第66話 今度は俺だけがピンチじゃないかっ!(挿絵有り)
『四大茶部』の称号を賭けて、まさかの『ネガティ部VSエグゼクティ部』の『ドッジボール対決』が決定!
~四大茶部総会終了後の廊下にて~
はぁ……。まさか、『エグゼクティ部』と『ドッジボール対決』をするなんて……
俺、運動全然ダメなのに…どうしたらいいんだよっ!?
ほらっ、美代部長もかなり落ち込んでるぞ!
「み、美代部長。大丈夫ですか?」
「えっ、えぇ…。『大丈夫です』とは正直言えませんが…一体どうやって十五万円もの大金をお返しすれば良いのか……」
「えっ……そっちですかっ!? もう負ける事前提で考えているんですかっ!?」
「えっ? 一矢君は勝てると思っているのですか?」
「い、いや…さすがに勝てるとは思ってませんよ。でも、そんなにあっさりと負けを認めるのはちょっと悔しいかなぁ〜とも思いますし、それに二十年以上も『四大茶部』と呼ばれている歴史のある『ネガティ部』が、創部約二年の『エグゼクティ部』なんかに安々と『四大茶部』の称号を譲るのは何か癪に障るなぁ…なんて思ってしまって……」
「ひ、一矢君。ありがとう…。あなたの方が『ネガティ部』の事をとても愛してくれている様な感じですね。なんだか私…とても恥ずかしいです。これで『部長』だなんて本当に申し訳がありません……。あっ、ではこれを機会に私の代わりに一矢君が部長になって頂けないでしょうか……?」
「えっ!? え―――っ!? そ、それは絶対嫌ですよ! っていうか俺なんかが部長だなんて絶対無理ですからっ! 俺は美代部長が『ネガティ部部長』だからこそ『ネガティ部部員』としていますし、美代部長がいるから頑張れるんですよ。なのでそんな悲しい事は絶対に言わないでください! お願いします!!」
(ポッ…)「あっ……。ひ、一矢君。ありがとうございます。今の一矢君の言葉で少し元気を取り戻せました。やはり私も本音を言えば『四大茶部』から外されるのは悔しいです。なので、今から部室に戻って早急に皆さんと『ドッジボール対決』に向けての『作戦会議』を行いましょう…!」
「そうですね。皆で一緒に考えたら、何か良い作戦が浮かぶかもしれませんよね? そ、それに……」
「ん? どうかされましたか?」
「そ、それに……今回はウチの部は全然部費が残っていませんが、来年になればまた『二十万円』貰えるんですよね!? そうなれば来年、俺は『ネガティ部部員』だけで『夏合宿』をやりたいなぁ〜なんて思ってるんですよ!」
「『夏合宿』ですか……。それはとても良いですね…!私は今までそんな事考えた事も無かったです。あぁ…想像しただけでも凄く楽しそうです……」
「でしょう? 俺、この間の『謎めいた合宿』の時にそう思ったんですよ! あそこでは色々とありましたけど、クラスのヤツらと行った合宿でも結構楽しかったんで、もし『ネガティ部』のメンバーだけで合宿をすれば更に楽しくなるんじゃないかって……」
「ホント、そうですね。考えただけでもワクワクしますね。…でも、残念ながら来年、私は卒業してこの学園にはいませんので合宿には参加できませんね…グスン……残念です……」
「何を言ってるんですか美代部長! 卒業されても『ネガティ部OG』として合宿にお誘いしますよ! 当たり前じゃないですかっ! 美代部長が俺を『ネガティ部』に誘ってくれていなかったら、今の俺と美代部長…二人の関係は無かったんですから! 約束しますっ!!俺は絶対に合宿に誘いますよ!!」
「グズン…。あ、ありがとうございます、一矢君…。私、嬉しさのあまり…涙が止まらなくなってきました……。グスン…グスン…ウゥッ…グズン……」
「あぁ~っ! 美代部長っ、泣かないでくださいよ! これで涙を拭いてください! って…アレ!?」
「グスン…ど、どうかされましたか? 一矢君……」
