第148話 可哀想過ぎるだろっ!!
上空士仙先輩の立ったままの気絶は別にして部虹に俺達『ネガティ部』が『文化部対抗綱引き』でも一位になってしまったぞ!!
「ハッハッハッハ!! 私の『秘策』に間違いは無かっただろう、クズ共!?」
「そ…それはそうなんだけど何だかスッキリはしないわ!!」
「そうですね。菜弥美ちゃんのおっしゃる通りです……。何か『エグゼクティ部』の皆さんに申し訳のないことをしたような気がします……」
「そうよ、二人の言う通りよ。私達がテニスウェア姿じゃ無かったらどうなっていたか分からなかったし……」
まぁ、テルマ先輩の言う通りかもしれないけども……
でも、とりあえず勝ったことには間違いないからなぁ……
「先輩達、別に良いじゃないですか? どんな形でも私達が勝てたんだし、もうこれで商店街を仮装して歩くことだって無くなったも当然なんだし……」
「そうですよ。私も舞奈と同じ意見です。逆に私達に素晴らしい提案をしてくださったルイルイ先生にお礼を言うべきだと思いますよ」
「はぁああ!? 私は『泥棒黒猫』なんかの礼などいらんぞっ!!」
ルイルイ!! 何でそこまで紅伊奈を嫌うんだよ!?
もうそろそろ仲良くしてやれよ!! ってかアンタ顧問なんだから生徒は平等に扱うもんだろ!?
「ルイルイ先生……? 先生が私を嫌う気持ちはよく分かります。だって先生からしてみれば私は『最大のライバル』ですもんね……? よぉぉく分かりますよぉぉ……。私の方が歳も若いし、肌だって先生よりもピチピチだし、一矢君が私の方になびくのも時間の問題ですもんね!?」
カチンッ
「何を言ってるんだお前は!? お前のことなんか『ライバル』だなんてこれっぽっちも思ったことなんて無いんだよ!! それに年齢はともかく肌は私の方がピチピチだっ!! 私はダーリンの為に毎日のお手入れを欠かせてないからなっ!!」
「へぇ……毎日お手入れをしてソレですかぁぁ? 私は大してお手入れをしていなくてもこれだけピチピチなんですけどぉぉ……」
「なんだと、クイクイ!? 貴様、調子に乗ってるんじゃないよっ!!」
な…なんちゅう醜い言い争いだ!!
「ヤッター!! やっとルイルイ先生が私のことを『泥棒黒猫』から『クイクイ』って呼んでくれたわっ!!」
はぁああ!? 紅伊奈の奴、ソレが目的でルイルイに突っかかっていたのか!?
なんという恐ろしい少女だ……
「フンッ!! お前のことを『泥棒黒猫』と言いうのも面倒だから『クイクイ』に戻してやっただけさ……」
今日はなんだか紅伊奈の方がルイルイに言い勝った気がするよな。
「まぁまぁ、二人共……そんなことより……」
「 「そんなことでは無いんだよっ!!」 」
バッコーーーンッ!!
「ウギャーーーッ!!!!」
「しっ……子龍先輩!!??」
子龍先輩もいつもタイミングの悪いところで、それも余計な事を言ってしまうよな!?
『さぁ、皆さんお待たせしました~っ!! いよいよ最後の種目、リレーが部活対抗リレーが始まります!! まずは各運動部の代表の方々、入場口に集合してくださ~い!!』
いよいよ最後の種目のリレーだな……
おっ!? やはり『運動部』の『部活対抗リレー』はそれぞれのユニフォームを着て走るんだな!?
野球部にサッカー部、バスケ部、バレー部、テニス部、陸上部、卓球部そして最後に柔道部かぁ……
ん? でも何だかおかしいぞ!!
柔道部代表の四人中、三人が『アクティ部』の人達じゃねぇか!?
そんなのアリなのか!?
「おい柔道部キャプテン!! お前達ズルイじゃねぇか!? 何で柔道部だけ『アクティ部』から助っ人をもらってるんだ!?」
「そうだそうだ、柔道部だけズルいだろ!?」
「フン、だって仕方無いじゃないか。うちの部員はキャプテンの俺以外、体調不良やら怪我をしているやらで、さすがに俺以外誰も『リレー』には出れそうにないから『運営委員会』の許可を貰って『アクティ部』の人達に助っ人に入ってもらったんだからな!! お前達に文句を言われる筋合いはねぇよ!! それともアレか? 俺達の部よりもはるかに走り込んでいるお前達が一応『文化部』である『アクティ部』に勝てる自信が無いのか!?」
「 「 「チッ……」 」 」
「 「 「おっ……おう、勝ってやろうじゃねぇか!!!!」 」 」
うわぁぁ、何だか『運動部対抗リレー』はメチャクチャ荒れそうな感じがするな!!
