第20話 そのままかよ!(挿絵有り)
「ほぉ〜…私の事が嫌いだと?」
「あ...あぁぁそうだ!! 俺はアンタが嫌いだっ!!」
「ふ~ん......、なるほどなぁぁぁ......」
ご…ごめん、皆......
いつもは口で言ってはいけない突っ込みは心の中で叫んでたけど、今回はさすがに我慢出来なかった......
あぁ…美代部長、めっちゃ泣きそうな顔してるよ~......
それに、菜弥美先輩もテルマ先輩も凄く心配した顔をしてくれている......
子龍先輩はいつの間にか顔の角度が元に戻っているし......
じゃあ、ま…舞奈は?
なっ、何故今、お茶の準備をしてるんだ!?
ん!?
も...もしかして『テンパ』っているのか!?
いや、きっとそうだっ!!
あの『超マイナス思考』の舞奈が冷静なはずがない!!
…ドボドボ…ドボドボドボドボドボドボ……
ほらっ!!
俺の予想通りだ。
お茶がこぼれまくってるし!!
はあぁぁぁ......、ゴメンよ、舞奈......
「お前…『フツノヒトヤ』と言ったな?」
「あぁ、そうだ。何か文句あるのかよ!?」
「いや、別に文句はないぞ。ただ私に堂々と『嫌いだ』と言ったお前に『選択肢』を与えようと思ってな......。まぁ、どれを選ぶかはお前の自由だがなっ!!」
せっ…せ…『選択肢』だと!?
なるほど......、そういう事かよ!?
顧問の事を『嫌いだ』と言った俺に『退部』するか『この女に謝罪して部に残るか』の選択をさせるつもりだな!?
あぁ、良いだろう......
もうとっくに覚悟は出来てるんだ。
せっかく『ネガティ部』の人達と馴染んできて楽しくなってきたところだったけど......
それに舞奈を部に誘った責任もあるんだけども……
だが、俺はこの『ルイルイ』に......、いや、何が『ルイルイ』だ!!
俺はコイツに詫びてまで部に留まりたくはないからなっ!!
詫びた時点で、俺はコイツに三年間『奴隷』の様な扱いをされるに違いないんだ!!
絶対そうに違いない!!
さぁ『ルイルイ』…いや…先生よ!!
早くその『選択肢』とやらを言ってくれ!!
もう覚悟はできているんだからなっ!!
「早くその『選択肢』ってやらを言えよっ!!」
「フフフフ......、いいだろう……。では『フツノヒトヤ』よ、自分で選ぶのだ!『選択肢』は三つあるからなっ!!」
「へっ…? 三つ?? ふ...二つじゃないのか??」
「そうだ、三つある......」
そ...想定外だ......
まさか『選択肢』が三つもあるとは......
残りの一つが何なのか全然読めねぇぞっ!!
「まず一つ目が、『フツフツ』だ......」
「へっ......??」
「そして二つ目が、『ヒトヒト』だ......」
「へっ?.....、へっ......??」
「そして三つ目が『ヒヤヒヤ』だ。さぁ、お前はどれを選ぶんだ!?」
???……????
「あのぉぉ......、何を言ってるのか意味が全然分からないんだけど......??」
「はぁぁあああ!? 意味が分からないだとぉぉ!? バッ...バカヤロー!! これからお前の事を、私がどう呼ぶか決めているんじゃないか!! そんな事も分からないのかっ!?」
・・・・・・
は―――――――――っ!?
何を言ってるのこの人は!!??
「お…俺…、今アンタの事が嫌いって言ったよな!? そう言ったよな!? ちゃんと聞こえてたよな!?」
「あぁ、勿論ちゃんと聞こえていたさ......」
「じゃぁ…何故、この状態で俺の呼び方を決める必要があるんだ!? 俺はアンタの事が嫌いって言ったんだぜ!! 普通は顧問の事を『嫌いだ』なんて言ったら『退部』になるんじゃないのか!?」
「はぁぁあああ!? 退部だと? 何で退部する必要があるんだ? バカなのか? お前はバカか? それとも『普通のバカ』か?」
「なっ...何でそこで『普通』を付け足すんだ!?」
「それに、『嫌い』という言葉、私は結構好きなんだよ......」
「何、意味の分からない事を言ってやがるっ!?」
「フフフフ......。まぁ昔からよく言うだろう? 『嫌よ嫌よも好きのうち』ってな」
「なんじゃそりゃ!? しっ…知らねぇよ! っつうか、ホントに俺はアンタが嫌いなんだし......!!」
「でもな…『フツノヒトヤ』......。嫌いって事はなぁ......、後はもう私の事を好きになるしかないんだよ……。それは『確定事項』みたいなもんだ......」
……ドキッ!!
な…何だよ!?
ドキッとしたじゃないか!!
それに、急に女の色気を出した表情をしながら名言みたいな事を言い出して......
お…思わずキュンとなりかけたぜっ!!
そっ...そんな事で俺は、だっ...騙されないからな!!
「いずれにしても俺の退部は無いって事か......?」
「そういう事だ。だから三つの中から好きな呼び名を早く選ぶんだ!!」
「どっ…どれも却下だよっ!!」
「よし、そうか。分かった!!」
諦めるの早過ぎだろっ!?
「それじゃあ、お前の事はこれから『ヒトヤン』と呼ぶ事にする!!」
「ひ…『ヒトヤン』!? 何じゃソレ? 他の人達と全然共通点が無いじゃないか!? 何かおかしくないかっ!?」
「ヒトヤン......。そんな事はどうでも良いじゃないか......。お前はお前だ......。他の者と『普通』に合わせるだけで良いのか? ヒトヤン…、君は本当にそれで良いのかい?」
……ドキッ!!
ヤ…ヤベェ......!!
またしても大人の色気を出した表情であたかも凄い事を言ってる様な雰囲気を出しやがって......
うっ...うっかり『ルンルンマジック』に引っ掛かるトコだったぜっ!!
「わ…分かったよ......。ル…ルンルン先生......。もう俺の事は『ヒトヤン』でも何でも良いよ......」
「おぉ~そうか!! 喜んで納得してくれたか!!」
「喜んでねぇよ!!」
「わ―――――――――――っ!! ヒトヤン、良かったです!!」
「ヒッ...ヒトヤン、凄く心配したぞ!!」
「ヒ…ヒトヤン......。あ、呼んでみただけ......」
「ヒトヤン君、ホント良かったよ......」
「ヒトヤン!! とりあえずお茶飲む!?」
「いやいやいや!! あなた達は絶対に俺の事を『ヒトヤン』って呼ばないで下さいよ!!」
「ところでさあ、ルンルン先生......。先生の本当の一体名前は何ていうんだ? 教えてくれないか......?」
「おっ......、私の名前か? 私の名前は『久地川 瑠衣』と言う。だから昔から私に対しての呼び方は『ルイルイ』て決まっているんだよっ!!」
言ってる意味が分からんわ......
でもルイルイ先生の名前を考えるとさぁぁ......
どう考えても......
「『久地川瑠衣』......『くちがわるい』…『口が悪い』……」
そっ……そのままじゃねぇかぁ――――――――――ッッ!!!!
読んで頂き有難うございます。
今回で早くも節目の第20話です。
とても楽しく書かせて頂いてます。まだまだ書きたいことが沢山あるので『ネガティ部!』は長期連載になると思います。
ジワジワと読者さんが増えてきているのを肌で感じております。
あとは面白いと思われた方、どうかブックマーク、評価、感想をくださいね。
励みになり、更にパワーアップした『ネガティ部!』をお送りできると思いますのでどうか宜しくお願い致します。




