第41話 とにかく帰ってくれっ!
突如現れた『ポジティ部』部長の『テンテン』こと天翔高雄!
果たして一矢はこのピンチを乗り切れるのか!?
なっ、何でここに天翔部長が来るんだ!?
っていうか何で俺の家を知っているんだ!?
でも今はそんな事はどうでも良い......
あまり家の前で大声を出されたら近所迷惑だし、何より恥ずかし過ぎるわっ!!
ここは美代部長を守る為にも、俺が気合いを入れて、面と向かって追い払わなければっ!
・・・・・・
・・・・・・
いや、ここはやはり、インターホンで応対しようかな…
「ど…どちら様ですか~? セールスならお断りですよ~…」
「おっ! この声は普通…っ、じゃ無くて布津野君だなっ!? まさか君がインターホンで出てくるとは思わなかったよ~っ!!」
「イッ、イヤ、ここ俺の家なんで、俺が出るの当たり前じゃないですか」
「そうだね! 言われてみれば君の言う通りだっ! これは一本取られたよっ!」
「全っ然、一本なんか取ってませんからっ! それに、ここには美代部長は来てませんのでお引き取り下さい!」
「おっ! 何だ布津野君! さっきまでの僕の独り言が聞こえていたのかいっ!? それとも君は『エスパー』か何かかいっ!?」
「どっ、どこが独り言だよっ!! 近所に丸聞こえな位、デカい声だったじゃねぇかっ!! それに今時『エスパー』って言葉使う奴いねぇよっ!! 俺は『魔美』じゃねえしっ!」
ハッ!しまった!
思わずタメグチで突っ込んでしまったぞ…。ヤ、ヤバイなぁ…
「ナイス、突っ込み~っ!! やはり君は最高だよっ! 僕が期待していた以上の突っ込みだっ! 『エスパー』の突っ込みの後にまさか『魔美』まで持ち出してくるなんて…。素晴らしい~っ!! 布津野君!君は最高だよっ!!」
タメグチは良いのかよっ!?
それに、まさか俺の突っ込みをあんなに褒めてくれるなんて......
何だか悪い気はしないな…。って、俺は何を考えているんだっ!!
ここで何とか天翔部長を食い止めなくては!!
「とっ、ところで何で天翔部長は俺の家を知っているんですか!? それに何でうちに美代部長が来ているとおっしゃるんですかっ!?」
「何故僕が君の家を知っててミヨミヨがここに居るって知っているかって!? それは勿論、僕が大尊敬しているルイルイ先輩が教えてくれたからに決まっているじゃないかっ!!」
なっ...何だと――――――――――――っ!!
あの女、自分は来るなって言われたから、それに対する報復だなっ!
きっとそうだ!
何て女だっ!!
それでも俺達の顧問かよっ!
「それとルイルイ先輩は僕が行けば『ミヨミヨも布津野君達も凄く喜ぶぞーっ』って言ってくれたんだ~っ!!」
だっ、誰も喜ばねぇよっ!!
逆に大迷惑だわっ!!
「てっ、天翔部長…。その時のルイルイの表情はどんな感じでしたか?」
「えっ? ルイルイ先輩の表情かい? う~ん...そうだなぁ~...。満面の笑顔だったと思うよ!」
あの女ぁ〜!
いつか痛い目に合わせてやる!!
「いずれにしても天翔部長。ここには美代部長は居ませんのでそろそろ帰って頂けませんか? お願いします!」
「う―――ん…。でもあのルイルイ先輩が僕に嘘をつくとは思えないんだがなぁ…」
「あっ! 天翔部長! それは嘘では無いと思いますよ! ルイルイ独特の『ギャグ』ですよ! 天翔部長と俺とのやり取りを、絶対どこかで腹を抱えて笑っているはずです! ぜっ、絶対そうですよ!」
「なるほど! そういう事かっ!! さすがは布津野君だっ!! 僕なんかよりもルイルイ先輩の性格をよく分かっているんだねっ!? 恐れ入ったよっ!」
「分かって頂いて嬉しいです。ですので、そろそろ帰って頂けませんか?」
「ところで布津野君?」
「なっ、何だよっ!? まだ帰らねぇのかよっ!?」
「嫌、ゴメンゴメン。今の突っ込みも最高だったけど、一つ気になる事があってね」
「な…何なんですか!?」
「せっかく僕と君はこうやって楽しく会話ができる間柄になったんだ。だからもう僕の事は『テンテン』って呼んで欲しいなぁってね! そして僕は君の事を『ヒトヤン』って呼びたいんだが、構わないだろうかっ!?」
「今の要望に応じれば絶対、帰ってくれますか!?」
「あぁっ! 勿論だともっ!!」
「わ、分かりました。『テンテン部長』どうかお引き取り下さいませっ!」
「オッケー! 了解ですっ! せっかく家覚えたから、『ヒトヤン』また遊びに来るよっ! それではまた明日、学校でねっ!!」
二度と来るんじゃね――――――よっ!!!!
ハァ、ハァ、ハァ…
めちゃくちゃ疲れたぜ……
「あの、一矢君…」
「えっ?」
「一矢君…。私を助けてくれて有難うございます……」
「あっ! 美代部長に、皆さんも居たんですか?」
「一矢君、凄かったよ! あのテンテン部長にあそこまでの事を言えるなんて…ホレ…いや、感動したよっ!!」
「菜弥美先輩…。そ、そんな事は無いですけども…」
「一矢君…。今日はご褒美に夕飯を『あ~ん』して食べさせてあげるわ…」
「テッ、テルマ先輩!…。マッ、マジっすかっ!?」
「じゃあ、私も一矢に…あ…あ……っ。う~…、む…無理〜っ!!一矢、ゴ…ゴメン……」
「舞奈、別に良いよ。気にするな」
「じゃあ、僕が代わりに…」
「子龍先輩! もう家に帰りますかっ!?」
「ゴッ、ゴメン、一矢君! 許して下さい!」
どっちが先輩だよっ!?
ついに立場が逆転したなっ!
「一矢君…。本当に有難うございます。あなたが入部してくれたお陰で残りの一年は安心して過ごせそうです」
「美代部長、そんな大袈裟だなぁ~」
「いえ、本当ですよ。私はとても感謝しているんです…。あの…」
「あの?」
「そう! あの『占い師』を…」
占い師にかよっ!?
ピンポーン…
!!??
「ヒトヤ~ンッ! まだ言い忘れていた事があるんだけど良いかな――――――っ!?」
まっ…。まっ…
まだ帰ってなかったのかよ――――――――――――っ!!??
早く帰ってくれ―――――――っ!!
じゃないと俺、引っ越しするからな―――――――っ!!!!
お読み頂き有難うございました。
一矢と天翔部長のやり取りいかがだったでしょうか?
ちょっとコントっぽかったですかね?今後も一矢と天翔部長とのやり取りはこんな感じになるかもです(笑)
私も天翔部長を書く時はテンション上げて書いてますので書き終わった後はヘトヘトですわ(笑)
という事で、間もなく中間テストが始まり、そして『謎めいた合宿編』へと続くと思いますので、どうぞ楽しみにしていてください(^^)/




