第15話 最終回みたいじゃねぇかっ!(FA有り)
さぁ『ネガティ部!』も一矢が入学してから一週間のクライマックスが来ました。
って「まだ一週間かよ!」
一体これからどんな展開が待ち受けているのでしょう...
美代部長もあの星占い観てたのかよ!?
そして、『射手座』…俺が家を出る時に聞こえた占いの内容…『あなたの許を去って行く人を必ず引き留めてください。さもなければお互いに死ぬでしょう』ってか!?
どんだけ、あの占いは沢山の人を死なせれば気が済むんだよ!!
「一矢君、お願いです! 私の許から去らないで下さい! わ…私、まだ死にたくありません!!」
美代部長、やっぱ信じてるのね、その占いを!?
「一矢君、私からもお願いだ。君が居なくては私も困る! このままだと悩み事が更に十倍になってしまって、どうにかなりそうだよ! 私の悩み事を的確に答えてくれるのは一矢君…君だけなんだ!!」
菜弥美先輩、なんか俺が絡むと悩み事の増え方がおかしくなってませんか!?
「ひ…一矢君…。せっかく名前のコンプレックを持っている人が近くにいるから、最近あまり自分の名前の事を気にしなくなってたのに......。一矢君がいなくなったら…、元の私に戻ってしまうじゃないの!!」
いや、さっき寿志光さんに『苗字は一生聞かないで』って言ってましたよね!?
それってメチャクチャ気にしてるんじゃ…
ん?
待てよ......
そういえばあの時、寿志光さんに苗字あっさり言ってたな!!
「ひ…ひ…一矢君…僕も君が居ないと困るよ......。唯一話が出来る男友達だと思って喜んでいたのに君が居なくなったら僕は一体、誰と話をすれば良いんだよ!?」
子龍先輩、ここ結構大事な場面だけど、やっぱり顔は四五度ですかっ!?
せめて俺の目を見て話せよっっ!!
「ひ…一矢君! 私を部活に誘っといて、自分はいきなり『辞める』だなんて......。私、意味が分からないわ! どういう事なの!?」
寿志光さん、もう俺の事名前呼びかよ!?
どんだけ順応性が高いんだよ!?
心配しなくても大丈夫。
君は絶対『ネガティ部』の将来を背負って立つ人だよっ!!
「おいおい、なんか『ネガティ部』の人達…。あの『普通の子』を囲んで大きな声で何か言ってるぞ!」
「何か揉め事かな? 常に大人しい人達が何か慌てた表情をしてるんだけど...? 一体何があったんだろう?」
そうなんだ…そうなんだよ......
結局みんな......
「結局、皆さん自分の都合で俺を引き留めてるだけじゃないですか!! 俺がどうこうじゃ無いですよね!? 俺みたいなのはきっと『ネガティ部』には必要無いんですよ。俺みたいな…認めたくは無いですが『普通』の人間なんて、この部には必要無いんですよ!」
「一矢君......」
えっ、何!?
み...美代部長......、いきなり俺の手を握ってどうしたんですか……!?
「一矢君、私は一矢君が必要です。そして、この部にも一矢君が必要です。あなたのお陰で、この部は…『ネガティ部』は変わろうとしている様な気がするんです。それも良い方向に......。だ...だからお願いです。『辞める』なんて言わないで下さい!!」
「一矢君......」
えっ!?
次は菜弥美先輩ですか!?
俺の右腕を背後から掴んで!?
む...胸が当たっているんですが......
「一矢君、私も君が絶対居ないと困るんだ! ホントは、私の悩み事が増えるのはどうでも良いんだよ! 増えるのは慣れてるしね。でもそんな事より、私は君との会話がとっても楽しくて楽しくて......。そしてタマに突っ込んでくれるあの会話が好きなんだ。そ...それにこれは皆に聞こえない様に言うけど、この一週間のメールのやり取りも君は私の悩み相談を聞いてるだけだから面白くは無いだろうけど、私はすっごく楽しいんだよ。だからお願いっ!! 『ネガティ部』を辞めないで!!」
「ひ…一矢君......」
わっ!
テルマ先輩まで!?
今度は俺の左腕を小さい手で強く握りしめて!?
「一矢君…、私は君が私と同じコンプレックスを持ってる『同志』だと思っているの。それに君は他の人達と違って、私と普通に接してくれているわ。去年までならあり得ない事だわ。あれだけ学校に行くのが億劫だった私が、最近は学校に行くのが楽しみで仕方ないの......。こんなに学校が楽しいのは一矢君のお陰よ。感謝してるわ。だから、私は今の関係を大切にしたい! だからお願い! 部に残って!!」
「ひっ…ひ…一矢君!」
ありゃ~子龍先輩まで、今度は俺の右肩に手を置いて......
でも顔は横向きですか!?
ただ、この場面は横向きの方が非常に絵になるよな!!
「一矢君......。さっき言った、僕の唯一の男友達というのは本当だ。そして、居なくなるのは困るのも本当だよ。でも、僕は君が誰にでもとても優しい所が好きなんだ。君は僕が、なんとか正面を向いて話させようと色々気遣ってくれてるよね? ホントはとても感謝してるんだよ。涙が出るくらい嬉しい......。君に何か違う感情が芽生えてきそうな位だよ......」
「ひっ...一矢っ!!」
オイオイ!?
さっき下の名前で呼んだと思ったら、今度は呼び捨てかっ!?
まぁ同い年だから別に良いんだけど......
マイナス思考のクセに、なんて順応性が高いんだ!!
「一緒に部活頑張りましょうよっ!! 私は一矢が居ないなら入部しない!! 私の『モノ』になるってのも友達になるだけじゃ無くて、一緒に『ネガティ部』で頑張るって事も追加するわ!!」
「・・・・・・・・・・」
「おい、アレ見ろよ!? 今度はあの『普通』の奴の腕などを全員で掴んで小声で何か言ってるぞ!! 何なのだろうか!? アレは何かの儀式なのかっ!?」
「せ…先輩達…。そして寿志光さん…ありがとう......。ホントに有難うございます。俺…何かとっても嬉しいです。凄く幸せな気持ちになりました。俺みたいなのが、そんなに役に立ってるなんて思いもしなかったです。お…俺、部を辞めるのを辞めます!! そして、今日から正式に入部させて下さい!! どうぞ宜しくお願いします!! それと子龍先輩、決して俺に対して『何か違う感情』だけは芽生えさせないで下さい!! 俺、そんな趣味無いので!!」
「ひ…一矢く~ん!! 有難うございま〜す!!」
「一矢君、改めて…『ネガティ部』へようこそっ!!」
「ひ…一矢君…待ってたわよ......」
「一矢君、こちらこそ宜しく!! 『何か違う感情』は持たないように努力するよ」
「一矢ぁ~っ!! 良かった~!! ありがとう〜!!」
「おい! 今度は全員があの『普通の子』に抱き着いて、今まで見た事の無い笑顔で喜んでるぞ!! 一体何があったんだろ!? それにしてもあの『普通の子』あの有名人達に抱き着かれる位に喜ばせるとは......。絶対、たっ...只者では無いな!!」
ワァ――――――――――ッ!! ゥワ―――――――ッ!!
「良いぞ良いぞ~!! 『ネガティ部』!!!! 何だかよく分からないけど、おめでとう!!!!!!」
えっ!?
一体、何が起こったんだ?
中庭の俺達を皆が見ているし、校舎中の人達から大歓声が巻き起こってるぞ!!
これは一体......
こんなに盛り上がってしまうとは、まさにこれは……
最終回みたいじゃねぇか――――――――――――――――ッ!!!!!!!!
灯油@様
お読み頂き有難うございました。
ようやく一週間のお話が終わりました(笑)
今後も色々な展開が巻き起こりますが、もしよろしければ区切りという事でブックマーク、評価、感想などを頂ければ今後の励みになりますので、どうぞ宜しくお願い致しますm(__)m




