第32話 普通の人だなっ!
モブオから肝心な事を聞けなかった一矢はモブオを追いかける。
そしてその一矢を舞奈も追いかける。
「おっ…。オイっ! モブオ! お前、肝心な事を話さないで、何勝手に食堂に行ってるんだよっ!!」
「えっ? あ…、ああ…そうだったな。結局、俺…フツオに大した情報言って無かったよな? 悪い悪い…。スシ…いやっ『舞奈ちゃん』と友達になれたからさ…。あまりの嬉しさで舞い上がってしまって…。お前に情報を教えてやるのが、どうでも良くなってしまってさ......」
「どうでも良いって何だよっ!!」
でもそうだな。
普通に考えたら、舞奈みたいな美人と友達になれたんだからなっ!
モブオが舞い上がっても不思議では無いかっ!
「モ…モブオの気持ちは良く分かったから、早く『ポジティ部』の人達の情報を教えてくれよっ!!」
「特に、前妻木先輩の情報だろっ?」
「えっ!? う~…。まぁ…そうなんだけどな…。」
「ハァ…ハァ…ハァ…。前妻木先輩って、今朝校門の前で話していた『ポジティ部』副部長の事よねっ!?」
「えっ?…え――――――っ!? まっ…舞奈! 何でお前がその事を知っているんだっ!? って言うか着いて来たのかよっ!? それにメッチャ息上がってるし......」
「みっ…見てたからに決まってるじゃない!」
「えっ!? ま…舞奈も見てたのかよっ!? どっ…どこで見てたんだよっ!? で、何で俺だけ遅刻したんだっ!?」
「そんな事はどうでも良いじゃない! わ…私も前妻木先輩の事、詳しく知りたいわ! ねぇモブオ君。私達、さっきお友達になったんだから私にも教えてくれるよね!?」
「あっ…あ~っ! も…勿論だともっ!! それより、ちゃんと教えるから昼飯食べながらで良いだろっ? 俺、メチャクチャお腹減ってるんだ!」
「おい! あれ見てみろよ! あのテーブルに座っている二人って、ネガティ部の新入部員なんじゃないか!?」
「そ…そうだな。間違いない!! 何であの二人が学食に来ているんだ? 今まで学食に来た事あったか?」
「しかしあの『桃色ナイスバディ』は、いつ見てもたまらんなっ!! 一年とは思えない位のエロいプロポーションだよなっ!」(注:舞奈の髪色は桃色です)
「そ…それなのに、あんな『普通』の奴が仲良くしてるんだから、ホンット嫌になるっ!」
「でもさ、あいつも最近は『何か凄い普通の奴』って言われてるんだろ?だからきっと、何か俺達の知らない大きな秘密があるに違いない…!」
あのな……
きっ、聞こえてるって!
お前等、何好き勝手な事ばかり言ってやがる!!
俺は何も『大きな秘密』なんてあるかっ!
逆にそんな謎めいた男になってみたいもんだっ!!
そ…それと、舞奈は他の男子生徒から『桃色ナイスバディ』って言われてるのかっ!?
全然知らなかった…。っていうか、二つ名が見たまんまだなっ!!
「…で、前妻木先輩の情報だけど、前妻木先輩と部長の天翔部長は小さい頃からの幼馴染だそうだ」
「えっ…マジかっ!?」
「そう、マジだ。そしてこれは『うちの部』の推測なのだが、前妻木先輩は天翔部長の事が好きだと思われる」
「なっ...何だって~っ!?」
「そっ...そうなのっ!? モブオ君!?」
「うん…。多分、間違い無いと思うよ。前妻木先輩は元々この学園に来る気は無かったらしいぜ。でも一個上の天翔部長がこの学園に入学して直ぐに越智子部長に一目惚れしてしまって…。で、その事を前妻木先輩は毎日、天翔部長から聞かされていたらしい」
「ほっ…本当かよ? それ、ドコからの情報なんだ!?」
「そっ…それは秘密だよ! これ以上はうちの部の信用に関わるからなっ!」
「まっ…まぁ良いや。で?」
「そして毎日毎日、越智子部長に対する『愛の言葉』を聞かされ続けた前妻木先輩は流石に心配になって、一年後に超進学校の受験を取りやめて、この『名染伊太学園』に入学して来たらしい…」
そ…そうだったのかぁ......
でもモブオの情報が本当かどうかは分からないが、俺が前妻木先輩と話をしていた時に感じたアノ『安心感』は......
そうだ、きっとそうだ!
前妻木先輩は俺と同じ『普通の人』なんだっ!!
絶対そうに違いない!!…あっ!
俺は『普通』じゃねぇけどな!!
いずれにしても、これから俺がやる事は決まったぜ!
そう、美代部長の為にも何が何でも前妻木先輩と天翔部長をくっつけてやる!!
で…でも…。お、俺にそんな事が出来るのか!?
前妻木先輩はともかく、絶対おかしい位にテンションの高い天翔先輩の気持ちを変えれる事が俺に出来るのか……!?
…いやっ!
どっかの格言にもあっただろっ!!
『諦めたら、そこで試合終了ですよ』ってなぁ――――――っっ!!!!
「しかし、一矢君と舞奈ちゃん遅いわねぇ…。一体どうしたのかしら? まさか私達とお昼ご飯を食べるのが嫌になったのかな…?私、考えただけで悩み事が増えそうだわ…」
「そ…そんな事、無いと思う…。きっと、何かあったのよ…。遅れる理由が有るのよ…。もうすぐ二人は来ると思うわ…」
「もしかしたらあの二人、どこか違う場所でお昼食べてるかもよ…」
・・・・・・
バシッ!! ギュ~ッ!! バシッ!! ギュ~ッ!
!?・・・・・・
「あっ…あの~…。イテッ!! ちょっ、二人共…。ちょっ…ちょっと良いかな? な…何で……イッテ!! 僕の背中に何度も蹴りを入れるのかな? イデッ!! ゾ…ゾジでぇ、あんでぶぉくの頬っべだをづねっでいるのがな~? イデッッ!!」
「べ…別に…!! 何でも無いわよっ!! アンタは悩まなくても良いし、気にし無くてもいいから――――――――――――っっ!!!!」
お読み頂き有難うございます。
今回も色々な情報が出てきましたね。舞奈の髪の色とか←そこかよっ!!
で、今回、皆さんにイメージしてもらいやすい様にネガティ部のメンバーの髪色&髪型情報をお届けしますね(笑)
美代部長・・・黒髪、ロングヘアー
菜弥美先輩・・・茶髪、セミロング
テルマ先輩・・・金髪、ショートカット
子龍先輩・・・青髪、よくあるイケメンヘアー(笑)
舞奈・・・桃色、ロングヘアー、たまにポニーテール
以上です。今後、これらを想像して読んでいただくと、また更に面白くなるかもですね。
あっ!一矢の事忘れてました。
一矢・・・黒髪、普通の髪型です(笑)