「えっ、えぇ…。どうも生徒会室にハンカチを置き忘れてきたみたいです。さっき熱く語り過ぎて、結構汗をかいてしまったんで……。少し汗を拭きとる時にハンカチを使ったんですが、テーブルの上に置き忘れてしまったかもしれません。あのハンカチ、アメリカに留学中の妹が渡航前にプレゼントしてくれたハンカチなもんで……。美代部長、スミマセン! 先に部室に戻っててもらえますか!? 俺、ちょっと生徒会室にハンカチを取りに戻りますので!!」
~生徒会室~
「ふぅ~……。ようやく、あの『変人集団』達はそれぞれの部室に戻ったか……」
「うん…『えり君』……。お疲れ様っ! 今日も、とてもカッコよかったよ!」
「オイオイ、『えり君』って......。『キリたん』も切り替えが早いなぁ......」
「まぁね。でも『えり君』だって、早く私に『アレ』をしてもらいたいんでしょ?」
「ま、まぁ…そうなんだが……」
「さぁ、『えり君』! こっちにいらっしゃい! 早くソファーにおいで」
「も~っ! 『キリたん』!そんなにせかさないでくれよ~っ!」
「どう? 気持ち良い?」
「あぁ、とても気持ち良いよ。寝てしまいそうだよ……」
「駄目よ。せっかく私がしてあげているんだから、寝るなんて私に失礼よ!」
「ゴメン、ゴメン……冗談だよ。でも少し怒った表情の『キリたん』も可愛いな」
「もう~、また言ってる~。その言葉、聞き飽きたわよ」
「ハッハッハ。私は全然、言い飽きていないけどね」
「もう~、まぁ良いわ。別に言われて嫌な事じゃないし…。むしろとっても嬉しいし……」
「しかし、『キリたん』の上は毎回だが、とっても気持ち良いなぁ……」
「そう言って貰えて、私もやりがいがあるわ……」
イチャイチャ……。イチャイチャ……。イチャイチャイチャ…………
「ひっ…膝枕だっ!! あぁっ、しまった! 声に出してしまった…!」
「だっ、誰だ!?」
「だ、誰かいるの!?」
「・・・・・・」
「誰かいるのは分かっているんだ!! いいから早く出てくるんだ!!」
「ニャ~……。ニャ~……。ニャ~……」
「あぁ、なんだ。ネコか……」
「…って、信じるとでも思っているのか!? いいから早く出てこい!!」
「し、失礼します……。先ほどは、どうもです……」
「ふっ、布津野君か! 一体何しに戻ってきたんだ!?」
「い、いや…先程の総会の時にハンカチを忘れてしまったみたいで…。そ、それで……」
「それで、生徒会室に取りに戻ってきた訳ね?」
「は、はい。そういう事です。そして先程のテーブルの上に俺のハンカチはありましたので……。よっ、用事は終わりましたので俺は部室に戻りますね。それではっ、お疲れさまでしたー!!」
「オイ、待て!!」
「ヒェ〜ッ! おっ、俺はな…なっ、何も聞いてませんし…なっ、何も見てませんから! という事で、お疲れ様です!!」
「だから待つんだ!! 良いか? ここを動くな!!」
「い、命だけはご勘弁をー!!」
「バ…バカな事を言わないで。誰が命を取るのよ!?」
「そんな事よりも布津野君。君はどこまで聞いて、どこまで見たんだ?」
「へっ…? な、何の事ですか? 俺は何も……」
「嘘はいい!! 正直に言わないと……マジで『取る』ぞ……」
「ゲ―――ッ! ハッ、ハイッ!! 正直に言います!…でも、そんなには聞いてないし、見てもいないですよ。俺は会長が副会長に甘えた声を出しながら、ソファーに座っている副会長の膝の上に頭を乗せて、二人で『あーでもない、こーでもない』とイチャイチャしている所しか聞いてないし見てませんので!! 全然大丈夫です! ご心配無さらずに!!」
「ぜっ…ぜっ…! 全部聞いているし、見ているじゃないか―――っっ!!」
「これはマズいわね布津野君……。このままでは帰せないわね。今から三人で、ゆっくりと、話し合いをする必要があるわ……」
ヒッ、ヒィ―――ッ!!
だっ、誰か…!助けてくれぇぇ――――――――――――――――――っ!!!!
お読み頂きありがとうございます。
『四大茶部総会編』はここで終わりですねぇ。次からは『ドッジボール対決編』が始まるはずです(笑)
えっ?一矢はどうなるかって?
さぁ、どうなるんでしょうねぇ......(笑)
次回をお楽しみにです(^_-)-☆




