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「お待たせしました、ロイドさん、こちらギルドマスターのベアウルフです。マスターこちらが先ほどお話したSランク冒険者のロイドさんです、今回明暗の森の素材を大量に持ち込んでくれたので処理の打ち合わせをお願いします」
そう言って受付嬢のナディが現れギルドマスターとの仲介を行う。
「ギルドマスターのベアウルフだ、よろしく頼む」
「S級冒険者のロイドだ、こちらこそよろしく頼む」
「ちょっとお兄ちゃん?聖女の兄っていうのが抜けてるわよ?あ、マスターひさしぶり!」
「ああ、久しぶりだな、聖女さん、それにしても本当にねぇ」
「このじゃじゃ馬の事と仕事の事は分けて考えてもらえると助かる」
「ちょっと、こんな可愛い美少女を捕まえて誰がじゃじゃ馬よ!」
「おまえなぁ……」
「はっはっは!兄妹ってのは本当らしいな、仲が良いようでなによりだ」
「そうよ!祝福してあげるくらい仲がいいのよ!そのせいでヘトヘトになったんだからお兄ちゃんは私をもっと労うべきよ!」
「おまえなぁ、そこでそれを持ち出すのかよ」
「当然!お兄ちゃんには色々してもらえる時にしてもらわなきゃ!」
「あのなぁ……」
「あー、仲良くしてるところ悪いんだが、仕事の話に移っていいか?」
「あ、すまない」
「ごめんなさい」
マスターの言葉で我に返ったところで仕事の話にはいる。
「とりあえずいこうか」
そうして俺達は酒場を後にした、因みに支払いはギルドカードを見せれば報酬等から引き落とすシステムになっている。
こうする事で酒場は取りはぐれる事が無くなり、踏み倒そうとした場合はギルドから追っ手が向けられる。
それなりに高ランクの冒険者が正式な依頼を受けて追ってくるのだ、しかもその依頼料を借金として上乗せさせるようにして。
余程じゃなければ踏み倒す奴が現れないシステムである。
俺も何人か借金奴隷送りにしている、そういう事になるやつはなるべくして悲惨な目に遭うということだ。
そんなことを考えている内にギルドマスタールームに辿り付く。
「とりあえず座ってくれ、長くなりそうだからなナディ茶を入れてくれ」
そういって自分の席に座るギルドマスターの言葉に従い俺達も席に座る。
クウはリンの膝の上で愛でられていてその横にルイスとアンジェが座って二人を可愛がるというなんともやり難い状況が横で展開されていたりもするが気にしない、ルイスはこういう奴だ。
そこにナディがお茶とお茶菓子を運んできて配膳する、子供達は目を輝かせてお菓子に手を伸ばしてルイスとアンジェはそれを見て目を細めながらなでたり頬をつついたり、ナディも参戦してちびっ子達を可愛がる。
この二人がAAランク以上の戦闘力持つ聖獣と聖龍だなんて思ってないんだろうな。
そう思っているとマスターが途惑っているようなので此方から口を開く。
「それで、ここでの話しという事は素材の事だな?」
「ああ、そうだ、あれだけ大量の素材を入れてくれた事を先ずは感謝する。しかし大量過ぎて処理に時間がかかる、捌くのにも色々査定に時間がかかるのと今は少し台所事情がな」
そういって困ったように頭を搔くマスターにちょっと笑ってしまう。
「見た目のとおりというかなんというか、よくそれでマスターが務まっているな」
「うるせえわい、こちとら現場上がりでそういう腹芸はライトの奴に任せてるのに丁度いない時に来られたら俺が話すしかないだろうが、商人相手なら最初から話もしないわい」
まあそうだろうなとは思った、このマスターは人に慕われる性格なのだろう、ギルドの中を見てたらそんな感じがしていた。
「まあそれについては俺の方は急いでいない、単純に出しておきたかった素材と解体して回収しておきたい物があったからそれを貰えれば他の処理は遅くなっても構わないよ」
「そうか、助かる」
「もしよろしければ」
そういってアンジェが手を上げる。
「お父様に言ってお手伝いに人を出せると思います、買取のほうも」
「いいのか?」
「はい、ロイド様の出した素材と言えばお父様も二つ返事で進むと思います」
「そうか、それならそういう事だがどうする?マスター」
「ええっと、話が掴めないのだが、そちらのお嬢様は?」
そう言われてアンジェはフードを外して微笑む
「アンジェリーナ殿下!?」
「はい、そういうわけですのでよろしいでしょうか?」
「そうして頂けますと此方としても非常に助かります!」
「それはよかった、それじゃセバス、お願いできる?」
「承知いたしました、これより行って参ります」
「お願いしますね」
「はっ!」
そう言って優雅に部屋を出て行くセバスさんを見送りつつ話は進む。
何をこちらで使いたいとか何がどれだけあるかとか、そう言った事を確認する。
そして粗方話しが落ち着いた所で扉が叩かれる。
「失礼します、マスター、報告から戻りました。下で聞いたのですが素材の買い取り交渉をしているそうですが、よろしいでしょうか?」
「おおライド、戻ったか、お前も話しに加わってくれ」
「分かりました、それでは失礼します」
そう言ってギルドマスターの後ろに立つライド氏
「紹介しよう、こいつがうちの副マスターで腹芸担当だ、こいつがいるから俺はマスターやってられる優秀な奴だ、よろしく頼む」
「よろしくお願いします」
「此方こそよろしく」
そう挨拶をして話の大まかなところを伝える。
「それでは私は皇宮との折衝に回った方がよさそうですね」
「ああ、そうしてくれ」
「皇宮も大変ですね、嬉しい悲鳴と面倒事への悲鳴を同時に上げることになるなんて」
「あ~、あの馬鹿共のせいでやっぱり面倒事になりそうか?」
「ええ、それは勿論、草ってもSSS級パーティーですからね、面倒この上ないそうです」
そう言って溜息を漏らす二人。
「SSSパーティーなんてきてたの?」
ルイスが聞くと
「ああ、例の件で中心にSS級の高位悪魔が確認されたそうでな、それを討伐する為に呼んだらしいんだが、ありゃ失敗じゃないかねぇ」
「SSS級なのにそんなに酷いの?」
「そりゃなぁ、金に汚いわ国に喧嘩売るわであれをSSS級に推薦した支部の連中の気が知れねえよ。あれは若さというだけじゃすまないだろうよ」
そういって溜息をつくマスターに嫌な予感が過ぎる
「それは皇宮でも言ってましたね、評判と実績を聞いて呼んだけど期待はずれだって」
「そんなになんだ」
「そうさな、あれで実力まで評判倒れだったらどうなることやら」
「流石にそれはないと思いたいのですがね……」
「わからねえぞ、あの編成だと長引いたら一気に崩れるだろ」
「冠するのが疾風ですからね、止まったらどうなるのでしょうね」
「さあな、お手並み拝見といったところだろ」
その言葉に嫌な予感が強くなる、確信と言ってもいいかもしれない。
「あの、疾風っていうのは?」
「ああ、そのSSS級パーティーの名が疾風の英雄だからな、疾風って呼ばれてるんだよ」
ああ、やっぱり、腐れ縁ってのは中々切れないんだな。
「え、それって」
「ロイド様がいらした……」
二人のその言葉での視線が此方を向くのを感じた。
子供達の視線は今もお菓子だけどな。




