第73話 決着だっ!(挿絵有り)
いよいよ『ドッジボール対決』も最終局面です!!
「お――――――っと!! 越智子部長が相手チームギリギリのところで立っているぞ―――っ!! 一メートルも離れていません! これは一体どんな作戦なんでしょうかっ!? 私には全然理解出来ません!!」
「なっ…何なの!? 私をバカにしているのかしらっ!? こんな目の前に立っても私の投げるボールが当たらない自信が有るとでも!? ほんっと、腹が立つわねっ!!」
あの美代部長が、よくもあんな思い切った作戦を考えたよなぁ……
やはり自分の動きに自信があるのか…。いや、違うな。試合をやっている最中に自信がついてきたんじゃないのかな?いずれにしても、美代部長の考えた作戦を成功させるには俺も責任重大なんだよな!!
「そして越智子部長とは逆にあの『普通の子』は一番後ろに立っているぞ~っ!! 私から見れば女性を前に立たせて、自分だけが助かろうとしている『卑怯な普通の子』に見えてしまいます!!」
何なんだよっ!? 『卑怯な普通の子』ってよ~っ!!『卑怯な子』で良いじゃねぇかっ!!それにこれは作戦なんだよっ!!
「花持部長! 頑張れ~っ!! もう疲れたから早く終わらせてくれ~っ!!」
「そんな至近距離から投げて当たらなかったら凄く恥ずかしいぞ~っ!!」
なっ…何なのっ?あの人達!?人の気も知らないで!!変なプレッシャー与えないでよ!! そして何で越智子美代は目を閉じてるのよっ!?
「バ...バカにして~っ! ぜっ…絶対に当ててやるんだから~っ!!!! いくわよ~っ!! 越智子美代! 避けれるものなら避けてみなさいっ!! そりゃ~っ!!!!」
ビュッ…ビュ―――ンッ!!!
シュッッ!
「オッ…オッ――――――ッと~っ!! 花持部長が投げた渾身のボールを越智子部長が目を閉じながら、いとも簡単に避けたぞ―――っ!! 越智子部長には何か『特殊能力』でもあるのかっ!? この小説はそういうジャンルだったか―――っ!?」
あのアナウンス、何意味分からねぇ事言ってるんだっ!?
「なっ…何で目の前に居るのに私の渾身のボールを避けれるのよ―――っ!?」
「そして一番後方で立っていた『卑怯な普通の子』のところにボールが転がっていったぞっ!!」
バシッ!!
よしっ!ボールは何とかキャッチできたぞ! 後はこのボールを外野にいる前妻木先輩にパスをすれば完璧だ!!
(回想)
「一矢君…。私がコートの一番前に立って彼女達が投げるボールを避けますので、一矢君はコートの一番後ろにいてもらって、私が避けたボールを何とかキャッチしてください。一矢君のところにボールがくる頃にはボールの威力が落ちていると思いますので…。そして外野に居る前妻木さんにパスが届けば、必ず彼女は二人の内、どぢらかにボールを当てる事が出来るはずです。そうなれば二対一となり、私達が断然有利になると思いますので……」
「で、でも…俺のパスが外野の前妻木先輩のところまで届くでしょうか? 今日の試合で俺が投げたボールは、ほとんど外野に届いていなかったんですが……」
「だ…大丈夫です。私が見ていて一矢君のボールはドンドン外野に近づいてきていました。次こそは必ず外野に届きますよ。私は…、一矢君の事を…信じていますから……」
(回想終わり)
俺みたいな『へなちょこ野郎』の事を信じてくれている美代部長の為にも。絶対にこのボールを前妻木先輩のところまで届かせてやるぞ―――っ!!
「前妻木先輩! 俺のボールを受け取ってくださ―――いっ!! うりゃ――――――っ!!!!」
「『卑怯な普通の子』が大きな声を出しながら思いっきり外野目掛けてボールを投げた――――――っ!!!!」
「あっ!! しまった―――っ!! せっかく届いたのにボールが右上の方に逸れてしまいそうだっ!!」
「わっ! わっ! どうしよう! 一矢君の投げたボールが私達の方に向かってるわよっ!!」
「菜弥美! あなたジャンプ力あるんだから、あなたがボールをキャッチして敵の子を当てなさいよ!!」
「なっ…何を言ってるのよ、テルマ!! 私が当てれるわけ無いじゃないの!! とはいうものの…。多田野君は一番向こうの端にいるし、和久塁さんや舞奈ちゃんも少し離れているし…。本当は前妻木さんのところにいってほしかったのに…。私がキャッチして直ぐに前妻木さんにパスをしたら敵に後ろに下がる時間を与えてしまうし…、う~ん…。どうしよう…。やはり私がキャッチして直ぐに投げないとダメなのかしら……」
「オーッホッホッホ~っ!! これなら余裕で後ろに下がれるわね!!」
ブワァッ!!
「お――――――っと! ここで誰かが凄いジャンプをしているぞ――――――っ!!」
「しっ…子龍!?」
「うりゃーっ!!」(全然活躍できなかった僕だ…ここで頑張らないと一矢君に嫌われてしまう!!)
バシンッ!! ヒュッ!!
「な…何と! 仁見子龍が大ジャンプをしながら空中でボールをキャッチした途端、すぐにボールを前妻木さんにバスケの様な横パスをしたぞっ!!」
バシッ!! グイッ!! ギュイ――――――ンッ!!!!
「そしてボールを受け取った、前妻木さんが先ほどまでよりも更に凄い豪速球を投げた――――――っ!!!!」
「ウワ―――ッ!! 逃げ切れなーーい!!」
「上空さん!!」
バシンッ!!
「いっ…痛った――――――いっ!!!!」
「前妻木さんの投げたボールが上空副部長の右肩に当たった~っ!! そしてそのボールは大きく上に跳ね上がり『ネガティ部』側のコートギリギリまで飛んでいく!!」
よしっ!これで二対一だっ!! このボールをしっかりキャッチして、そのまま再び前妻木先輩にパスができれば……んっ!?
ブォ――――――――――――ンッ!!
「なっ…何と、越智子部長が跳ね上がったボール目掛けてジャンプをしているぞ~っ!! そ…そしてあれは!? あれはバレーボールの様にアタックをする体勢だ――――――っ!!!!」
「みっ…美代部長!! もしかして!?」
「アタ―――――――――ッック!!!!」
バッ……コ――――――――――――――ンッ!!!!
「なっ…何!?」
バンッ!!!!
「越智子部長のアタックしたボールが、花持部長の顔面に直撃した―――っ!!!!」
「フギャ―――――――――ッッ!!!!」
ストンッ…コロコロコロ……ピタッ
シ――――――――――――――――――ン…………
ピッ…ピピ――――――ッ!!
「しっ…試合終了――――――――――――――!!!! ネッ...『ネガティ部』の勝利で―――――――――――すっ!!!!」
マ…マジか…? 本当に俺達が勝ったのか……?
「美代部長!! 一矢君!! よくやったぞ――――――っ!!!!」
「ひっ…一矢~っ!! 私達が勝ったわよ~っ!!」
「これで私達の部は『四大茶部』のままねっ!!」
「フツオ~っ!! 最後のパスはヒヤヒヤしたぞっ!!」
「ひっ、一矢君…。私、全然お役に立てなくてごめんなさい……」
「ひっ、一矢君! ぼ…僕のジャンピングパス見てくれたかな!?」
「布津野君、お疲れ様……」
「ひ…ひ…一矢君…。わ…私…私達……」
「そ…そうです。俺達が…か…勝ったんですよ――――――――――――――っ!!!!」
そして、『スポコン漫画』みたいで……
突っ込むところが全然ないですわ――――――っ!!!!
イヤッホ――――――――――――――――――イッッ!!!!
お読み頂きありがとうございます。
なんとか決着がつきました。あとは『エグゼクティ部』がどうなるかですね。




