第98話 オールスター総出演かよっ!!(挿絵有り)
……で。案の定、決勝戦の模様は俺の語りになってしまうのだが……
思っていた通り、合宿の余興とは思えない位に白熱した試合になっちまった。
試合前半は美代部長の『超本気』の『殺人アタック』がテンテン部長の所ばかりに行き、流石にレシーブ出来ず美代部長達がリードしていたけど、途中からショウショウ先生がテンテン部長の方に向かったボールも『超レシーブ』で拾い上げる様になったんだ。
しかし、ショウショウ先生もよくあんな『殺人アタック』を拾えるもんだなっ!? しかも自分の所に来るボールをレシーブするだけでも難しいのに、テンテン部長の所に向かっているボールまでも凄いスピードでテンテン部長の所まで行ってレシーブするんだからなぁ……
普通のスピードでは到底追いつけないのに……。っていうか、本当にあの人は『元ネガティ部 部長』なのかっ!?
初めて会った時は前髪で顔も見えず、根暗そうだったし『元ネガティ部 部長』と紹介されて凄く納得してしまったけども……。ルイルイに『本気を出せ』と言われて、メガネを外し、髪をくくってからは人が変わった様になっちまったもんなぁ……
もしかしてショウショウ先生は『二重人格』なのかもしれないぞっ!!
でもスピードだけで言えば美代部長も『超一流』だからなっ!! これはもしかして『歴代ネガティ部 部長』の伝統か何かなのかっ!?
そしてもう一つ驚いたのが、ルイルイだっ!!
俺の中ではルイルイは大したこと無いと思っていたんだが、ところがどっこいだった。
メチャクチャ上手い!! 花持部長よりも遥かにバレーボールが上手だ!! そりゃあ、これだけの実力が有ればあれだけの大口たたけるよなっ!!
美代部長とルイルイペア……。なんか、悔しいが『絵』になるよなぁ……
まさに『最強コンビ』だっ!!
まぁ、俺の横で試合を観ているモブオなんかはルイルイを凝視しながら『あの激しい動きでルイルイ先生のマイクロビキニが外れないだろうか……? いや、外れろ。外れろ。ブツブツブツ……』と何度も何度も繰り返し呟いているってか、唱えているけどな!!
モブオ、お前マジで大丈夫かっ!? キャラが変わってるぞっ!!
そして現在、十五対十五の同点が続いている!!
「 「 「 「 美代部長頑張れ~っ!!!! 」 」 」 」
「 「 「 テンテン部長頑張ってくださ~いっ!!!! 」 」 」
「 「 「 ショウショウ先生、カッコイイッ!!!! 」 」 」
だっ…誰だ!? 今、全然関係の無い事言った奴はっ!?
あっ!! アレは『エグゼクティ部』でここの別荘所有者の師本先輩&ポジティ部女子達かっ?
「ショウショウ先生達が勝ったらルイルイ先生と付き合うってのは少し嫌よねぇ?」
「そうよねぇ…。せっかく身近にイケメンがいる事が分かったのにねぇ……」
「そうそう……。うちの部、テンテン部長以外、そんなにカッコイイ人いないもんねぇ……?」
「フフフ……。もしショウショウ先生達が負けたら、私がショウショウ先生にアタックしてみようかしら……。私、結構ああいうタイプが好みなのよ……」
「え―――ッ!!?? 凄い、師本お姉さまっ!! 私、応援しますわっ!!」
師本先輩、バレーボールだけに『アタック』かよっ!! 上手い事言うなっ!!
っていうか、いつの間にか師本先輩はポジティ部女子達に『お姉さま』って呼ばれているのかっ!?
「それにしても、なかなか勝負が決まらないわね……」
「一体、どっちが勝つんだろう……? 観ていて少し疲れてきたわ……」
さすがに応援している方も疲れてきたよな。でも試合やってる四人の方がもっと疲れているんだからなっ!! それにルイルイは決勝戦からだけど、他の三人は四試合目だし……
「オイ、ミヨミヨ!! 動きが鈍くなってきているぞっ!! もっと気合いを入れるんだっ!!」
ルッ…ルイルイの奴、何て事言ってやがるんだっ!! 美代部長は四試合目なんだぞっ!! ホント、デリカシーの無い女だぜっ!!
「ミヨミヨ!! もし負けたらお前は今日からテンテンと付き合う事になるんだぞっ!! それでも良いのかっ!?」
「そ…それだけは絶対嫌です!! 『占いが当たって死ぬ』よりも嫌です!!」
「ミヨミヨ~っ!! 『絶対嫌』なんて言わないでくれよ~っ!! それと『占いが当たって死ぬ』ってどういう意味なのかな~っ!?」
「そ…それもアナタには教えたくありません!!」
「うわぁぁああ~っ!! それ教えて欲しいよ~っ!! よしっ、こうなったら絶対勝ってミヨミヨと付き合う事になった時に教えてもらうからね~っ!? ショッ…ショウショウ先生、頑張りましょうね~っ!?」
「…………ゴホッゴホッ…………」
「ショッ…ショウショウ先生~っ!? だっ…大丈夫ですか~っ!?」
「ゴホッゴホッ……。だっ…大丈夫とは言い難いですが、何とか気力で頑張ります……。やはりここへ来て日頃の運動不足が出てきたみたいです……。ま…毎日、研究室に籠って仕事をしていたものですから……」
ピ―――ッッ!!
