第81話 よくある『オチ』じゃねぇかっ!
「さぁ、皆さん。お疲れでしょう。少しお部屋で休憩して頂いてから昼食と致しましょう!」
「あっ! アンタは…サングラスの人っ!!」
「ハッハッハッハ!! 布津野君、見たまんまだな。そうそう、俺は『エグゼクティ部』の中でサングラスが一番似合う男。そしてサングラスをこよなく愛する男でお馴染みの『斬麻伊 贅太』だ。以後、お見知りおきを…」
わぁ〜、また変な人が現れたぞ~っ。それにいつからお馴染みになったんだよっ!?
それもメイド服の次は『執事』かよっ!!
「もしかして、『エグゼクティ部』の人、全員この別荘に来てるんじゃないでしょうねっ!?」
せっかくの夏合宿に『エグゼクティ部部員』が八人もいたら、たまったもんじゃないぜっ!!
「いや、大丈夫だ。男子はあと二人だけ来ているぜ。残りの男子二人は生徒会の『書記』と『会計』を兼務している二年生で、夏休みも生徒会としての仕事が沢山あって別荘に来る暇が無いらしい…」
「えっ? そうだったんですか? それは驚きました。まさか二人も『エグゼクティ部』と『生徒会』を兼任しているなんて…」
でも、残り六名の『エグゼクティ部部員』がこの別荘にはいるんだよなっ!?
「それじゃあ、あの『恐竜』みたいな人と『後ろ髪をくくった』人が生徒会役員さん何ですね?」
「まさか! その二人以外の全然目立たなくて何の取り柄も無さそうな『スカ』みたいな二人が役員さっ!!」
斬麻伊先輩!アンタ、サラッとメチャクチャ失礼な事を言う人だなっ!!
ルイルイと良い勝負ができるんじゃないかっ!?
でも待てよ!…って事は、あの『恐竜』みたいな人と『後ろ髪くくった人』もこの別荘のどこかに居るんだよな!?
何故、よりによって『エグゼクティ部』の濃いキャラの人達ばかりがここに集まるんだよ!?
はぁ…、先が思いやられるぜ……
「お―――い、一矢君! 早く部屋においでよ! 凄い豪華な部屋だよ!!」
「あっ、子龍先輩。わ…分かりました。すぐに行きます!!」
「布津野君。昼食の用意が出来たら呼びに行くから、それまではゆっくりしな」
「あ…はい! 有難うございます!!」
意外と、この斬麻伊先輩は見た目よりも良い人なのかな…?
「あっ、そういえば、花持部長はあの事を彼等に言ってるのか? じゃないと『ネガティ部』の連中、メチャクチャ驚くんじゃないのか?」
「ま…舞奈ちゃん、大丈夫ですか?」
「う…うん。大丈夫…。美代お姉ちゃん有難う。そしてゴメンね…」
「べ…別に舞奈ちゃんは何も謝るような事はしていませんよ…」
「で…でも…。別荘に着くなり車酔いなんかしてしまって…。美代お姉ちゃんや皆さんにとっても迷惑をかけてしまったし…。せっかくの『夏合宿』初日から皆さんに不快な思いをさせてしまったんじゃ無いかと思うと…。私…、皆さんに合わせる顔が無いわ……」
「大丈夫ですよ。そんな事で皆さん不快になんてなりませんよ。皆さん、優しい人達ばかりなんですから…。それよりも私の方こそ、いつも部長らしい事が全然出来ていないのに一矢君中心にこんな『ブス』で『ドジ』で『ノロマ』な私の為に思い出作りとして、こんな素敵な『夏合宿』を企画してくださって本当に嬉しくて、嬉しくて、死にそうなくらい嬉しくて…。うぅっ…」
「こらっ、二人共! 何を二人して『ネガティブ』な話をしてるのよ? まぁ、『ネガティ部』だから仕方ないんだけど…。でもせっかくの『夏合宿』だし、楽しい会話をしないと…。 やはり、二人共同じ血が流れているから会話がドンドン暗くなっていきそうですね。美代部長! 美代部長は私と同じ部屋で舞奈ちゃんはテルマと同じ部屋の方が良いんじゃないですか??」
「あ…有難うございます、菜弥美ちゃん…。お気遣いくださいまして…。でも私は舞奈ちゃんと同じ部屋が良いんです。舞奈ちゃんと二人きりでお話し出来るなんて何年振りの事ですので…」
「そ…そうなんです! 私も美代お姉ちゃんとゆっくりお話がしたいんです! 家の事情でなかなか二人でお話する機会が無かったもので…。だから今回は美代お姉ちゃんとここ数年出来なかったお話を沢山する事も私の楽しみの一つなんです……」
「ハイハイ、分りました。二人の気持ちは良く分かりました。それじゃ、あまり暗く落ち込む様な事にだけならないよう、気を付けてくださいね。それと昼食後は皆で海に行きましょうね! プライベートビーチがあるらしいんですよ!! 二人共ちゃんと水着は忘れずに持って来てますよね!?」
「はい! 勿論、持って来てますよ!!」
「あ…はい…。一応…持って来てはいますが……」
あれ?
