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第95話 勝ったらデートだっ!(挿絵有り)

 いや――――――っ!! 

 準決勝第二試合は実に凄い試合だったぜっ!!


 菜弥美先輩と前妻木先輩のペアが圧勝するかと思っていたが、まさかあの『ポジティ部顧問』の『真物先生』があそこまでとは……


『パーフェクト・レシーバー』……

 

 そう、それが『真物将しんものしょう顧問』が学生時代に呼ばれていた異名だ。





 前半は普通のプレイだったんだ。

 どちらかと言えば、テンテン部長の動きの方が遥かに凄かったんだ。


 でも、さすがのテンテン部長も美代部長ほどでは無いが、前妻木先輩の超速球アタックを返す事は出来なかった……


 まぁ、お陰でテンテン部長達のストレート勝ちは無くなって、美代部長と付き合うって話はあっさり消えちまったから良かったんだけど......


 だが、たとえストレート勝ちしても二人が付き合うってのは絶対にあり得ないけどなっ!!


 ただ、審判をしていたルイルイが真物先生にある事を言ってから状況が変わってしまったんだ……


 ルイルイの奴、マジで余計な事を言いやがって……

 せっかく菜弥美先輩達が有利に試合を運んでいたのに……



「オイッ!! ショウショウ!! お前、いつまで『化けの皮』を被っているつもりだっ!? そろそろお前も本気を出したらどうだ!? 私は知っているんだぞっ!! お前の『真の姿』をなっ!!」


「・・・・・・!!!!」


 『真の姿』だって!? 

 一体どういう事だっ!?


「ショウショウ先生~っ!! ルイルイさんが言っている『真の姿』ってどういう意味ですか~っ!?」


「い…いや、それは……」


「ショウショウ!! いい加減にしろっ!! お前は昔からそこそこイケメンだったが性格が『根暗』で『小心者』で『超人見知り』で『超マイナス思考』で何一つ、取り柄の無い男だったが、実は一つだけ得意な事があったんだろっ!? そう、バレーボールだっ!! お前は小、中学生時代に『バレー部』で全国大会にも出場していたそうじゃないかっ!! そしてお前は『レシーブ』を得意としていた…。周りから呼ばれていた異名が『パーフェクト・レシーバー』……。そうだろ? ショウショウ!!」


 パッ…『パーフェクト・レシーバー』だって!!?? 

 性格だけで考えたら『パーフェクト・ネガティブ』じゃないかっ!!


「ショウショウ先生、ルイルイさんが言っている事は本当なんですか~っ!? もし本当なら本気見せてくださいよ~っ!! 僕、絶対ムキムキ達に負けたくないですから~っ!!」


「・・・・・・」


 し…しかし、アレだな......

 真物先生は何となく美代部長と共通するところがあったんだな……


 きっと学生時代に何かがあって、ルイルイが言う様なネガティブな性格に変わったんだろうか? 


 まぁ、別に興味は無いけどさ……



「よしっ! じゃあこうしよう!! もしお前が本気を出してムキムキ達に勝ったら、お前と一度だけ『デート』をしてやろう!! それでどうだ!? 嬉しいだろうっ!? やる気が出てきただろっ!?」


 デッ…デートだと―――っ!? 


 ルイルイの奴、エライ上からモノを言いやがるなっ!! 


 自分がデートして欲しいと思われるくらい人気者とでも思っているのかっ!?


 いくらルイルイが美人でナイスバディだからって、あんなに口の悪い奴とデートなんかしたくねぇよっ!!


 ぜっ...絶対、ルイルイとデートなんかしたら疲れるに決まってるし……


「ルイルイ先生とデートかぁ…。いいなぁ……」


 モ…モブオはルイルイなんかとデートしたいのかっ!?



「ダーリンッ!! 私がショウショウとデートしたからといって、これは決して『浮気』では無いからなっ!! 気にしないでくれよ~っ!!」


「そっ…そんな事、どうでもいいわっ!! 勝手にデートでも何でもやりやがれっ!!」


「ハッハッハッハ!! そんなムキになっているダーリンも可愛くて好きだぞっ!!」


「クッ……!!」





「さてと……。テンテン君、少し待ってくれないかい? 準備をしたいから……」


「えっ? ショウショウ先生、もしかして……!?」


 ん? 

 

 ショウショウ先生がコートから外れて髪の毛をくくりだしたぞっ!!

 

 そ…そして、メガネも外したじゃないか......??


 マ…マジかっ!? 

 まさか『本気』を出す気なのかっ!?


 っていうか、ショウショウ先生はルイルイとデートがしたいって事なのかっ!?



「 「 「 キャーッ!! 見てみて~っ!! ショウショウ先生の顔♡ 」 」 」



 えっ? 


 なんかポジティ部の女子達が騒ぎ出したぞ!?

 って…なっ…何だとっ!?


 ショウショウ先生、凄いイケメンじゃねぇかっ!!


 子龍先輩に引けを取らないくらいに超イケメンだぞっ!!

 髪をくくっている姿なんて……


「伏江先輩とは比べ物にならないよな……」


「オイオイオイ!! 布津野君、それはちょっと言い過ぎちゃうかぁ……」


「あっ!? ふ…伏江先輩…。い…いたんですかっ!?」


「おっ…おったわっ!! でもほんま、まさか真物先生があんなにイケメンやったとは気付かんかったわぁ……」

挿絵(By みてみん)




 そして、ここからの真物先生は凄かった。


 前妻木先輩のアタックをことごとく拾い、そのボールをテンテン部長が良い位置にトスを上げ、最後に真物先生が菜弥美先輩のところにアタックを打つ......


 さすがに男性でバレーボール経験者の本気のアタックを菜弥美先輩は拾いきれず……


 ピッ、ピピ――――――――――――――――――――――ッッ!!


「準決勝第二試合は十一対八で『テンテン、ショウショウペア』の勝利だっ!!」



 す…凄い試合だった......


 真物先生が本気を出してから一度も前妻木先輩のアタックが決まらなかったからな……


 それに美代部長ほどの破壊力は無いけど、真物先生のアタックも菜弥美先輩の拾いにくい所ばかりボールが行ってたし……



「な…奈子…、ご…ごめんね…。私が足を引っ張ってしまって……」


「何を言ってるのよ菜弥美......。あなたに責任なんて無いわよ。私だってあのアタックは拾える自信無かったし......、それにたかが合宿の余興じゃない。そんなに悔しがる事なんて無いと思うわ……」


「そ…そうなんだけど……。でも負けるのはやっぱり悔しいなぁ……」


「もう! そんなに落ち込まないでっ!! まぁ『ネガティ部』の人達はそういうところがあるかもしれないけども......。でも私は楽しかったわよ。良い試合だったし、菜弥美とペアを組んで良い試合が出来たのが、私はとっても嬉しく思うわ」


「な…奈子……、あ…有難う……」


「さぁ、落ち込んでいる暇は無いわよっ!! 決勝戦の応援をしなくっちゃ!! あなた、美代部長の応援するんでしょ!? 私も決勝はテンテン部長達じゃなくて美代部長達を応援するつもりだからっ!!」


 さすがは『ポジティ部 副部長』だよなっ!!


 前妻木先輩は無理をして『ポジティ部』に入部していると思っていたけど、やっぱり性格は『ポジティブ』だったんだな……


 ほらっ、二人で手を繋いでいるぞっ!!

 もう二人は仲良しさんだなっ!!


 しかし、さすがは各部の部長だよな。


 『元ネガティ部 部長』のショウショウ先生も入れると全員、決勝戦に残っているんだからなっ!! 


 一体どんな決勝戦になるんだろうか……?

 メッチャ楽しみだぜっ!!


 あっ!!

 

 ショウショウ先生がルイルイのところに向かって行ったぞっ!! 

 これはきっと『デート』する日を決めるつもりだな!?



「ル…ルイルイ……」


「おっ、何だ…ショウショウ?」


「や…約束は守ってくれますよね? 僕は先程の試合で『本気』を出して彼女達に勝ちましたよ……。ぼ…僕との、デート……」


「ハッハッハッハ!! 当たり前だ、ショウショウ!! 私が約束を破るはずが無いだろう?」


「で…でも君は、昔から大概の約束を破っていましたし......。特に僕との約束は百パーセント破ってましたよね……?」


「え――――――っ!! そうだったかなぁ~っ!? 全然覚えてないわっ!!」


「ぼ…僕とのデートの約束は全てドタキャンしてましたよね? き…君が『アイドル活動』もやっていたから、そう簡単にデートは出来ないとは思っていましたが、高校三年間で一度も学園以外で君と二人っきりになれた事も無かったですし……」


 チョッ…チョッと待って!!


 『デートの約束を全てドタキャン』って……

 

 まっ…まさか…、ふ…二人は昔、付き合っていたのか――――――――――っ!!??


 って事は……

 ショウショウ先生はルイルイの……


「元カレって事じゃねぇか――――――――――――――――――ッッ!!!!」




まさか、ショウショウ先生がルイルイの元カレだったとは......

でも二人の性格を考えたら本当に交際は成立していたんでしょうか?

そういったところも次回に判明するかもです(笑)


そして決勝戦は意外な展開が待っています!!

乞うご期待!!

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