それとやっぱり柔道部に助っ人に入るのは『あのトリオ』なんだな!?
ってか他に部員いないのか!?
「おーい、羽和~っ!! リレー頑張れよ!?」
「あっ、布津野君!? お…応援有難う!! 私、さっきの『綱引き』は全然お役に立てれた感が無くて少し凹み気味だったんだけど、今回は一番得意な徒競走だし、今度こそ布津野君に私の本気を見せてあげるわ!!」
「お…おう……楽しみにしているぞ……」
「羽和ちゃん? 気合い入れ過ぎて、いきなり転んだりしないでくれよぉぉ!?」
「はぁああ!? 根津先輩、何をふざけたことを言ってるんですか!? 私が転ぶはずないじゃないですか!! 根津先輩、死にたいんですか!?」
「いや、俺は生きたい!!」
よく分からん会話だなっ!!
『それでは位置について……よーい……』
パンッ!!
「うりゃーぁぁあああ!!」
『おーと~っ!! いきなり『柔道部助っ人』の針切君がスタートダッシュだ~っ!!』
さすが『現アクティ部 部長』の針切さんだなっ!!
メチャクチャ足が速いじゃねぇか!!
『針切君が他の部とドンドン差を開けているぞ~っ!!』
「くそーっ!! 針切の足が速すぎる!!」
「ダメだ!! 全然追いつけねぇ!!」
『そしてあっという間に針切君から第二走者の助っ人、羽和布留名さんにバトンが渡ったぞ~っ!!』
ギュイーーーーーーーーーーーーンッ!!
やっぱ羽和の足は速いよなっ!!
あれだけ足が速いのに聖香には勝てなかっただなんて……
「聖香の奴、化け物だな……」
「誰が化け物ですって!?」
「げっ!? せっ…聖香、いたのかよ!?」
「いたわよ!! それで私が化け物ってどういうことなのよ!?」
「いっ…いやさ、あれだけ足の速い羽和に勝った聖香はある意味化け物だなという意味でさ……だから誉め言葉だと思って欲しいんだけどなぁ……」
「まぁ、一矢君から悪意は感じないけどさ……で、でも私も女の子だからさ、いくら誉め言葉だとしても『化け物』と表現されるのはちょっと嫌かなぁ……」
「ごっ…ゴメン!! 訂正するよ!! 聖香は『化け物』じゃなくて、りっ…『陸上界の聖女様』だっ!!」
ポッ……
「だっ…だから『聖女』って呼ばれるのはさすがに一矢君でも恥ずかしいから止めてよ!!」
『羽和さんから根津さんにバトンが渡ったが、根津さんも陸上部顔負けの走りを見せているぞーっ!! そしてついに最後尾の卓球部やバレー部に追いついて来た~っ!!』
おーっ!! これはもう助っ人だらけの『柔道部』の一着間違い無しだなっ!?
『さぁ、そして根津さんからアンカーの柔道部主将『尾曾井芦我』にバトンが渡った~っ!! このまま柔道部がぶっちぎりでゴールインするのか~っ!?』
へっ? 何、今なんて言った……?
おそい……あしが……?
あしが……おそい……
それって……
『なっ…なななんと、尾曾井主将の足がメチャクチャ遅すぎるあまり、あっさりと他の部に追いつかれ、そして気持ちが良いくらいに追い越され、挙句の果てにあわや周回遅れになりそうだった卓球部やバレー部にも抜かれて最下位でゴールイーーーーーーン!!!!』
ガーーーーーーーーーンッ!!!!
「ある意味奇跡だ、尾曾井主将!! もし『アクティ部』からの助っ人が無かったらゴールするのに日が暮れちまうとこだったんじゃないのか!? っていうか羽和達があれだけ頑張ったのにメチャクチャ可哀想過ぎるぜっ!!」
その頃、校門前では……
バタンッ
ブーーーン……
トコトコトコ……ピタッ
「フフ……お待ちしてましたよ…………」
お読みいただきありがとうございました。
さぁ次は『文化部対抗リレー』が始まります!!
果たしてどんな戦いになるのでしょうか?
そして謎の人物が校門前に到着したみたいだが......
どうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆




