第172話 『名染伊太学園祭』当日早朝六時だーっ!!
遂にこの日がやって来た。
そう、今日は『名染伊太学園祭』!!
うちの学園の生徒は全国各地から集まっているので、毎年、学園に来る生徒の保護者や友人達も全国から来ているようだ。学園内は色んな方言が入り混じって面白いらしい。
そんな中、俺達『ネガティ部』は朝六時から学園に来ていて……
というかみんな良く起きれたよな? ほとんどの人が寝坊すると思っていたのにさ。
特に一番『低血圧』そうなテルマ先輩が一番早く部室に来ていて驚いたぜ!!
本人曰く、『約束の一時間前に来るのが当たり前じゃない』と言っていたけど、早過ぎるだろ? でもアレだな。そういえば前のデートの時もテルマ先輩は結構早く来ていた様な気がするよな。
あと、『コスプレ喫茶』の準備だが、全然顔を出せていない子龍先輩が気を遣ってくれて、子龍先輩の親父さんが経営しているショッピングモールの『ヒトミン』の協力をもらい、飲食物を含め必要なもの全てを用意してもらったと共に店の準備まで『ヒトミン』の社員さん達がやってくれたんだ。
部室が一瞬にして華やかな『コスプレ喫茶』へと変貌した。
これは本当に俺達もめちゃくちゃ助かったぜ。
子龍先輩、有難うございます。あとは子龍先輩の『演劇』の無事成功を祈っていますよ!!
『ハーレム』の様な演劇を楽しんでくださいませ……プッ……
「さぁ、みなさ~ん!! そろそろ衣装に着替えてもらいますよ~ん!! 布津野君も独り言をブツブツ言っている場合じゃないわよ~ん」
「ひっ…独り言なんて言ってねぇよ!!」ってか、俺の心の声がドンちゃんには聞こえるのか!?
「さぁ、うちのお姉さまの所に行ってちょうだいね~っ!! そして着替えを待っている人からアタシがヘアメイクをするからね~っ!!」
はぁ……ついに来ちまった……
本当に俺達『ネガティ部』が『コスプレ喫茶』なんてできるのか!?
でもアレだな。本当は俺のクラスでも『大迷路』をやる予定で、全員が受付をしなくちゃいけなかったのに、クラスの奴等が『布津野は今回は何もしなくていい。お前は男手の少ない『コスプレ喫茶』を優先して頑張れ!! 受付は俺達に任せろ!!』って言ってくれたからなぁ……
ほんと、うちのクラスの奴等はいい奴等ばかりだぜ……
まぁ、その代わり、うちのクラスの奴等は全員、『コスプレ喫茶』での飲食は無料ってことにはなっちまったけどな。
「はーい、次は布津野君の番よ~っ!! 亜尼お姉さまの所に行ってちょうだいね~っ!!」
うわぁぁ、遂に俺もコスプレをする時が来てしまった……
俺が『執事』の衣装を着て本当に似合うんだろうか?
「ひ…一矢君……」
「えっ? ああ!! みっ…美代先輩ですか!?」
「ど…どうでしょうか? 私の『金髪ギャル風』のコスプレは……?」
俺はめちゃくちゃ驚いた。
っていうか一瞬、誰だか分からないくらいに美代先輩は大変身していた。
真っ黒な黒髪が特徴の美代先輩が今は金髪になっている。
他の女子生徒達よりも長いスカートをはいていた美代先輩がミニスカートをはき、細くて長い足のほとんどをさらけ出している。
常にシャツのボタンを全て閉じていた美代先輩が今はボタンを二つ外し胸元が……む…胸が少し見えている……
化粧っ気が全く無かった美代先輩が『本物のギャル』よりは少し控えめではあるが化粧をしていて、いつもよりも更に美人になり輝いている。
「ひ…一矢君……? わ…私、変ですか……?」
ポカーンと口を開けながら美代先輩に見とれていた俺であったが……
「いっ、いえ!! めちゃくちゃ可愛いですよ!! すっ…凄く似合っています!! いや、マジで惚れ……いや、何でもないです……」
「あ…有難うございます。一矢君にそう言っていただけるだけで私は幸せです……」
さすがは『クリエイティ部』の『アニユニ』&『ドンちゃん』だな!!
こ…この人達は最強のトリオだわ……今更だけど尊敬してしまうぜ……
「ふっ、ふーん。布津野君、凄いでしょ~っ!? アタシ達の実力を分かってくれたかなぁ?」
「あ、あ……ドンちゃん達の凄さは分かったよ。今まで心の中で『変態トリオ』って思っていた俺が恥ずかしいよ……」
「えーっ!? そんな事を思っていたの~っ!? まぁ、半分は当たっているけどさ!! それよりも時間が無いから、布津野君も早く準備をしましょう!!」
「そ、そうだな。宜しく頼むよ……」
【一時間後】
「さぁ、これで僕達の役目は終わったわね?」
「そうね。今日も良い仕事ができたわ」
「お姉さま!! アタシも今日はやり切った感があるわ~っ!!」
「黒井さん、恵須部さん、そしてドンちゃんも今日は有難う……」
「お礼なんていいわよ、大石さん。これが私達の『学園祭』なんだから。私達もやりたい事が出来て幸せなんだから……」
おーっ!! 何か恵須部先輩、めちゃくちゃカッコイイじゃないか!?
やっぱ、津田先輩が凄い人だから、周りにもそうやって凄い人達が集まるんだろうなぁ……って、そういえば津田先輩の『壁画』は完成したんだろうか?
朝、六時の時点ではまだ津田先輩は壁に絵を描いていたような……
心配だなぁ……学園祭が始まるまでまだ時間があるから少し様子を見に行こうかな。
「ひ…一矢君、私の『コスプレ』はどうかしら……?」
「えっ? ああ、テルマ先輩の『フランス人形風』凄く素敵ですよ!! それによく似合っています!! 本物の『フランス人形』よりも可愛いですよ!!」
「ひっ…一矢君!! そ…それは褒め過ぎよ……私なんて髪の毛が金髪なだけでチビだしさ……」
「そ…それが良いんですよ!! 小柄なテルマ先輩だからこそ余計に良いんですよ!!」
(ポッ)「あ…有難う……なんだか顔が熱くなってきたから顔を洗ってくるわ!!」
「何を言ってるのよん、木西先輩!! 今、顔を洗ってしまったらお化粧が取れてしまうじゃないの~っ!!」
「あっ、そうね……ゴメンなさい……エヘ……」
かっ、可愛い!! めちゃくちゃ可愛過ぎるぞ!!
改めて思うけど、本当に『ネガティ部女子達』は美少女揃いだよな!!
菜弥美部長の『テニスウエア姿』も最高に可愛いくて、美代先輩とはまた違った健康的な生足が凄く良いよなぁ……
それと紅伊奈の『芸者姿』も魅力的だよな!!
あいつの顏立ちが『和』って感じだからこの衣装が紅伊奈には一番ヒットしているかもしれないな?
ルイルイはそういうところも分かっていて彼女達それぞれの『コスプレ衣装』を考えたのかもしれないな……
「ひ…一矢……」
「ん? その声は……舞奈か?」
「私よ、私に決まってるじゃない!! そっ…それよりも、どうなの? 私、凄くカッコよくなったと思わない!? 本物の『タマランピンク』に見えない!? 私、今日は一日中、この姿で過ごすわ!!」
「いっ…いや待て、舞奈!! いくら『戦隊もの風』だからといってマスクをかぶっていたら、誰だか全然、分からないし、視界も狭くて『コスプレ喫茶』でウエイトレスなんて出来ないだろうが!?」
お読みいただきありがとうございました。
遂に『名染伊太学園祭』開幕です!!
果たしてどんな学園祭になるのか!?
どうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆




