第2話 ふざけた名前の部活だなっ!(挿絵有り)
謎の美女に入部しないと『死ぬ』と言われて焦る一矢。
果たして一矢はどうするのか!?
ちょっと待ってくれ~。俺が入部しないと死んでしまうって、どういう事?
こっ...こんな勧誘聞いた事が無いぜ!
「あ...あの~、少し落ち着きましょう。どういう事なのか分かりやすく説明してもらえないでしょうか?」
「は...はい。申し訳ありません......。いきなりこんな事言ってしまいまして......。じ...実は今朝観ていた番組の星占いで、『職場や学校でアナタから見て『一番普通』だと思った人を『モノ』に出来なかったら死ぬでしょう!』と言われまして......」
「・・・・・・??」
はぁ――――――っ!!?!
いやいやいや~、朝の爽やかな時間帯の占いコーナーで『死ぬでしょう』なんて普通言わないでしょ!?
朝からめちゃくちゃプレッシャーかかって、それだけで学校行くのが嫌になるぜっ!!
そっ...それに『一番普通』ってどゆこと!?
この人から見て俺が『一番普通』の人ってワケ?
たっ...ただでさえ『普通』って言われるの嫌なのに、この得体の知れない人に『普通ランキング一位』に認定されても俺は全然嬉しくないぜっ!!
それと、『モノ』に出来なかったらって......
そっ...それって何ですか!?
アレですか? アレなんですか!?
やっ...止めてくださいよ〜!!
おっ...俺、変な風に勘違いするじゃないですか〜!!
これは、ただの部活の勧誘なんでしょ?
「あの~すみません。どんな部活の勧誘なんでしょうか?」
「あっ! そ、そうでした。も、申し訳ありません......。部活の事を何も言わずに勧誘してしまいました......。ほんとに私は『バカ』で『ノロマ』で『ブス』で『おたんこなす』で......」
いやいやいや~、アナタは絶対『ノロマ』じゃないし!!
めちゃくちゃすばしっこいはずだし、俺はさっきそれを目撃してるし、それにめちゃくちゃ美人だし......。
「そんなに自分を落とす必要はないと思うんですけど......。で、どんな部活なんですか? それと、何で死ななければならないほど勧誘に必死なんですか!?」
「あ...ありがとうございます。ア...アナタは『普通』に優しい方なんですね? わ...私すぐに落ち込んでしまう性格なもので......。いつも反省しているんですけど......。なかなか治らなくて......。ほんとに私は......」
『普通』は余計だよっ!!
「はいはい! もう良いですから、マジで部活の事を教えて下さい!!」
「はっ! そっ...そうでしたね。わ...私がお誘いしている部活の名前は......」
「ネ...ネガティ部と言います」
「......?......ネガティ部???」
「はい...。ネガティ部です......」
「何ですかそれ? ふざけてます? 俺をバカにしてるんですか!?」
「まっ...まさか!! ふ...ふざけていませんよっ!! ほ...本当にネガティ部という名前の部活なんです。けっこう昔からある部活なんですよ...。そ...そして私はそのネガティ部で部長をしています、三年の『越智子美代』というものです」
こっ...この人が部長かよっ!?
それに、何だ!? 『ネガティ部』って......?
そんなふざけた名前の部活が存在するなんて聞いた事無いし、それにあの人の名前「おちこみよ」??
一体どんな字だ!?
あの人を見ていたら勝手に『落ち込みよ』って俺の頭の中で変換してしまったぜっ......!!
「おちこ先輩......。と...とても良い名前ですね......」
「えっ? そこは下の名前の『美代』って呼んで下さいませんか??」
「は~っ!? 何でそこだけ積極的なんですか!? 俺達、初対面なのにイキナリ下の名前呼びっスか!?」
「だ...だってうちの部は下の名前で呼び合う決まりなもので......」
「いや、まだ俺入部するなんて一言も言ってないですし......」
「おっ...お願いです!! ど...どうかネガティ部に入部して下さい!! うちの部、現在四名しかいなくてこのままだったら部員不足で廃部になってしまうんです......!」
はいはい、そういう事ですか。
何、この学園ものによくあるパターンはっ!?
大体は五人目が主人公になるんだよな?
って事は俺が主人公かな?
『普通ランキング一位』のこの俺が主人公になれるんですかっ!?
フムフム......
でも『ネガティ部』ってのは嫌だな。
名前がダサいしなんか怪しい。
「やっぱ俺入部は―――」
「お願いします!!」
オイオイなんなんだこの人は!?
俺なんかに土下座しだしたよ!!
ちょっ...ちょっと待ってよ!!
何か俺がおちこ先輩を土下座させてるみたいじゃないか!
オイオイ、それに他の部の人達が俺達をジロジロ見ているじゃないか......。
わぁ~めっちゃ恥ずかしい......
マジで恥ずかし過ぎる......。
「せっ...先輩! おちこ先輩! 土下座はやめて下さいよ~!! 俺が土下座をさせてるみたいじゃないですかっ!! わ...わかりましたよ。そう...そうだっ!! か...『仮入部』ってのはどうでしょうか!? 俺まだ『ネガティ部』が何をする部か全然分からないんで、ある程度実習期間みたいなものを設けて頂けませんか? 一応、仮でも五人目にはなるんですよね?」
「はい! 仮でも結構です! とっても嬉しいです! 私にとって人生最高の日です! ありがとうございます! これで私の命も救われます!!」
それは言い過ぎだろ~......
俺みたいな『普通』の男が仮入部しただけで......
って、さっきから『普通』ってワードを気にしてるわけじゃないからな。
それにしてもこのおちこ先輩は、笑うと美人さが増していくよなぁ......
この人、常に笑っていれば良いのになぁ......
「それではおちこ先輩、『仮入部』ですけど、どうぞよろしくお願いします。そんで俺の名前は布津野一矢と言います」
「こちらこそよろしくお願いします。こ...これから私の事は『美代』って呼んで下さいね......。ふ...普通の? ひとやさん??」
「ちっ...違いますっ!! 普通じゃなくて『ふつの』です! 『布津野』! 美代部長にとって、普通ランキング一位の布津野一矢です!! そこだけはしっかりと覚えてくださいよっ!?」
お読み頂き有難うございます。
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宜しくお願い致しますm(__)m
『ネガティ部 部員』で一人目のヒロインでもある部長の越智子美代です。
超美人だが性格が超ネガティブで残念美女です。
今後の彼女の動きに注目してください(^^)/




