第38話 アンタ、何者だっ!
ようやくネガティ部部員が一矢の部屋に!
「わーっ! ここが一矢のお部屋なのね? 思ったよりも片付いてるじゃない」
「えっ? そうかな?エヘヘ…」
フフフ…。本当は俺が帰る前に母さんが片付けてくれていたんだけどな!
ホント、母さんはいつも機転がきくぜっ!
突っ込みが好きなのは知らなかったけどな!
「わ…私、とても緊張してきました。これが男の子のお部屋なんですね…?」
「み、美代部長…。そんなに部屋の中をジロジロ見ないでくださいよ~。とても恥ずかしいので…」
「一矢君? この壁に貼っている女性のポスターだけど一体誰なんだ?…私はあまりテレビを観ないからよく分からないんだけど…」
「あっ、菜弥美先輩。この人はですね、俺が五歳くらいの頃にデパートの屋上で行われていたイベントに行った際に、デビューしたばかりのアイドルのポスターで、その人に凄く優しくしてもらって、その時にその人が自分のポスターを一枚くれたんですよ。で、俺は大事に今でも部屋に貼っているんです」
「へぇ~、そうなのかぁ。一矢君は見た目通り『普通』に義理堅くて優しい子なんだな」
「菜弥美先輩。別に『普通』っていうワードは要らないじゃないですかっ! 俺マジで『普通』っていうワードに最近メチャクチャ敏感になっていますから」
「一矢君…。この鍵の掛かった箱は何なの?」
「えっ? …。え――――――っ!? テ、テルマ先輩! それどこから見つけてきたんですか!?」
「『普通』にベッドの下にあったわよ」
「だから『普通』ってワードは…って、そんな事はどうでも良いわっ! そ…その箱は俺の宝物が入っていまして、その中身は絶対お見せできませんので、どうか気にしないでください!!」
「それは無理だな。私、この箱の中身がとても気になる。あぁ、とても気になる…。気になる…。気になる…」
「なっ何でそこ、棒読みなんですか?」
「冗談よ。別に一矢君の宝物を無理矢理見たい訳じゃ無いから…。ちょっと一矢君をからかってみたかっただけよ。ゴメンね…」(ニコッ)
あ~っ!たまらん!!
何て『小悪魔』な人だ!
それなのに何て『天使』の様な笑顔なんだっ!
う~~~んっ、抱きしめた〜いっ!!
そ…それに箱の中身が、写真編集が趣味の俺が、今まで皆が送ってきた自撮り写メをPCで編集してそれを印刷して各自の『アルバム』を作っているなんて、恥ずかしくて絶対言えねぇぜっ!!
下手をすれば全員から『変態扱い』される可能性もあるしなっ!!
あっ!
勿論、子龍先輩のアルバムなんかある訳ないけどなっ!!
「ところで一矢君?」
「わっ! なっ、何だよ子龍!?」
「僕に厳しい一矢君だけど、もう僕の事を呼び捨てにするレベルにまで達したんだね?」
「イッ、イヤ……スミマセン! 子龍先輩!ちょっと子龍先輩の事を思っていた瞬間に子龍先輩から急に声を掛けてきたんで、ビックリして思わず呼び捨てにしてしまいました…」
「ぼっ、僕の事を思ってただって!? それは本当かい!? なっ、何かとても嬉しいよ。僕もこれからは今まで以上に一矢君の事を思う様にするよっ!」
「いえ、結構です!!」
「そ…そんな事よりそろそろ勉強しませんか? 俺、マジで今度の中間テストがヤバイんで」
「そうですね。そろそろお勉強を始めましょうか。えっと…。私達、どう座りましょうか?」
「勿論、昼休みや部活の時同様に一矢君の右隣りは私だねっ!」
「じゃあ、私はいつも通り一矢君の左隣に座るわね…」
「ちょっ、ちょっと待ってください、二人共! ここは屋上でも無いし、部室でも無いんですからっ! いつも通りってのは止めませんか?」
「ま…舞奈…。別にどこに座ろうが良いじゃんか。それとも、舞奈が俺の横に座りたいのか?」
フッ……。ちょ〜っとからかってやったぜ………
カァ――――――ッ!!(舞奈の顔が真っ赤になる)
「ひっ…! 一矢のバカ――――――ッ!! ちょっと、お手洗いに行って来るっ!!」
バァンッ!!
アレ?…舞奈の奴どうしたんだ?
『そんな事ある訳無いじゃない』って言ってくると思ったのにおかしいな……?
まさか、本当に俺の横に座りたかったのか?
…いや、それは絶対無いわ~…
トントン…
ギィー…
「あっ、母さん」
「お勉強中のところゴメンなさいね。お茶とお菓子を持って来たんだけど…。それと今部屋から出て行った、とてもグラマーな子、とても赤い顔をしてお手洗いに入っていったけど大丈夫なの?」
「あっ…あぁ…。大丈夫だよ…きっと…。それより、早くお茶とお菓子を置いて部屋から出てくれないかな?」
「あっ、そうね。ゴメンなさいね。直ぐに出て行くわね…。…んっ? ねぇ、そこの君」
「えっ? ぼ…僕の事ですか?」
「そうよ。超絶イケメンのあなたの事よ」
「な…何でしょうか?」
か…母さん、頼むから先輩に変な事だけは言わないでくれよっ!!
「あなた、もしかして小さい頃に大阪に住んで居なかった?」
「えっ!? 何で知ってるんですかっ!?」
「あぁやっぱりそうだ! アナタもしかして『仁見』さんとこの息子さんじゃない?」
クルッ!!
「そっ、そうです!僕は『仁見孔明』の息子の『子龍』です!!」
なっ...何だ!?
子龍先輩の首が…母さんの正面を向いてるぞっ!!
かっ、母さん…
アンタ、一体何者なんだよ――――――――――――っ!!!??
お読み頂き有難うございます。
今回も勉強できませんでした(笑)
おそらく次回も勉強できないかも...いや...なんとか勉強させてあげますよ。ヒトヤン(笑)




