第37話 カエルの子はカエルだなっ!(挿絵有り)
ルイルイの提案で一矢に勉強を教えるために部員全員が一矢の家に行く事になり...
果たしてどんな展開が待っているのでしょうか?
「あっ、もしもし母さん? 急で悪いんだけど今から部活の人達がうちに来るから! …えっ? あぁ、五人かな?あぁ、うん、そうそう…。皆で一緒に勉強するんだ。…えっ? うん、そうそう。それじゃぁ悪いけどよろしくね…」
ピッ
「ほ~…。五人という事は私を入れて五人だな?」
「バッ、バカな事を言うなよ! 何でルイルイまでうちに来る必要があるんだっ!? 五人目は舞奈だよっ!」
「そっ...そうですよ! 私が部室に来ていない間に皆で一矢のおうちに行く事が決まっていたなんてビックリよっ! もう少しで私、仲間外れになるところだったわ! 五人目は私に決まっているじゃないですかっ! …でも、男の子のお部屋って入った事無いから、ちょっと楽しみだわ」(ニコッ)
ちょっと舞奈さん? やっぱお前『ビッチ』じゃ無くて『ぼっち』なのね…。ずっと疑っていたけど、なんかゴメンな......
「フフフ…。マイマイ、部屋に入って驚くがいい! きっとお前にとって凄いものが沢山有るぞっ!!」
「えっ? 凄いもの??」
「こらっ! ルイルイ! 余計な事を言うんじゃねぇよ! っていうか、す…凄いものなんてねぇよっ!!」
「わ…私もとても楽しみです。男の子のお部屋ってどんな感じなんでしょうね? 菜弥美ちゃんはご存じですか?」
「えっ!? わ…私ですかっ!? わ…私が知っている訳無いじゃないですかっ! ひっ...一矢君! ご…誤解しないでねっ! 私は絶対知らないからっ!! もし私を疑うのなら私はどうやって一矢君の誤解を解いたら良いのかをずっと考えて悩み続けるからっ!」
菜弥美先輩、そこは別に焦らなくても悩まなくても良いですからっ!!
「私は知ってる…」
「テッ...テルマ先輩!? せ…先輩は男の子の部屋に入った事があるんですかっ!?」
「あるわよ。でも弟の部屋だけどね」(ニコッ)
ハァ―――ッ…。ビックリするじゃないかっ! 今度は俺が焦っちまったぜっ! …しかし良かったぁ~。弟さんの部屋かよ~......
それとテルマ先輩、それを言った後のあの『ニコッ』ってのは何なんだ? …ハッ!! もしかして、ワ…ワザと言ったのかっ!?
可愛い後輩をイジメる気だなっ! よ~しっ! なら、もっとイジメてくれっ!!
「僕も一矢君の家に行けるなんて、とても楽しみだよ」
「男である子龍先輩が楽しみにする必要は無いんじゃないですか?」
「そ…そんな事は無いよ。だ…だって、僕が男の子の部屋に行くなんて小学校四年生以来なんだよ…。それも大阪に住んでいる頃なんだよ…。あの日以来、東京に越してから初めて友達の家に行くんだよ…。ホント、ここまで来るのに長い時間掛かったよなぁ...…グスン…」
ワ―――ッ! 子龍先輩、昔の悲しい過去を思い出させてしまってスミマセン!!
「さ...さぁ、皆さん。そろそろ俺の家に行きましょうか? ただ先に言っておきますが、あくまでも勉強ですよ! 俺に勉強を教えてくれるんですよね!? 遊びに来る訳では無いので、くれぐれもソコらへんは宜しくお願いしますよ!!」
「何だとヒトヤン! 勉強を教えてもらう『留年間近』のお前がよくそんな偉そうな事を言っているなぁっ!!」
「うっ...うるせぇよ! ルイルイ! 誰が『留年間近』だっ! まだ一度もテストをやっていない俺に訳の分からない事を言うんじゃねぇよ! そ…そんな事より、今日の部活は終わりだからとっとと帰ってくれ! 明日も本業は早いんだろっ!?」
「ハッ…ハッハッハッハ……。ホント、ヒトヤンの『突っ込み』は最高だなっ! 明日も部活に来るのが楽しみだっ! ハァッ…ハッハッハッハ…」
べっ...別に来なくても良いわっ!!
「母さん、ただいま~っ! 皆、連れて来たよ」
『こんにちは~! 今日は宜しくお願い致します』
「わぁ~皆さん、いらっしゃい。よくこんな『普通』の家なんかに来てくれて……。おばさん、とても嬉しいわ~。それに皆さん美男美女ばかりじゃない! それに比べてうちの子をみると…ハァ―――ッ、『普通』だわ......」
「かっ...母さん! 『普通』『普通』ってうるさいよ! そして頼むからこの人達と俺を見比べるのは止めてくれっ! 俺も言われなくても分かっているからっ!」
「ひっ…一矢君のお母様。私は部活の部長をしております、『越智子 美代』と申します。いつも一矢君にはお世話になりっぱなしで...。わ...私は、一矢君をとても尊敬しております。それに比べて私はブスで、ノロマで、面白くなくて…本当にいつも一矢君にご迷惑ばかりおかけして……。部長失格な私なんです…。本当に申し訳ありません……」
しっ...しまった~っ! いきなり美代部長が『ネガティブ発言』をしてしまったぞ! 母さんにはまだ俺が何部に入部したのか話していないし……
「……あなた、越智子さんと言ったわね?」
「あっ…はい…」
「あなた、良いわ~。ホント良いわ~。もしかして皆さんも越智子さんみたいな『ボケ』のセンスがある子達かしら? もしそうだったら……一矢!」
「なっ...何だよ? 母さん…」…ボ…ボケって…。
「あんた、この子達に突っ込み甲斐があって毎日学校行くのがとても楽しいんじゃない!? 私だったら、こんな『ボケ』のセンスがある子達に囲まれたら、喜んで毎日突っ込みまくるわよ〜っ!!」
はぁ!?・・・・・・
か…母さん……。
日頃、親父の『ボケキャラ』が余りにも濃過ぎたから目立たなかったけど…もしかして……
俺の『突っ込み』の血は母さんの血なのか―――――――――――――――――――――――っ!!!??
お読み頂き有難うございました。
まだ部員全員、布津野家の玄関にいる状態ですね(笑)
大丈夫!次回は必ず一矢の部屋に入ります(笑)
あと次回は一矢のお母さんの名前も判明します!
でもあまり期待はしないでくださいね(笑)




