第51話 させてたまるか―――っ!(挿絵有り)
クラスの仲間達の協力を得て無事に『普通』のカレーライスを食べる事ができた一矢達......
罰ゲームも免れ、多少の違和感を感じながらも一矢達はなんとか夕飯も終わり風呂の時間となったのだが......
しかし、今日の合宿は波乱の幕開けだったな。予想はしていたけど、そう簡単に食べる事のできない『カレーライス』……。そして、てっきり俺達の班だけ具材が入っていない『普通以下のカレー』を食べると思っていたのに、まさかの一発逆転で『合格』判定……
まぁ、この判定に対しては少し違和感はあるけど、美味しいカレーライスが食べれたという事で深く考えない事にしよう。それにしても、あのルイルイは一体何を考えているんだろうか?全然奴の考えは読めないなっ!ホント、謎の多い女だぜっ!!
「お~い、フツオ~。何してるんだ~?風呂行かねぇのか~?」
「あぁ~モブオ。俺はさっきの晩飯を食べ過ぎてお腹一杯でお腹が苦しいから、もう少しロビーのソファーで休憩してから風呂入るわ」
「そっか、オッケー。それにしても意外とここの晩飯、美味かったよな?俺、ご飯三杯もおかわりしたぜ~! もしかしたら晩飯は所長代理が作ってたりして……」
「そっ、それは無いだろ!五百人分の晩飯だぜ!?それに仮にルイルイが晩飯を作っていたら、きっと料理の中に下剤とかを入れているはずだっ!」
「さっ、さすがにそこまではしないだろう!」
「いやっ、あのルイルイだったらやりかねないぜっ!」
「それはひどいな~、ヒトヤン!」
「あっ!?ルイルイ!!」
「私はそこまでひどい女じゃないよ。そんな事をする様な女に見えるか?」
「見える!!」
「即答だな。ハッハッハッハ……。ホント、ヒトヤンは面白い奴だ。他のミジンコ共とは少し違うな」
「それ、褒めてるのか!?全然嬉しくないけどなっ!!」
「ブオブオは今から風呂か?背中、流してやろうか?ワッハッハッハッハ」
「あっ、はい。今から風呂行ってきます!背中流してもらうのは後が怖いので遠慮しておきます!そっ、それではっ!」
「ちっ、モブオの奴、俺を残して行きやがって……」
「ヒトヤンは風呂に行かないのか?」
「あ、あぁ俺はもう少し休憩してから風呂に入るつもりだよ」
「ほう~そうか。それじゃぁ、私も休憩しよう!ヒトヤンの隣に座らせてもらうぞっ!」
ちょっ、ちょっとルイルイ、何故俺が座っているソファーに無理やり座るんだ!?横のソファーに座れば良いじゃないかっ!しかしルイルイ、メチャクチャ良い香りをさせてやがるぜっ!
「とっ、ところでルイルイ……。ルイルイに聞きたい事が山ほどあるんだけど聞いても良いか?」
「あぁ良いぞ。何でも聞いてくれ!私の好きなタイプか?それはヒトヤンみたいな奴が好きだな!」
「べっ、別にそんな事、聞いてねぇしっ!それに俺みたいなのが好きなんて言うな!おちょくられているとしか思えないわっ!! それとモブオにまで『ブオブオ』って……。変な呼び名だけど、アイツも繰り返しの呼び名なのに何で俺だけ『ヒトヤン』なんだ!?べ……別に繰り返しの呼び名が欲しい訳じゃないけどなっ! そ、そこは勘違いするなよっ‼」
「別におちょくっている訳ではないぞ!本当の事だ!それに私が今までに好きになった男の呼び名は全て『ヒトヤン』だからな! 私からすれば繰り返しの呼び名の奴等は『クソ』みたいなものだ!」
「そ、それはそれで酷い言われようだな!」
「まぁ今日は私も久しぶりにこの合宿所に来て少しだけ昔の事を思い出していたんだ。さっきまで晩飯を作りながら青春時代の思い出に更けていたころだ……」
やはり晩飯、作っていたのかよっ!?それはそれで凄いなっ‼ごっ、五百人分なんだぞっ‼
「あっ、勘違いするなよ。自分の晩飯を作っていた時だからな」
「おっ、思いっ切り勘違いしたわっ‼」
「まぁ、話を戻すが、あれは約二十二年前の事になるが、私が四歳の幼稚園年中さんの頃だった。メチャクチャ可愛らしくて仕方のない子だったんだが……」
そんな情報は要らねぇよっ!
「ただ当時の私は余りにも可愛過ぎて周りからは逆に『ブス、ブス』と言われ続けいじめられていたんだよ。だからそのせいで性格は大人しく引っ込み思案で自分の事は『超ブス』だと思っていた。だから人の顔色ばかり見て生活をしていたんだ……」
えっ!?このルイルイが大人しくて引っ込み思案だっただと!?冗談も休み休みに言えよ!
「そんなある日の事、私の通う幼稚園に『名染伊太学園』の『ポジティ部』の部員達がボランティア活動の一環として私達園児と交流をする為に訪問して来たんだ」
おーっ!ここでまさかの『ポジティ部』登場かよっ‼
「さすがポジティブな性格が集まった部活だ。みんな明るくて面白い人達ばかりだった。そしてその中でもひと際、目立っていたのがポジティ部部長だった……」
なんか、ポジティ部部長って聞いたらあのテンテン部長の事を思い出しちまって、さっき食った晩飯が出て来そうになるぜっ!
「ポジティ部部長……。その人こそ私が大好きだった『ヒトヤン様』だ……」
「ひ、『ヒトヤン様』って……。『様』を付けるなんて余程尊敬しているのかっ! このルイルイがっ!?」
「『このルイルイ』ってのは失礼な奴だな! まぁいい。このヒトヤン様は他の部員達と比べてもレベルが違い過ぎるほど『超ポジティブ』な方だった」
「あの、テンテン部長よりもか?」
「バカ野郎! あんな『クソ野郎』と比べるのも恐れ多い方だ!」
あれだけルイルイの事を崇拝しているテンテン部長を初めて気の毒に思えたぜ……
「あっという間に園児達に大人気になり、彼を取り合い園児同士で争いが起こった程だ」
う~ん……、あのテンテン部長だったら園児達が取り合いにはならんだろうな!
ゴメン、テンテン部長!
「まぁ当時の私はその取り合いをしている光景を指をくわえて眺めているしかできなかったんだがなっ! でもその時、私の目とヒトヤン様の目が合ったんだ!」
「お―――っ! ついにルイルイと接触するのかっ!?」
「・・・・・・」
「ん? ルイルイ? どうしたんだ?急に黙り込んで……」
「じ……じ……次回……」
「へっ?次回がどうしたんだ?」
「次回は『ルイルイ回想編』をお送りするぞ―――っ‼」
なっ、何だとーーーーっ!?
『ルイルイ回想編』なんて……さっ!––––』
「させてたまるか―――――――――――――――――――――っ‼‼」
お読みいただき有難うございました。
ついに51話です。
まさかこんな早いペースで51話までくるとは思っていませんでした(笑)
でもまだまだ書きたいことが山ほどありますので、しばらくの間、どうかお付き合いくださいませ。
これから少しずつ『ルイルイ』の謎が解き明かされるかも!?それに結構他の事でも謎というか伏線を張りめぐらせているんですよ!気付かれていますかね?もし気付いても黙っていてくださいね(笑)
おそらく52話で一つの謎が判明しますのでどうぞお楽しみくださいね。




