第165話 ラノベかよっ!?
【あくる日の放課後の部室内】
はぁ……
まんまとルイルイにハメられちまったが……
でも、もしかするとアレだよな?
前に親父が言っていた通り、ルイルイは『ネガティ部』の事を考えて『コスプレ喫茶』を勧めた可能性もあるよな……
もしこの『コスプレ喫茶』が成功すれば皆、自信もついて『ネガティブな性格』も改善されるかもしれないからな。
うーん……こうなってしまった以上、俺だけでも前向きに捉えるべきかもしれないな。
なんてったって俺は親父達が待ち望んでいた『理想のネガティ部 部員』みたいだしな。
まぁ、それを意識し過ぎると皆とのやり取りがやりづらいからあまり考えないようにはするけども……
「一矢~っ!!」
「ん? どうした、舞奈?」
「聞いてよ~っ!! 聖香、全然例の企画の事を教えてくれないのよ!! 親友だと思っていたのに酷くない!? もっ…もしかしたら私だけが親友と思っていただけで、実は聖香からすれば私なんか『ザコキャラ』なのかもしれないわ!!」
オイオイ、『マイナス思考』過ぎるだろ!!
「いや、それは無いだろう。聖香が教えてくれないのには何か大事な理由があるかもしれないしな……」
「で…でも……」
「大丈夫だって……聖香を信んじようぜ!?」
「ひ…一矢がそう言うなら聖香の事を信じるけどさ……」
ガラガラッ
「一矢君、朗報だよ!!」
「どうされました、菜弥美部長?」
「いや実はさ、今日私のクラスに井羅須戸さんが来てね、うちの『コスプレ喫茶』で使用する衣装を是非とも作らせて欲しいって申し入れがあったんだよ」
「えーっ!? そうなんですか!? それは良かったです。本当なら今日、菜弥美部長と一緒に『クリエイティ部』に衣装の相談をしようと思っていたところなんですよ」
「えっ、そうだったの? それは行く手間が省けて良かったよ。それで『衣装担当』の恵須部亜尼さんと、黒井由似さんのコンビ、通称『アニユニ』の二人がコスプレ衣装を作ってくれることになったみたいなんだ」
「 「 「えっ!? あの『アニユニ』の二人がですか!?」 」 」
「えっ? 舞奈や紅伊奈、それにテルマ先輩もその二人をご存じなんですか?」
「あら? 一矢君は知らないの?」
「ええ、全然知りませんよ。そんなに有名な人達なんですか、テルマ先輩」
「そりゃぁ、超有名ファッションデザイナー達よ。高校生にしてこの二人は『アニユニ』というブランド名で世の中の女子高生達に大人気なのよ」
「えっ、そうなんですか!?」
「ほら一矢君、覚えてるかな?」
「何をだ、紅伊奈?」
「前に私とデートした時に買い物に付いて来てくれたでしょ? その時に私が購入した服のほとんどが『アニユニ』の服なのよ」
「へぇ……そうだったんだぁ……それは驚きだわ……」
やっ…やっぱ、『クリエイティ部』は超一流の集まりなんだな!?
壁一面に絵を描こうとしている津田先輩といい、凄すぎるぜ!!
「はぁ……」
「ん? 美代先輩……ため息なんかついて、どうかされましたか?」
「あ…はい……。私は昔からファッションにはあまり興味がありませんでしたので、そういった女の子達に人気のあるブランドとか全然知りませんので話に入れず寂しいといいますか、悲しいといいますか……ダサすぎるといいますか、根暗といいますか、ブスといいますか……」
あちゃーっ!!
まさかファッションの話でいつもの『ネガティブ』な性格に戻ってしまうとは!!
「美代お姉ちゃん、何を言ってるのよ? これからいくらでもファッションの勉強はできるし、これからオシャレをすればいいじゃない!!」
「そっ…そうですよ。それに美代先輩は別に今までの服装も……少し地味なところはありますが、よく似合ってましたし、これから美代先輩がファッションに目覚めれば更に輝きが増すと思いますので、俺はこれからの美代先輩がめちゃくちゃ楽しみです!!」
(ポッ)「あ…有難うございます……一矢君……私、これからファッションのお勉強も頑張ってみます……全て『花嫁修行』の為に……」
またまた、そっちの為ですか!?
ガラッ…ガラガラッ
「みんな~っ!! 聞いてくれよ~っ!!」
「どうしました、子龍先輩? なんだか血相を変えて!?」
「うちのクラスの『演劇』だけどさ、僕が王子様役をするんだけどさ、何故かお姫様役が十人もいて、そして最後にその十人のお姫様達に……お姫様達に……き……き……」
「どうしたのよ、子龍? ハッキリ言いなさいよ!?」
「き……キスされてしまうんだよ……」
「 「 「えーっ!? キッ…キスですってーっ!!??」 」 」
「そ…そうなんだよ……一矢君、僕はどうすればいいのかなぁ!?」
「いっ…いや、いくらなんでも学園祭での演劇で本当にキスなんてする訳ないでしょうし、大丈夫じゃないんですか?」
「そうよ、子龍……。そんな演劇でのキスくらいで焦るんじゃないわよ。うちのパパとママなんて毎日、キスしてるんだから!!」
「テッ…テルマの親と一緒にしないでくれるかな!? 君のお母さんは外国人なんだからキスなんて普通なんだろうから!!」
しかし、子龍先輩には言わないでおくけどさ、お姫様が十人って……
どうせ姫役をやりたがった女子が多くて仕方なく姫役を増やしたんじゃないのか?
で、台本も書き直したかもしれないよな?
そ…それに十人もいれば一人や二人くらい抜け駆けして本当にキスをする女子もいるかもしれないぞ!!
まぁ、面白いから絶対に言わないけどな!!
「子龍先輩? ところで劇のタイトルは何て言うんですか?」
「えっ? ああ、劇のタイトルね? えっと…タイトルは……『陰キャで人見知りの王子がハーレムをつくってもいいのか!?』だったかな……?」
「ラノベかよっ!?」
ガラッ…ガラガラッ
「よう、虫けら共!! 毎日シケたツラをして飽きないのかい!?」
「余計なお世話よ!!」
「ハッハッハッハ!! そんなに怒るな、ミヨミヨ。私は顧問としてお前達の為に『コスプレ喫茶』用の衣装を考えてきてやったんだぞ!!」
「却下よ!!」
「オイオイ、まだ何も言ってないぞ」
「ルイルイが考えた衣装なんてろくなものじゃないに決まってるじゃない!!」
「いやいやいや、私の考えた衣装はなかなか良いと思うぞ。まぁ聞け……まず、ヤミヤミは前の体育祭で一番似合っていた『テニスウェア』、そしてテルテルは『フランス人形風』、泥棒黒猫は『芸者』、そしてミヨミヨは『金髪ギャル風』、そして最後にマイマイが『戦隊もののピンクのヒーロー』ってのはどうだ!?」
・・・・・・・・・・・・
「 「 「 「 「ぜっ…絶対に嫌よ――――――っ!!!!」 」 」 」 」
お読みいただきありがとうございました。
子龍が出演するクラスの演劇もたいがいだが、ルイルイが考えた『コスプレ喫茶』で着る衣装もたいがいなような......いや、それはそれで面白いかも!?(笑)
果たして彼女達はルイルイの提案を受け入れるのか?
それとも......
どうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆




