが一般兵の現状である。


 因みにこれは皇都の警備兵だからこの程度で済んでいる、地方に行けばこの2倍、3倍といった数が必要になることは参加者は知っている。


 そして警備をそれだけ増やすという事はどういう事か。


 北の異変に対する戦力を半分警備に回さないとならないという意味である。


 その辺りはまだある程度埋められるあてはある、しかしそこに伴うものに宰相は苦虫を噛み潰したような顔になる。


「仕方あるまいな、その件については後で話題に上げさせてもらうとして、話を続けてもらえるか?」


「承知した、次の話題というと、呪いの判別でしたね、それについては以前ロードの討伐を行った時に知った事ですが、それに至った理由はあるパーティーが依頼に行ったきり戻ってこなかったので、その依頼を俺の所属していたパーティーで受注した事から始まりました。

そこでロード率いる100ほどの手勢によって全滅させられていて、同じように眷属化させられていました。

その中に神官がいて呪いに抗って我々に何がどのように起きたかを教えてくれました。

その情報を元にロードの一団を全滅させたのですが、先のパーティーの面々は呪いの侵食によりロードの討伐と共に身体が崩壊していきました。

私が戻ったときには先の神官以外は既に亡くなっていて、彼も何が起きたかを伝えると崩壊を始めました。

その時に魂を引っ張られるのを避けるために浄化をしてくれと言われ、手持ちの道具を使って浄化しました。

その時に消えたものが今回の呪いとそっくりでしたのでそれと分かった、そういう次第です。」


 非常に長くなるので所々で消化できるように言葉を止めて話す。


 頷きながら聞いていた宰相が納得したのを見て次を話す。


「その時に使った道具もそれなりに聖の属性魔力の強い道具でした、残り火を消すのにそれだけ必要だったのであの呪いの質と量を考えた時、疲労していたルイスの力が足りるか分かりませんでした、なので魔法威力を増幅する魔方陣を描き、触媒に聖龍の鱗を砕いた物を使用しました。」


「聖龍の鱗……」


 その名を聞いた室内の面々が息をのむ。


 SSSランクパーティーでも辿り付くのが難しいとされる明暗の森の最奥にいる聖龍、聖龍自信もSSランク以上の力を持ち、下手なことをすればその辺りにいるSランクやSSランクの魔獣や龍を呼んで押しつぶされる危険もある。


 そんな聖龍の鱗は多用途に使えるうえ、その素材としての室も最高級。


 1枚で屋敷が建つと言われる程の素材である。


 それを触媒にして、暴れるB級モンスター相当の人を一端以上の錬金術師しかかけない魔法陣の上に押さえつけて浄化する。


 それを理解した者は頭痛に襲われ頭に手を当てる。


「ロイド殿、単刀直入に聞く、他の者に浄化は可能か?」


 その言葉を聞いた俺は僅かに考えると首を振る。


「可能か不可能かでいえば可能ですが、どこまで可能かは分かりません」


「そうか……」


「触媒については今回は加減が分からなかったので過剰品質でした、質を落としていってみないとどこまで落とせるか分かりません」


「ふむ」


「魔力も当時ルイスは祝福を日中にしており万全ではありませんでした、万全なら魔力だけで何とかなっていたと思います」


「となるともう少しハードルが下がると?」


「はい、研究次第ですが」


「なるほど」


「人材についても私には分かりかねます、質と種類と量、その3つが揃えば救える人は増える、それ以上の事は言えません」


「確かにそうだな、それについては後に関係部署で会議を開く事にする」


 宰相のその言葉に頷く人が数名、恐らくその人達が関係部署の責任者なのだろう。


「最後に敵についての見解を聞かせてもらえるか?」


「はい、今回の敵ですが、恐らく実力的には王かと思います」


「王……」


 その言葉にまたしても空気が沈む。


 ヴァンパイアキング、SS級の上位にして固体によってはSSS級に届いてもおかしくないとされる。真祖を除けば最強のヴァンパイアであり、滅多に敵対するものはいないが、一度敵対したとしたらそれは災厄といって間違いではない。


 ロードを傘下に置いて攻めてくるので、国の1つや2つは滅んでもおかしくない、それがキングである。


「ただ今回、不可解な点もあるので、何らかの形でイレギュラーがおきている、その可能性も否定できません。」


 その言葉に眉間の皺が深くなる。


「私からは以上です」


「あい分かった、ロイド殿、協力感謝する」


 その言葉に頭を下げて席に戻る。


 その後情報を纏めて本格的に協議が始まる。


 とはいっても呪いへの研究を行う事、それのフィードバックを行う事、警備の人員を増やす事、が主に決まった事であり、その全てに関わるように指名依頼が来ることになった。


 また元凶への対処も同時に進めていかなければならず、そちらの会議は難航する。


 元々使える軍の戦力が警備の為に半減してしまうのである。


 冒険者と聖職者からも手を借りる為に依頼されているが、正直数が見えないのである。


 それでも早急に対処しなければ犠牲者は増えるであろうことは明白。


 その為本来は2日後に迫っていた出陣を2日延ばし、周辺の領軍から兵を集め、4日後に出陣することになるのだが、ここで更なる依頼が舞い込む事になる。


 それは閉会に近付いたときの事であった。


「宰相、一つ提案がある」


「は!陛下、いかなる提案になりましょうか?」


「うむ、この遠征軍、SSSランクのパーティーに敵の首魁を討ち果たすように依頼してはいるのは皆も知っての通りだとは思うが、ちとな」


 皇帝のその言葉に全員の顔が苦々しい顔になる。


「そこでギルドマスターに保険になりえる人材を聞いておるのだが、それもな」


 そこで口ごもる皇帝陛下に将軍から疑問の声が上がる。


「何か問題でも?」


「いや、問題というわけではないのだがな、いささか負担が大きすぎる」


「それは敵の中枢に送り込むのですから止むを得ないのでは?」


「そうではないのだが、ロイドよ、おぬし、万全に挑めるか?」


 その言葉で俺に視線が集まる。


「2日ほどいただければ」


「有無、それではアンジェリーナ」


「はい陛下」


「余の名代として皇都内でロイドに着いて便宜を図ってくれ」


「かしこまりました、ありがとう御座います、陛下」


「ん?なにかあったか?まぁよいか、宰相」


「はっ!ロイド殿、頼りきってしまって申し訳ないが、後詰めの役目、頼みましたぞ」


「承知しました」


「感謝する」


 そう言って会議最後の話題は終わる。


「それではこれにて会議を閉会する、各々全力を尽くして事に当たってくれ!」


 その言葉に全員が立ち上がり最敬礼の形を取る。


 そして皇帝陛下の退室と共に会議は終わりを告げる。


 そして事は加速を始める。


 ローランドに向けられた悪意、それはまだ悪意の持ち主しか知らない。


 しかしそれはローランドだけにとどまるわけではなかった。

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