第188話 なんちゅうアイデアだ!?
舞奈のお母さんのアイデアって何だろう?
悪い予感しかしないんだが……
ガラッ…ガラガラッ
「おっ、何か盛り上がってるな~!?」
「お、親父!?」
「あっ、ヒトヤ先輩!!」
「おーっ、フラフラ達も来とるやん? 三人共、めちゃくちゃ久しぶりやなぁ? 会うの、十五年ぶり位ちゃうかぁ?」
フラフラ? 誰の事だ??
「ヒ、ヒトヤン先輩、お久しぶりです!! 昔と全然、変わっていませんね!? っていうか、一矢君、今ヒトヤンさんを親父って言わなかった!?」
「はい、言いましたよ。俺の親父ですから」
ってか、舞奈のお母さんの名前が風羅だから『フラフラ』なのか?
それよりもアレだけ高飛車そうな感じの舞奈のお母さんが親父に対しては凄く腰が低いというか……
「風羅ちゃん、知らなかったのですか? ヒトヤン君は十数年前に結婚された時に苗字が布津野に変わったんですよ」
「えっ、そうなの? 全然知らなかったというか、当時、ヒトヤン先輩が結婚したっていうのを聞いて凄くショックを受けて……いや、何でも無いわ!! というより驚いたわ。一矢君がヒトヤン先輩の息子さんだなんて……でもよく見れば昔のヒトヤンさんにどことなく似ているわね……」
「夢和さんもヒラヒラちゃんも元気そうで何よりやわ~それにフラフラは相変わらず元気がいいなぁ」
ヒラヒラ? ああ、三姉妹の末っ子の名前は柊さんだからヒラヒラってことか?
あれ? でも、何で美代先輩のお母さんだけは普通に名前呼びなんだ?
「ヒトヤン兄ちゃん、私、寿志光グループの専務になのよ。あとは風羅お姉ちゃんを蹴落としてCEOになるだけだわ!!」
「ハハハハハ、ほんまやなぁ。蹴落としたれ~」
「ヒトヤン先輩も柊も何をバカな事を言っているの!? 私はまだ三十八なのよ。引退するまではかなり年数があるし、いずれは舞奈が会社を継ぐことになるんだから柊はその補佐をしてくれればいいのよ!!」
なんか、生々しい内容だな?
「マ、ママ!! 私は前から会社を継ぐ気は無いって言っているでしょ!? 何度も言わせないでよ!!」
ああ、前に舞奈はそんな事を言っていたよな?
「何を言っているの、舞奈!! 私の子供はあなたしかいないんだから、あなたが継ぐのは当然の事でしょう!?」
「別に誰が社長をやってもいいじゃない? 柊おばさんが継いでくれても私は全然良いし……もしくは美代お姉ちゃんが継いでもいいじゃない? 美代お姉ちゃんだって寿志光の血が流れているんだし……」
うわぁ、更に生々しい内容が来たぞ!!
「舞奈ちゃん、それは絶対に無理ですから……私は越智子ですし……」
「越智子だからなんて関係ないわよ!!」
「おーっ、そっかぁ!! そやったんやなぁ? 今頃気付いたわ!!」
「な、何を気付いたんだよ、親父?」
「いや、ミヨミヨと初めて会った時にどこかで会った事のある顔やぁって思っとってんけど、そうか、夢和さんの娘ちゃんやったんやぁ。よく見たら母娘で雰囲気がソックリやもんなぁ。それにどことなく我芽津先輩にも似ているし……」
「え? 一矢君のお父様は私の父の事もご存じなのですか?」
「ああ、めちゃくちゃ知ってるで!! 我芽津先輩は同じ大学の先輩やからなぁ」
「美代ちゃん、前にお母さん、お話したことがあったでしょ? 昔、お父さんとお母さんが結婚を反対されていて、その時に凄く助けてくれたお父さんの後輩がいたって……その後輩がヒトヤン君なんですよ」
「 「えーっ!!??」 」
思わず俺も驚いてしまったぞ!!
そ、そうだったのか……合同合宿の時に美代先輩から聞いた凄い人って親父の事だったのかよ!?
あの時、その凄い人に弟子入りしたいって思ったけど、まさか一番身近にいたなんて……親父に弟子入りなんて恥ずかしくて出来る訳ねぇよ!!
「あの時の夢和お姉ちゃんとお義兄さんの為に必死に頑張っているヒトヤン先輩の姿を見て、私とっても感動して胸がキュンキュンしたわ!! そう、あれが私の初恋だったかもしれない……」
「あら、風羅お姉ちゃんもそうだったの? 私もあの頑固なお父さんに説教しているヒトヤン兄ちゃんの姿がめちゃくちゃカッコよくて……私の初恋の人もヒトヤン兄ちゃんだわ」
「何? 柊もそうなの? っていうか、あんた、その時はまだ小学生でしょ? ほんと、あんたはマセガキね!?」
「フンッ、風羅お姉ちゃんにだけには言われたくないわ!!」
「まぁまぁ、二人共、喧嘩しないでくださいね?」
「それよりもヒトヤン先輩、私とっても良い事を思い付いたんですよ。そして今、この一矢君がヒトヤン先輩の息子さんだという事が判明したので更に私のアイデアは完璧なものになること間違い無しですよぉ!!」
「へぇ、そうなんやぁ……でもフラフラの考える事は昔からおもろい事ばかりやったから俺は聞かんでも賛成やで」
何だよ、その信頼関係は!?
「有難うございます。実はですねぇ、明日の『名染太学園美少女コンテスト』に彼女達が参加する事になったんですよ」
「おーっ、そうなんか? それは良かったわ。俺もさっき放送を聞いたからこの子達に参加してほしいなぁと思って説得しに来たんやわ」
親父も『ネガティ部女子』は美少女揃いって事は理解しているんだな?
「それでですねぇ、そのコンテストで優勝した子はクリスマスまでの期間限定で一矢君と付き合えるって事にするのはどうかなぁって思ったんですよぉ!! っていうか、もう私は決めましたけど!!」
「 「 「 「 「えーーーっ!!??」 」 」 」 」
「ママ、何でそうなるのよ!? 意味が分からない事を言わないでよ!?」
「そ、そうですよ、風羅おば様……そんな事を勝手に決めたら一矢君が困ってしまうじゃないですか?」
「えーっ、そうかなぁ? 一矢君、私のアイデア反対かなぁ? 別に期間限定だし問題無いよねぇ? それとも一矢君はここにいる美少女達に全然、興味が無いのかしら?」
「えっ? お、俺は……そのぉ……」
こ、困ったぞ。非常に困った!! どう答えれば良いんだろうか?
「ハッハッハッハ!! さすが、フラフラやわ!! ナイスアイデアやで!! 一矢、面白そうやから拒むんやないで!?」
「はぁああ? 親父がノリノリっておかしくないか!?」
「フフフ……一矢、母さんは『ネガティ部』の子達なら誰でもウエルカムよ」
「な、何だよ、母さんまで……つてか、ウエルカムってどういう意味だよ!?」
「フフ、決まりね、一矢君? あとは舞奈達だけど、私のアイデアに文句のある人はいるのかしら?」
「ウグッ……」
「フフフ……誰も文句は無いみたいね? まぁ、分かっていたけどね……という事で明日のコンテスト優勝者はクリスマスまで一矢君と付き合う事が出来る権利を得るから皆、頑張ってねぇ?」
ギラッ
何か急に皆の目の色が変わった様な気がするのは気のせいなのか?
「期間限定で付き合える……クリスマスまで付き合える……ブツブツブツ……」
「ん? 聖香、何ブツブツ言っているんだ?」
「生徒会長を今日限りで辞職して私も明日のミスコンに参加しようかしら……」
「はぁあ? 主催者のお前が……それも、あれだけ苦労して就任した生徒会長を辞めるなんて言うんじゃねえよ!!」
はぁ……
舞奈のお母さんのせいで、何か俺の周りの女子達の雰囲気がおかしくなってきたじゃねぇか!!