「十五対十五で美代のサーブからよっ!!」
「ここらへんで何とか一点リードしたいですね……。よし、こうなったら……」
「 「 「 「 ア――――――っ!? 美代部長が初めて『ジャンピングサーブ』を打とうとしているぞ――――――っ!! 」 」 」 」
シュッ……ビューンッッ……バシンッッ!!!!
グォォォォオオオォオオ――――――っ!!
ボールがテンテン部長の所に行ったぞ――――――っ!!
バシンッッ!!
「ウギャ――――――ッ!!!!」
「テッ…テンテン君!!」
ヒュー……ボトン……、コロコロコロコロ…………ピタ
「 「 「 「 うぉぉぉおおおおおお!! 遂に美代部長ペアが一点リードしたぞ――――――っ!! 」 」 」 」
「美代、ルイルイ先生ペア~、マッチポイント!!」
よしっ!! 遂に来たぞっ!! ずっとリードされてから追いつくパターンだったからメチャクチャ苦しかったけど、ようやくリードしたぞっ!!
こ…これで勝てるんじゃないのかっ!?
「フフフ……。どうやらギリギリ間に合ったようだな……」
「えっ……?」
「よぉ、布津野君……」
「アッ…アナタは、か…海藤会長!! それに卯馬副会長に根津部長に津田部長!! そ…それと後の二人は誰っ!!??」
「おっ…俺は『エグゼクティ部兼生徒会書記』で二年『士余木 大地』だよっ!!
「ぼっ…僕は『エグゼクティ部兼生徒会会計』で二年『公忍開 圭史』って言うんだ!! 前に『ドッチボール対決』で顔を合わせているんだから、布津野君には覚えていてほしかったよ……」
「あっ…あぁぁあああ~っ!! あの時の人達ですかっ!? す…スミマセン…。お二人の事、全然覚えていないです!!」
ガクッ……
昨日、斬麻伊先輩が言っていた『全然目立たなくて何の取り柄も無さそうな『スカ』みたいな二人』ってのはこの人達の事かっ!?
「で、布津野君!! 僕達の名前はしっかりと覚えてくれたのかな!?」
「えっ? あっ…はい…。しっかり覚えましたよ!! 『第一書記さん』と『公認会計士』さんですよね!?」
「ちっ…違うよ――――――っ!!」
「オイオイオイ…。お前達みたいな『二流』はどうでも良いんだよ。『一流』の私が布津野君と早く話がしたいんだよっ!! 引っ込んでなっ!!」
「 「 アッ、ハイ!! スミマセン!! 」 」
「イヤイヤイヤッ、チョット待ってよ~津田ちゃん!! 俺が先に布津野君と話をするんだよぉぉ!!」
「うるさい!! ネッチー!! 貴様は『ダブり』のクセに『一流』の私より先に布津野君と話をしようなんて生意気だっ!! 『卒業』してから言いやがれっ!!」
ガ――――――ンッッ!!
「津田ちゃん…。そ…卒業してしまったらもう布津野君に会えないかもしれないじゃないか……」
「フンッ、知るかっ!! それじゃぁもう一年ダブるかっ!?」
「それは嫌に決まってるだろっ!!」
「オイ、二人共…。もうそれくらいにしたらどうだ? 布津野君が怯えているぞ……」
「海藤が口を挟まないでくれるかなっ!?」
「ネッチーの言う通りだっ!!『クールメガネ』の分際で生意気だなっ!!」
「会長…? この二人、そろそろ消しましょうか……?」
「いや、副会長…。今日はそこまではしなくても良いよ……」
「ハイ…、かしこまりました……」
なっ…何なんだ、この人達の会話はっ!? キャラが濃すぎて全然会話に入れないぞっ!! 俺もまだまだだなぁ……。で…でも、そろそろこの人達の暴走を止めないと……
「あ…あのぉ…。そろそろ『コント』は終了で良いでしょうか……??」
「コッ…コントだとおぉ!? キャッハッハ!! それは良い…。実に面白い返しだぞ、布津野君…。さすがはアタシが見込んだ男だけの事はあるっ!!」
「ス…スミマセン…。今とっても大事な場面なんですよ…。だからとりあえず今は試合を観てもらえませんか? 皆さんが何故ここに来られたのかとか、詳しい話はその後という事で……」
「うむ。そうみたいだな…。実に申し訳ない……。空気を読めなくてすまなかった……。根津にぃも津田君もそれで良いな?」
「ああっ!! 俺は全然構わないぜ!!」
「フンッ…。アタシは海藤の言う事を聞くんじゃないからなっ!! 布津野君の言う事を聞くんだからなっ!!」
はあぁぁぁぁ……。一気に疲れたぞおおぉぉ……
まさか、こんな大事な場面でテンテン部長級のキャラの濃い人達が突然、現れるなんて……。
っていうか、この時期に『オールスター総出演』みたいな事になってしまって、本当に百話で『一学期編』が終わるのか――――――――――――っ!!??