子龍先輩いないぞ。
さっき俺を呼びに来たばっかりなのに…。ん?
あっ布団に入っているのか!?
エライ早いな! もう寝息が聞こえているし…
まぁ、今日はさすがに疲れたよな。
ルイルイの初心者運転に恐怖を感じ、そして舞奈は車酔い......
そして別荘にやっと着いたと思ったら、まさかのメイド姿の『エグゼクティ部女子』のお出迎え…で、俺に至っては執事姿の斬麻伊先輩にも遭遇しているしなっ!
残りの二人に会うのも時間の問題だな。
あの『恐竜先輩』に会った時、俺はビビらずに対応できるのだろうか…??
「う~ん…、遅いなぁ一矢君…。せっかく二人でトランプでもしようかと思っていたのに…。もう一度、呼びに行こうかな......」
「あっ、テルマお待たせ! あの二人、同じ部屋が良いみたいよ…」
「ふ―ん…、そうなんだ…。でも良かったわ。私も出来る事なら菜弥美と同じ部屋の方が良いし…。べ…別に菜弥美が好きとかじゃ無いからねっ!! 同い年の女子の方が話題も合うし…ブツブツブツ......」
「テッ…テルマ~ッッ!!」
「でも本当は菜弥美より、一矢君と同じ部屋の方が良かったんだけど…(ポッ……)」
「テッ…テルマ!! 最初のセリフを聞いて、一瞬だけ私泣きそうになってアンタを抱きしめそうになったけど、後半のセリフで我に返ったわっ!! やはりアンタは『危険な女』ねっ!! そして一矢君がよく言ってる『小悪魔天使』よっ!!」
しかし、子龍先輩、気持ち良さそうに寝てるよなぁ......
あっ、そういえば、子龍先輩は寝ている時は顔の角度はどうなっているんだろう?
仰向けだったら、顔はいつも通りの『右向け右』かな?
じゃぁ、身体が横に向いたら顔は一体どうなるんだ?
やはり顔だけ打つ伏せになるのか?
それじゃぁ、呼吸が苦しくなるよな!
あぁ、メッチャ気になるぜっ!!
よし!
布団をめくって顔の角度を確認しよう!
そして寝顔の写メを撮って後で皆さんに見せて子龍先輩をおちょくってやろう......
できれば顔だけ打つ伏せ希望!!
ス―――ッ……
……あ―――っ!!??
「う~ん…。だっ…誰だ~?」
「ル…ル…ルイルイじゃねぇかっ!!?? ってうか、ここはルイルイの部屋だったのか―――っ!! っていうか、よくある『オチ』じゃねぇかッ!!!!」
お読み頂きありがとうございます。
現在、新連載の『ポジティ部!』も数話投稿していますが、『ネガティ部!』ではまだ書かれていない色々な謎や過去が分かり面白いと思いますので是非とも読んでみてくださいね。




