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第80話 メイド服かよっ!(挿絵有り)

夏合宿用に借りたはずの別荘で待ち構えていたのはなんと『エグゼクティ部』の面々

それも一矢をおもてなしするためということらしい。

そして花持部長等女子達の服装が...

 挿絵(By みてみん)


 なっ…なんてこった!!せっかく『ネガティ部』のメンバーだけで、この『夏合宿』を楽しもうと思っていたのに…。まさかこんな邪魔が入るとは…。そして…


「なっ…何で皆さん、メイド服姿なんですかっ!?」


(ポッ…)「こ…これは…あれよ! 傘下である私達が布津野君をおもてなしするには、やっぱりメイド服を着ておもてなしをするのが一番じゃないかと皆で考えたのよ…! ねっ? 二人共!!」


「花持部長、それは違いますよ…。花持部長が布津野君を喜ばせたいから絶対にメイド服を着るって言い出して、無理やり私達も巻き込んだだけじゃないですか…」


「なっ…何を言ってるの、上空うえからさん! 私が無理に押し付けたみたいな事を言わないでくれるかしら!? まったく、人聞きが悪いわね…」


 イヤ、絶対コレ上空先輩の言う通りだろっ!!


「いずれにしても、この別荘は隣にいる私の親友の『師本しほん 佳代かよ』ちゃんの別荘だし、それにあなた達に別荘は提供するって言ったけど、私達が一緒に行ってはいけないなんて約束をした覚えは無いわ。まぁ、心配しないで。アナタ達の『合宿』の邪魔をする気は全然無いから…」


 この人、ホントややこしい人だなっ!!


「ま…まぁ、それなら良いんですが……。ぜっ…絶対に邪魔だけはしないでくださいよ!?」


「わっ…分かってるわよ! 布津野君もしつこいわね! そんな事よりも、私達のメイド姿を見て布津野君は何の感想も無いのかしらっ!?」


「え―――っ!? か…感想ですか!? えっと、えっと……。感想ですよね…。い…いや…普通に可愛いとは思いますけど…」


(ポッ…)「かっ…可愛いですって!? 女子に対して簡単に『可愛い』って言うだなんて…。ホントにアナタは『女ったらし』ねっ!!」


 「可愛い」って言って欲しかったんじゃねぇのかよッ!!


「花持さん…。本当にとても可愛らしいですね…。凄く似合っています」


「お…越智子美代! ア…アンタなんかに褒められても全然嬉しく無いんだからねっ!!」


「す…すみません…。余計な事を言ってしまいました。私みたいな『ブス』が人様に向かって『可愛い』やら『可愛くない』などの判断をする権利なんてありませんでしたね。本当に申し訳ありません…」


 あちゃ~っ!美代部長!他人に自分の事を『ブス』って言っちゃダメですって!!


「ア…アンタ、私をバカにしているのっ!?」


「えっ?? わ…私は何も花持さんをバカにする様な事は…」


「花持部長! もうそこら辺で勘弁して下さいよ。花持部長が可愛いのは本当の事ですから、そろそろ俺達を別荘の中に入れてもらえませんか? ルイルイの運転のせいで、俺達もう疲れ切っているもんで…」


(ポッ…)「かっ…可愛いのは本当なのっ!!??」 


「もう良いから、早く中に入れろっ!!」


「はっ…はい! ご主人様!!」






 ウワ―――ッ!な…なんて豪華な部屋なんだ!!こんな部屋、テレビでしか見た事が無いぞっ!!


「とても広いお部屋ねぇ! それに天井にあるシャンデリアも凄く豪華だわ! あと壁に掛かっている絵画も、美術の教科書で見た事あるものばかりだし! 自分の家と比較しちゃいけないけど、ツイツイ比較してしまって…。あぁ、なんだか悲しくなってきたわ…。もう悩み事が増えそうよ…」


「なっ…菜弥美先輩!! そんな事くらいで悩まないで下さいよっ!! 菜弥美先輩は美人だから、きっと大金持ちの人に見染められて玉の輿に乗れますって!!」


(ポッ…)「ひっ…一矢君!! 前にも言ったが、私は決して美人じゃ無いからねっ!! それに私みたいな者に大金持ちが近付いてくるはずも無いし…。お金持ちになりたい訳じゃ無いから…。わ…私は愛さえあれば、相手が『貧乏』だろうが『チビ』だろうが『年下』だろうが誰だっていいのよ……」


 『貧乏』は分かるけど、あとの『チビ』やら『年下』は今の話しの中では全然関係なく無いですかっ!?


