第14話 ちょっと待って！
一矢が少し悩みだす。
「普通」の何が悪い！俺が「普通」ってのは認めねぇけどな！！
普通、普通って…何なんだよ！？
俺が何か悪い事したのか！？
『普通』で俺が誰かに迷惑かけたのか！？
あぁ…もう良いや......
お陰で吹っ切れたよ......
『ネガティ部』は俺にとっては場違いな所だったんだ......
そうだ！
そうに違いない！！
「あの～寿志光さん、俺のお願いも聞いてくれるかな？ 俺の『モノ』になってくれってヤツ......」
「えっ？ お互いにお友達になったんだから布津野君も死ななくて済むんじゃないの？」
「ま...まぁそうなんだけど…俺の中の『モノ』は別にあるんだよ。出来れば寿志光さんにも俺が入っている部活…『ネガティ部』に入部して欲しいんだ！ …ど…どうかな？ 今ここに居る人達がその『ネガティ部』の部員なんだけど、皆良い人達だよ」
「一矢君、良い人達だなんて凄く照れるじゃないか！ でもお陰で私の悩み事の一つ『自分は悪い人間じゃないのか？』という悩みが消えて嬉しいよ！！」
菜弥美先輩の悩み事って、なんかよく分からん悩み事ばかりだな！
でもそういえば、こないだ夜に来た個人メールでもそんな悩みを書いてたような......。まぁ、いずれにしても大した事無さ過ぎだぜ！！
「『ネガティ部』？ 変わった名前の部活ね。でも、なんか面白そう。良いわよ。私、『ネガティ部』に入部するわ。それにお友達が布津野君だけで良いってさっきは言ったけど、布津野君が学校休んだ時なんか私一人ぼっちだし......。もし布津野君が入院なんかしてしまったら......私...私......」
「分かった、分かったよ。どれだけマイナス思考なんだよ？ でも、俺もこれから健康には十分に気を付けて学校休まない様に頑張るからさ......。そ...それじゃあ入部という事で良いよね？ 皆さんも、それで良いですよね？」
「私は苗字の事を聞かず、私の事をジロジロ見なかったら全然構わないわよ」
「テルマ先輩、ありがとうございます！！」
「えーっ！ 『テルマ』さんって言うんですか？ それ下のお名前ですよね？ じゃあ苗字は何て言うんですか？ 私は寿志光舞奈って言います！」
お―――いっ！！
言うてるそばからイキナリ苗字聞いとるがなっ！！
天然なのか！？
それとも、わざとなのかっ！？
「あぁ～…、木西って言うの。よろしくね。舞奈ちゃん」
えぇ―――っ！？
テルマ先輩、今普通に苗字教えとるがな――――――っ！！
もしかしたらテルマ先輩、苗字の事を自分の持ちネタにしてるんじゃないの？
う～ん....な〜んか怪しいなぁ......
「ぼっ...僕も全然構わないよ。むしろ大歓迎さ。お話出来る人が一人でも増えるのは、僕にとっては凄く貴重だし......」
子龍先輩、何だか悲し過ぎるよ！
誰か、子龍先輩のお友達になってあげて～！！
「舞奈ちゃん、これからよろしくな！ 私は副部長の大石菜弥美って言うんだ。部室は別館にあるから後で案内しよう。それと、うちの部は全員下の名前で呼び合う規則になってるから」
「はい！ ありがとうございます。な...菜弥美先輩！ これからよろしくお願いします！ 美代お姉ちゃん！ ホント、皆良い人達よね！？ こんな素敵な人達に囲まれている美代お姉ちゃんがとても羨ましいわ......」
「あ...ありがとうございます舞奈ちゃん。そうですね。私もそう思います。私みたいな『ブス』で、『ノロマ』で......」
「ハイハイハイ！ 美代部長ストップストップ！ せっかくメデタイ場面なんで、暗くなる話はそれ位にしておきましょうよ！！」
「は...はい…、そうですね......。すみません一矢君......」
相変わらずこの謝った時の美代先輩の表情はたまらないくらい素敵だな！
それに他の先輩達も基本良い人だし、突っ込み甲斐もあるしな。
この一週間で、この人達とずっと一緒にいたいという気持ちになってきてたけど......
けどさ......
「で、俺から皆さんにお伝えしなければならない事がありまして......」
「おっ？ いきなり改まってどうしたんだい、一矢君？」
「は...はい......。ずっと考えてたんですが…、今日、寿志光さんがネガティ部に入部してくれたお陰で、正式な部員が五名になりましたよね？ という事は、『仮入部』中の俺が今この部を辞めても部の廃止は免れると思いますので、俺はここらへんで辞めさせて頂こうかと思いまして......。あっ！ 違いますよ！ 皆さんが嫌とかじゃないんですよ！ どうもネガティ部は俺にとっては場違いじゃないかと思いまして......。このまま俺がいても、皆さんのご迷惑をおかけするんじゃないかと......」
そっ...そうなんだ…！！
こんな美男美女の集団に俺みたいな……
認めたくは無いけど『普通』と言われている俺がいると、どうもバランスがおかしくなるんだよ......
だ...だから俺なんかは......
俺なんか…、この部には……！！
「ひっ...一矢君！ ちょっと待って下さい！！」
えっ…？ 今の大きな声、美代部長ですかっ！？
「ひっ...一矢君！ お...お願いですから、私の許から離れないで下さい！ 絶対に離れないで下さい！！」
えっ…、えっ？え――――――っ！？
何？ …それってまた、俺が勘違いしてしまう系？？？
「じゃ...じゃないと……私も一矢君も、死んでしまいますから――――――――――――っ！！！」
「・・・・・・・・？？？・・・・・！！！」
み...美代部長......
あんた、もしかして射手座なのか―――――――――――っ！！？？
こんな（台風）時に読んでいただき有難うございます。
どうか台風が少しでも早く収まりますように。
そして皆さんがご無事でありますように。。。
