第29話 助かった!(挿絵有り)
テンテン&ルイルイ
この最強の二人が遭遇すると一体どんな事が起こるのか!?怒らないのか!?(笑)
ヤ…ヤバい人が来てしまった―――っ!!
「ル…ルイルイ先輩!ご無沙汰しておりま~す!!」
「テンテン、無事に退院出来たみたいで良かったな!! 私はお前がずっと入院していても別に構わなかったんだがな!!」
「あっ!…有難うございます!!」
えっ!?
今、お礼言うところかっ!?
「ところでテンテン…。その『ヒトヤン』を『ポジティ部』に無理やり勧誘していたみたいだが…?」
『ヒトヤン』?…あぁ、彼の事ですかっ!?なかなか良い呼び名ですね!!流石はルイルイ先輩ですっ!!いかにもそうです!!彼は、絶対『ポジティ部』に向いていると思いましたので『心を込めて』勧誘していたところですっ!!」
どっ…どこが『心を込めて』だっ!!
「テンテン! 悪いが『ヒトヤン』は『ポジティ部』には行かせない!彼はこの『ネガティ部』に必要不可欠な少年なんだ!諦めて帰るんだ!! そしてもう一度入院して来いっ!!」
えっ!?
め…珍しいな。あのルイルイが普通の事を言っているぞっ!!
でもテンテン先輩もあのテンションだっ!!
意味の分からない格言(?)まで言い出した人だ。
そう簡単に諦めるとは思えないんだが…
「わっ…わかりました!ルイルイ先輩!! 彼の事はキッパリと諦めますっ!!」
えっ!?
え――――――っ!!
そんなにアッサリと…。
どんだけルイルイの事を崇拝しているんだ!?
「それではルイルイ先輩!! 今から早速、病院に赴き入院の手続きをしてまいりますっ!!」
マッ…マジかっ!?
この人…従順なのかアホなのかどっちなんだっ!?
「テンテン! 入院は冗談だ! サッサと自分の部室に戻れ!部員達が首を長くして待っていたぞっ!! ほら見ろっ、副部長の『ムキムキ』なんかは心配してそこの廊下で待ってるぞ」
む…『ムキムキ』!?
もしかしたら筋肉ムキムキの男性部員なのかっ!?
「し…失礼します…。部長、そろそろうちの部に来てくれませんか?部長が来られないので皆、心配していますよ…。それに『復活祭』の準備も出来ていますので…」
あっ!この人が副部長さんなのか?っていうか女子じゃないかっ!?
どう見ても『華奢』な体つきだし…。むっ…胸は大きい方だがな…。って、そ…そんな事はどうでも良いが......
まぁ普通に可愛らしいメガネ女子だなぁ......
一体どこが『ムキムキ』なんだ??
「お~っ! 『ムキムキ』!迎えに来てくれたのかっ!? そうだな。部員の皆を待たせるのは申し訳ないなっ! 『再入院』はしなくても良いみたいだから、そろそろ僕の『復活祭』に行くとしよう!あっ!そうだ。君達も僕の『復活祭』に参加しないかっ!?」
『ぜっ……絶対参加しませ――――――んっ!!!!』
ろっ…六人の声が初めて揃った瞬間だなっ!!
「あ~っ…そっか~っ! それは残念!!また気が変わったら来てくれたまえ!! それではまた来るよ!!ミヨミヨもまた明日ね~っ!!」
…あぁ…明日……明日が来なければ良いのに……(ボソッ)
わぁ~っ…!!
美代部長、いつも以上に暗い顔して呟いてるわぁ…はっ…!
早く慰めてあげないとっ!!
ガラッ…ガラガラ…バシッ
「フゥ――――――ッ! やっと帰ってくれたぜ~」
「あぁ~…凄く疲れた~…。私、今日はもうおうちに帰ろっかな…」
「そうだな、舞奈……。別に帰っても良いんじゃね? 後は五人で部活やっておくから」
「えっ? 一矢は帰らないの?」
「そ…そりゃあ帰れないだろっ! あれだけ皆で俺の事を必死で『ポジティ部』に行かせない様に頑張ってくれたんだぜっ! 一人ずつお礼も言いたいし…、特に一番疲れているはずの美代部長に、何か元気が出る様な言葉を言ってあげたいしな…」
「わ…分かったわ! 私も残る! おうちには帰らない!!(プイッ)」
えっ?
何でそこで『プイッ』なんだ!?
ホント舞奈の気持ちは読みづらいなぁ…
「それより、ルイルイ…アンタにお礼なんて本当は言いたく無いけど…さっきは有難う…たっ…助かったよ…」
「ホント…有難うございました。ルイルイはいつもは口が悪いけど、本当は私達の事を思ってくれているんですね?」
「そ…そうですよね。私も驚きました! まさか今回、ルイルイに助けてもらうだなんて…」
「…ルイルイ…ありがと…」
「ルイルイ!! 本当に有難うございました!!」
子龍先輩、マジでルイルイの前だと顔が正面向いてるよなっ!
それにあの『えげつない程テンションの高い』テンテンさんでも、ルイルイの言う事は素直に聞くんだもんなぁ......
再入院しかけてたし…こんなに口が悪いのに、どこにそんな魅力があるんだ?俺にはよく分からねぇよ......
「ハッハッハッハ…お前達、別に感謝なんかしなくて良いぞっ!! 私はただ見てみたいだけなんだっ! この『普通の少年』と『ネガティブな性格』のミジンコ共が一緒の部活で、どう変化していくのか……。別に良い方向に行けば良しっ!逆に悪い方向に行っても私は別に構わん!! その方がメチャクチャ面白いかもな! どうせ私はバイトだからなっ! 何かあってもいつでも辞めれるからなっ!! ハ―――ハッハッハッハ……!!」
・・・・・・・っ!!
いっ…一瞬でもアンタを良い人と思ってしまった俺は、なんてバカなんだ…
「こ…こ…こんのぉ外道顧問が―――――――――――――っ!!!!」
お読み頂き有難うございます。
あと一話で三十話となります。読者の皆さんのお陰でここまでこれました。有難うございます。
当初は全然認知されない作品でしたが、ようやく少しずつ少しずつ知って頂ける様になりました。
まだまだブクマや評価は少ないですがアクセスは順調に伸びてきています。
なんとかこのまま上昇気流に乗れる様に頑張りますので引き続き応援宜しくお願い致します。




