第171話 早過ぎるだろ!?(挿絵有り)
【学園祭前日の部室にて】
はぁ……なんで俺までコスプレをやらないといけないんだよ……
それも『執事』って……
これはアレか? 俺が『ネガティ部女子』達の執事みたいなもんだという事をルイルイは言いたいのか!?
チッ、まんざら外れていないところが腹が立つぜ!!
「ひ…一矢君……」
「えっ? ああ、美代先輩どうされました?」
「い…いえ……私、一矢君の『執事』のコスプレ姿がとても楽しみだなぁと思いまして……きっととても似合うと思いますよ……」
「えっ、そ…そうですかねぇ? それはどうも有難うございます。でもまぁ、俺はあまり楽しみではないですけどね……」
「そ…そうなんですか……申し訳ありません。一矢君がコスプレにあまり乗り気が無いのに私だけがはしゃいでしまいまして……ホント私は『ブス』で『のろま』で『デリカシー』の無い人間ですね。もはやこの世に存在してはいけないのかもしれません……」
しっ…しまった!!
「み…美代先輩!! そこまで落ち込まなくてもいいですから!! 今のは冗談ですので!! 実は俺もコスプレ衣装を着るのは前から楽しみだったんですよ!! 皆さんだけがコスプレ衣装を着るのはズルイって思ってたくらいですから!!」
「ほ…本当ですか、一矢君?」
「ほ…本当です。いや、マジで!!」
「それなら良かったです。一緒に楽しみましょうね」(ニコッ)
はぁ……なんとか美代先輩の笑顔を取り戻せたぞ……
いや、しかし疲れるわ……
「ハッハッハッハ!! ダーリン、やはりそうだったのか!? 私もそうじゃ無いかと思って『クリエイティ部』のトリオに頼んでおいたんだが……本当に良かったぞ!! ハッハッハッハ!! さすがはダーリンの『婚約者』だな!!」
「婚約者じやねぇよ!!」
くーっ!! ルイルイの奴めぇ……
お前が余計な事を頼むからこんなことになってしまったのに、自分の手柄のように言いやがってさぁ……
「でも私も一矢君が一緒にコスプレをしてくれて良かったわ。それも『執事』だなんて……」
「えっ? テルマ先輩、何でですか?」
「だって、私は『フランス人形風』のお姫様コスだし……お姫様に『執事』は絶対不可欠じゃない……だから明日はずっと私の傍にいてちょうだいね?」
えーっ!? テルマ先輩、意外と大胆だな!?
「ちょっと待ちなさい、テルマ!!」
「何よ、菜弥美?」
「一矢君は明日、『コスプレ喫茶』の裏方をほとんど一人でやらなくちゃいけないから、ずっとアンタの傍にいるなんて出来ないから!!」
「それじゃぁ、私も裏方をするわ……」
「それじゃ意味ないでしょ!? アンタは表に出てお客さんの接客をしてくれないと!!」
「だ…だってぇ……」
「だってじゃないの!! でも幸い私は『テニス女子』で動きやすい衣装だから、私が接客と裏方を両方やるから、一矢君、明日はよろしくね?」
「えっ? あ、はい……よろしくです……」
「菜弥美!! アンタだけズルいじゃない!! 私も裏方がしたいわ!! 本当は私の性格では接客は辛いんだからね!!」
「でもテルマの衣装では裏方は絶対無理よ。諦めなさい!!」
うわぁぁ……何だか空気が悪くなってきたぞ……
「まぁまぁ、二人共落ち着いてください……。菜弥美ちゃんも部長さんなんですし、もう少しテルマちゃんの気持ちも察してあげた方が良いと思いますよ……」
おっ!? まさか美代先輩が仲裁に入るなんて……
さすが『元部長』だな!!
「あっ!! そ…そうですね、美代先輩!? 有難うございます!! わ…私としたことが本当に恥ずかしいわ……。自分が部長であることをすっかり忘れていました!! ご…ゴメン、テルマ!! アンタの気持ちを全然考えていなくて……私、部長失格だわ……」
「あのぉ〜……菜弥美部長、ちょっといいですか?」
「ん? 何かしら、紅伊奈ちゃん?」
「私、思うんですけど……接客と裏方は全員ローテーション行いませんか? その方が平等だと思うんですが……でもまぁ、私とテルマ先輩の衣装は本当に動きにくいので裏方をする時間は短めで良いとは思いますが……」
「紅伊奈!! アンタ、たまには良い事を言うわね!?」
「たまにって何よ、舞奈!!」
「そうねぇ……紅伊奈ちゃんの言う通りだね。よし、そうしましょう!! 全員平等に接客も裏方もやりましょう!! そうと決まれば今からどの順番でするか皆で考えましょう!!」
「 「 「 「はい!!」 」 」 」
ふぅ……なんとか揉めずに話がまとまって良かったぜ……
しかしこんな時、男の俺ってホント何も言えないよなぁ……
まぁ、余計な事を言って話がややこしくなっても嫌だしな。
しかし、子龍先輩はいいよなぁ……
今回はクラスの『演劇』メインで活動しているからな。
こんなややこしい場面にも遭遇しなくてもいいんだからな!!
でも『演劇』の主役っていうのも結構キツイだろうけども……
主役だから競る日も多いだろうしな。俺は絶対に無理な話だわ!!
ってか、子龍先輩はちゃんと相手の顔を見てセリフを言えるのだろうか?
少し心配になってきたぞ……
ガラッ…ガラガラッ
「お待たせ~っ!!」
「きっ…来たな、変態トリオ!!」
しまった!! つい口に出してしまったぞ!!
「誰が変態トリオよ!? 失礼しちゃうわね~っ!! 変態はドンちゃんだけよ!!」
「恵須部先輩、それはドンちゃんに失礼なのでは? ……あっ!!」
「うわぁぁああ!! 嬉しいわ~っ!! アタシのことを『ドンちゃん』って呼んでくれるなんて~っ!! これでやっと布津野君とアタシの心が結ばれたわね~っ!?」
「いっ…いや、違う!! つい乗せられてしまっただけだ!! 誰がお前なんかと心が結ばれるもんか!!」
「ガーンッ!! ショボンだわぁ……アタシもう……ヘアメイクできないかも……」
「オイオイ、『普通っ子』!! 君は何てことを言うんだ!? 君のせいでドンちゃんが落ち込んでしまったじゃないか!!」
「『カリアゲ先輩』、『普通っ子』って言わないでくださいよ!! でも、すみません……俺も言い過ぎたみたいです……ド…ドンちゃん、悪かったな……」
「君もどさくさまぎれに僕のことを『カリアゲ先輩』って……まぁ、そんなことはどうでもいいけど、このドンちゃんが頑張ってくれないと、いくら僕達が頑張って衣装を作ってもヘアメイクが全然だったら全てが台無しになるんだからね!!」
「そうよ、布津野君。私達三人が揃ってこそ初めて良い作品に仕上がるんだからね。それとあなたも私のことは今日から『亜尼お姉さま』ってお呼びなさい!!」
「誰が呼ぶか!! それに『兄お姉さま』みたいでややこしいわ!!」
「復活~っ!!」
「急に何だよ、ドンちゃん!?」
「布津野君が謝ってくれただけでアタシは幸せだから、またヘアメイク頑張っちゃうわね!!」
な…何なんだこいつは? 単純な奴だな……
ま…まぁ、悪い奴ではないんだろうけど……
「いずれにしてもアタシのメイクは明日が本番だから、皆さん、明日は朝六時に学園に来てちょうだいね~っ!?」
「 「 「えーーーっ!? 六時ですって~ッ!?」 」 」
お読みいただきありがとうございました。
なんやかんやとありながら、遂に明日は『学園祭』
どうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆




