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「それでは此方でお待ちください」


 そういって案内された応接室の席に着く。


 調度品も皇宮の名に恥じない一級の物で、ソファーの素材や作りがよく、調度いい沈み込み具合であまり座っているとだらけてしまいそうになる。


 ルイスはなれているのかいつも通りだが、子供達は始めてみると思われるソファーに興味津々でその沈み込む感触を楽しんでいる。


 その姿に目を細めていると案内してくれたメイドの子が給仕をしてくれる。


「何か御座いましたらこの鈴を鳴らしてください。」


 そういって頭を下げる彼女に礼の言葉をかけると笑顔で一礼して下がっていく。


「美味いなぁ」


「美味しいわね」


 そう言ってお茶を飲む俺達兄妹。


 子供達もその言葉に興味を示したのかお茶を飲み始める。


 少し苦かったようでいーーーっという顔をしているのが微笑ましい。


 その顔を見てルイスがミルクを足してクウにもう一度飲ませると渋みが包まれて笑顔になる。


 そこにお菓子を食べさせてやると更に喜色を強くする。


 その姿にリンも試してみて笑顔になり、という微笑ましい姿を見せていると扉をノックする音がする。


「失礼します」


 その声と共に入ってきたのはいつもと見ていた動きやすい服ではなく、皇宮内で姫と一目で分かる衣装に身を包んだアンジェだった。


「ロイド様、ルイス、ようこそ」


 そう言って一礼すると此方に歩いてきて


「リンちゃんとクウちゃんもようこそ、お菓子はおいしい?」


 といって目線を合わせて頭をなでる。


「うん!」「おいしいです」


 そう言って笑顔で答える。


 そうして挨拶の言葉を交わしてからアンジェからこの後の予定が告げられる。


「この後ですが、議場での会議に出てもらう予定になっています。恐らく夕方頃までかかりますので、その間クウちゃんとリンちゃんのお相手をメイド達でさせてもらおうと思います。」


「大事になっているみたいだな、それよりいいのか?二人を任せても」


「はい、こんなに可愛いのに大物のゲストですから、話しを聞いたメイド達も楽しみにしてますのでお任せください」


 そう言って笑顔で答えるアンジェにルイスが口を出す。


「二人とも可愛いだけじゃないもんね、さっきもSSSランクの疾風の奴等をコテンパンにしてたし」


「え!疾風ってあの疾風の英雄?」


「そうそう、あいつら顔合わすなり絡んできてさ」


 そうしてさっき有った事をルイスが話し出す。


「っていうわけでリンちゃんのおかげで撃退できたわけなの、ね!リンちゃん!」


 ルイスが話を〆てリンに話しかけると


「ぶい」


 とピースサインとドヤ顔で応える。


「か、かわいい~!」


 と女性二人組みのハートをわしづかみにして暫く可愛がられていたのは仕方ない。


 当のリンはクウを可愛がっていたけどな。


 






 そうこうしていると時間が来て扉がノックされて迎えが来る。


 今回の迎えはメイドさんと近衛騎士であった。


「それではロイド様、ルイス、また後で議場で」


 そう言ってアンジェはクウとリンの手を繋いでメイドと一緒に歩いていく。


 言葉を返した俺達に騎士が声をかける。

 

「それではご案内いたします」


 そうして先導され俺達は議場に向かった。


 



 議場、基本的に会議を行う場であり、会議室といっても間違いないのであるが、呼び方が違う。


 その理由は出席する人物の格にある。


 この議場で会議を行われるとき、それは国家の大事になりえる事態ということである。


 時々により違うが、議長を行うのは最低でも宰相、ことによっては皇帝がその場を治める御前会議と化すのである。


 つまりこの時点で今回の件は国家の大事になりえる、そう判断されているということである。


 それはつまり、昨夜の襲撃は北の異変と関係している、そう考えられているという事に他ならない。


 その会議が行われる議場に近衛騎士の先導で到着する。


「失礼します!S級冒険者のロイド様、聖女ルイス様をお連れしました!」


 きびきびとした動きで報告を行い、席に案内され立ったまま議長席を見る。


「よくこられた、陛下もまもなくお越しになられる、席にある資料に目を通し、しばし待たれよ」


 宰相の言葉に頷きそのまま待機する。


 正方形の部屋にその形に合わせつつ真ん中に通路の作られたUの字型の机に椅子が設置されている。


 並ぶのはこの国の重臣と将軍達、教会の司教とギルドマスターといったこの国での要職にある者たちである。


 そしてその末席に追加で席を作られているところ、それが俺達の与えられた席である。


 資料に目を通して十数分、粗方資料を読んだところで入り口と逆側から声が上がる。


「皇帝陛下のおなーりー!」


 その言葉に全員がその方向を向き、最敬礼を行う。


 扉が開き、威風堂々と言う言葉で表すのが相応しい貫禄を見せつけ皇帝陛下が入場し、その後ろについてアンジェも入場してくる。


 顔を下げているので見る事は出来ないが、皇帝陛下が議長席の後方上部に設えられた席に着席し、その横にアンジェが控える。


「皆の者良く集まってくれた、先ずは楽にして席についてくれ」


 その言葉と共に全員が席に着く。


「さて、今回集まってもらった理由についてだが、北の異変に関わることである、宰相!」


「はっ!」


 そうして宰相に水を向けることで会議が始まる。


 先ずは宰相による現在北の都市で起きている異変について、それへの対策にアンジェとルイスが動いた事、帰り道に襲撃に合い仲間を失った事、兄である俺が加勢して辛くも逃れた事を纏めて報告された。


 そしてそこから昨夜のヴァンパイアという不死者によって聖女であるルイスが襲撃されたこと、2人撃退したが、2人に逃げられた事、その後ろに司令塔と言えるものがいるかもしれない事が報告された。


 そして逃げた2人を発見できていない事を報告した後の事を話したとき、議場内は騒然とする。

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