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第8話 イケメン過ぎるのも辛いなっ!(挿絵有り)

「昔々、あるところに…」


 ちょっと待って菜弥美先輩! 何で昔話風で説明するの!?


「大阪の青葉第六小学校に、四年生の子龍君が通っていました」


 『あるところ』じゃないじゃん!…ん? 『青葉第六小学校』…?


 どこかで聞いたか見たか、それとも読んだか......


 あっ、昔読んだ事のある全然売れていない作家の本に出ていた小学校の名前が確か『青葉第六小学校』だったような......??


 まぁそれはどうでもいいか......


「子龍君は四年生までは普通の子というよりも、とても明るくてクラスの人気者でした。しかし、五年生になった頃から急にクラスの女子達に避けられる様になりました」


 えっ…?

 何でだろ?


「そして六年生になった頃から、遂に全学年の女子から避けられるようになり、まだ明るい性格が残っていた子龍君は頑張って女子に近づき話しかけようとしましたが、話しかけられた女子は一瞬、子龍君の顔を見てはくれたんですが、すぐにその場を逃げる様にして立ち去って行きました」


 わ~…子龍先輩めっちゃ可哀想じゃん......

 辛かっただろうなぁ~......


「子龍君は、何故自分が女子達に避けられているのか理解出来ず男子の友人達に相談しましたが、何故か友人たちは揃って「しっ...知らねぇよ......」と言って、あまり相談に乗ってくれませんでした」


 ほほぉ~!!

 これは男子達は絶対何か知ってるな!!

 俺にはそんな気がするぜ!!


「そして時が経ち、中学一年の夏。父『孔明』の仕事の都合で東京に引っ越しする事になりました」


 父『孔明』って!!

 さっ...『三国志』かよっ!?

 

 あっ、でも親父が『孔明』だったら息子に『子龍』って名前をつける確率は高いよな!?


 もしかしたら、お爺ちゃんは『玄徳』だったりして......


「東京の中学に転校してきた子龍君は心機一転、少し暗くなりかけた性格を何とか変えようとクラスメイト達に明るく接したが、またしてもクラスの女子達は子龍君を避ける行動をとる様になりました。しかし、ただ一人を除いて......」


 え―――っ!?


 あまりにも子龍先輩可哀想過ぎる!!


 で...??


「一人を除いて??」


「そう! 一人を除いて...。何を隠そうその一人とは、この私であったのだ!!」


「えっ? 菜弥美先輩がですか!? という事は、子龍先輩と菜弥美先輩は中学からの同級生なんですね?」


「そっ...そうなんです…!! 子龍君を『ネガティ部』に誘ってくれたのは菜弥美ちゃんなんですよ......」


 美代部長、ようやく話に入れましたね。

 さっきから凄くソワソワしてましたもんね。


 ずっと菜弥美先輩が話をしてるから、自分の立場が危うく感じて不安で不安で仕方がなかったでしょう?


 俺、この数時間で美代部長の心の中が少し分かる様になりました......

 

 それにほらっ、今すっごく凄い嬉しそうな顔をして......

 ホンットめっちゃ可愛い過ぎるやろっ!!


「で、何故私は他の女子達と違って、子龍を避けなかったのか......?」


「そう! そこですよ! 何でですか?」


「それは…、私もクラスの男子から避けられていたから、子龍の気持ちがよく理解出来たんだよ」


「おぉ~なるほど! って、何で菜弥美先輩はクラスの男子から避けられてたんですか?」


「いや~、それがよく分からないんだよ。私が男子に声をかけると、皆すぐに逃げ出してしまうんだ。当時は私も辛かったから子龍の気持ちが良く分かって…うぅっ…」


「なっ...菜弥美先輩、当時を思い出して涙ぐむのはやめて下さいよ。それより、続きの話をお願いします」


「あ...あぁ、そうだった。ゴメンゴメン…。そして私が子龍に声をかけた時、何故子龍が女子達に避けられているか、ようやく分かったんだっ!!」


 おーっ!それはめっちゃ気になる~!!

 …ってよく見たらテルマ先輩寝ちゃってるし…!!


 そして子龍先輩はさっきからずっと顔が横向いてるし!!

 どういう事だっ!?

 首痛くないのかよっ!?


「クラスの女子の一人が私の所に来てこう言ったんだ。『大石さん、あなたよくあんな超イケメンに簡単に声をかけられるよね? 私達はあの人がイケメン過ぎて、目が合っただけで気絶しそうなのに......。声をかけたくても全然かけられないし、逆に彼が近付いて来たら、私なんかがお話するのも申し訳なくて体が勝手に逃げてしまうのよ』ってね......」


 はい~っ?? 


 な〜んか嫌な予感がしてきたぞ~… っていうか、何かもう分かった様な気がする......


 そろそろ突っ込みの準備が必要な様な気が......


「そして理由は分かったが、子龍にはどうする事も出来ず、中学も、そして高校一年の時も状況は同じだった。女子からは好かれ過ぎて避けられ、男子からは妬まれて避けられ......。いつの間にか子龍の周りには誰とも話が出来なくなるどころか、誰とも目を合わせる事も出来なくなって…彼が唯一会話が出来る場所が......、そう! この『ネガティ部』だけなんだよ!! 但し、私達とは会話はするが目は合わせないけどな! はぁ~、めでたしめでたし......」


 何が『めでたしめでたし』だよ!!


 でも菜弥美先輩の説明で、よぉ~く分かった事がある!!


「って事は菜弥美先輩、アレですよね? 子龍先輩はあまりに超イケメン過ぎて、小学校高学年くらいから異性の事を気になりだす女子からしたら子龍先輩がドストライクで…、でもカッコ良く過ぎて目も合わせるのも恥ずかしくて避ける様な行動をついついとってしまい、そして中学では超イケメンがいきなり転校してきた事で女子達は誰もが牽制しあっている内に結局誰も近付けなくなり、高校でも引き続き同じ状況が起こり孤立している子龍先輩を心配して担任の先生が職員室に呼び出したってところですね?」


「おぉ~!! 一矢君凄いな! 君はどこかの名探偵の少年みたいだな!」


 だっ...誰が名探偵の少年だ!? 


 俺はチビでもないし眼鏡もかけてないし......


 それにもう一つ分かった事があるぞっ!!


 それは、菜弥美先輩も当時から美人過ぎてクラスの男子が話しかけられなかったって事だよ!! 


 菜弥美先輩が美人だから、たとえイケメンを前にしても感動が薄かったんじゃないですか!?


 子龍先輩の理事情は分かってて自分の事は全然分かっていないなんて......


 鈍感過ぎて逆に可愛いわっ!!


「あの~子龍先輩…、一つだけ、聞いても良いですか?」


「な...何だい…? 出来れば手短に頼むよ......」


「はい、では手短に…。子龍先輩の苗字はもしかして…『ひとみ』じゃないですか?」


「……!!! なっ...何で分かったんだ!? そう、君の言う通り、僕の苗字は『人見』だよ…」


「や...やはりそうですか......」


 苗字を当てたのに、顔はやっぱり横向きなんですね......?


「一矢君スゴ~イ!! 何故分かったんですか!?」


「だ...だって…、今までの流れで分かりますよ…。『これでもか!』っていうくらい名前オチですから......」


「ん…? 名前オチ? それはどういう事かな??」


 皆が不思議そうな顔をしているな…さっきまで寝ていたテルマ先輩も起き出したみたいだな?


 よしっ!


 『人見子龍』だろ~。平仮名に変えると『ひとみしりゅう』だろ~


 って事は…無理矢理言うと…いや、簡単に言うと子龍先輩は極度の…………


「人見知りって事じゃねぇかぁ――――――――――――――ッッ!!!!」


挿絵(By みてみん)

一応主要キャラ5名が出揃ったところで面白ければブクマ及び評価をいただければ嬉しいです。

あと感想も是非くださいね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 「どういう事だっ!?首痛くないのかよっ!?」のところですごく笑ってしまいました。確かにずっと横向いてはいますけど……(笑) 登場人物のネーミングの法則が好きです。 ひとみしりゅう……(笑…
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