「大阪にある僕の父親の実家も結構大きいけど、ここまで大きくはないなぁ…。さすがは『エグゼクティ部』の人の別荘だよ……」


「そう言えば、子龍先輩は元々、大阪に住んで居たんですよね?」


「そうだよ。小学生の頃だけどね。そして父の仕事の都合で東京に越して来たんだ。その父に先日、一矢君の事を話したら『父さんの昔からの親友にタイプが似ているなぁ…』って言われたよ!! それを聞いて、僕はとっても嬉しくなってさ…。これはもう僕と一矢君は『切っても切れない仲』になると確信したよ!!」


「安心してください!! 俺は簡単に切れますんで!!」


「えっ!? え――――――っ!!??」 



「私、舞奈ちゃんを部屋に連れて行ってくるわね…」


「あっ! テルマ先輩、ありがとうございます!!」


「舞奈ちゃん、大丈夫? 私がおぶってあげようか?」


 イヤイヤイヤイヤ~ッ!!テルマ先輩、それは無理でしょう!!


 舞奈の方がテルマ先輩よりも、一回りくらい体大きいのに……

ハッ!!い…今、俺は心の中で突っ込んだよな!?…口に出して言っていないよなっ!?一瞬、焦っちまったぜ。舞奈に聞かれたら血を見るところだったぞ…



「ん? そういえば、いつの間にかルイルイが居ないですね? 何処に行ったんだろう…?」


「あぁ、アナタ達の顧問ね? あの人なら、運転で疲れたから部屋で休憩すると言って寝室に行ったわよ」


「えっ? そうなんですか…?」


 珍しくあの女が疲れて大人しく寝室に行っただなんて…。イヤ待てよ、本当に疲れて寝室に行ったのか!?また何か企んでいるんじゃないだろうな……


「んで、俺達の部屋って何部屋お借りできるんですか? こんなに大きな別荘なら、一人一部屋ですかね?」


「いや、ゴメンなさいね…。実は少し訳があってお部屋は四部屋しか用意できないのよ。だから、そちらで誰と一緒の部屋にするかは決めてちょうだいね」


「は…はい。分かりました…」



 うーん…。そっか~…。一人部屋の方が気を遣わなくて良かったんだけど、まぁ、仕方無いよなぁ…。とりあえず、四部屋もあれば組み合わせは簡単だな。


 美代部長と舞奈の従妹同士に菜弥美先輩とテルマ先輩の二年生女子同士、そしてメッチャ嫌だけど俺と子龍先輩の男子同士…。そして顧問のルイルイが一人部屋って感じだろうな。


「ひっ…一矢君! 僕は絶対、一矢君と同じ部屋だよね!? 男同士だしね。これは朝まで男同士の話ができるよね!? 男同士だから何でもできるよね!? 考えただけで興奮してきたよっ!!」


 興奮すなっ!!


 んで、「何でも出来る」ってどういう意味だよっ!?


 子龍先輩はルイルイの事を憧れているんだから、無理やりルイルイと子龍先輩を同じ部屋にしてやろうか…?いや、それもややこしい事になりそうだしなぁ……






 ブ―ン…ブ―――ン…


 『とあるマイクロバスの中』


「部長、窓をしめていただけませんか? 強い風が入って来てヘアースタイルが乱れます」


「あっ! ゴメンよ~っ、ムキムキ~っ!!」


「ところで私達はいつになったら目的地に到着するのですか?」


「ハッハッハッハ!! そうだね~っ! いつになったら到着するんだろうね~っ!? でも僕は楽しんでるけどねぇ~っ!!」


「部長は『超ポジティブ』だからこんな状況でも楽しめるんですよ…。でも他の部員達はもうそろそろ疲れが限界にきていると思いますが…」


「それもそうだねっ!! 先~生っ!! 『ショウショウ』先~生っ!! あとどれくらいで目的地に到着するのですか~っ!?」


「ゴ…ゴメンよ…、天翔君…。あともう少しだから…、もう少しだけ辛抱してもらえないだろうか…」


 「実は道に迷った」なんて、彼等には絶対言えないぞ……


「わかりました!ショウショウ先~生っ!! 運転頑張ってくださ~いっ!!」


 ショウショウ先生、絶対道に迷ったわね…

嘘をつくと頭が左に傾く癖のある人だけど、今まさに頭が左に傾いているわ…。でももうしばらく様子を見ましょうか…


「あぁ〜、早くミヨミヨやヒトヤン君達に会いたいなぁ~っ!!!!」




 ゾクゾクゾクッ!!!!ブルッッ


「一矢君、急に震えてどうしたの?」


「えっ!? な…何でも無いですよ、菜弥美先輩…」


「……? なら、良いんだけど…」


 いっ…、今の体の震えは一体何だったんだ!?


 い…嫌な予感しかしねぇし、俺の嫌な予感は毎回当たってしまうしなっ!!

 チョット作者!いい加減にしてくれ――――――――――――っっ!!!!


お読み頂きありがとうございます。

ついに80話です!とうとう100話が見えてきました。

ここまで頑張れたのは読んでくださってくれている皆様のお陰です。

本当に有難うございます。


またそろそろ感想などをいただけると有難いです。

初めての方の感想も沢山いただきたいですねぇ...

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