第136話 一体、何て書いてあるんだよ!?
「一体、先輩達は何て書かれた札を引いたんですか!?」
いや、マジで勘弁してくれよぉぉ……
まさか本当にルイルイの策略通り『一番好きな人』って札じゃ無いだろうな!?
それはそれで俺が『うぬぼれている』みたいで逆に恥ずかしいじゃねぇか!!
「わっ……私は……その……アレよ!! 『あなたがボスと思っている人』……そうよ、ソレよ!! だから私は布津野君の『傘下』なんだし布津野君を借りるのが当たり前でしょ!? なんか文句あるの!?」
「おい、モッチー!! お前、『ボス』に対してその口の利き方は良く無いんじゃないのか!? 布津野君、こんな女は無視してアタシと一緒にゴールを目指してくれないかい?」
うわぁああ、怖い!!
なんか『女の闘い』みたいなのが始まっちまったぞ!!
「で…では津田先輩はどんな内容の札を引かれたんですか?」
「おぉぉ、アタシかい? アタシが引いた札の内容は『一番パートナーだと思う人』だ!!」
「 「 「パッ、パートナーですってぇぇ!!??」 」 」
なんか急に菜弥美部長やテルマ先輩、美代先輩までもが大きな声を出したぞ!!
「オイオイオイ、お前達……なんか勘違いをしていないか? 私の思っている『パートナー』ってのは、今度『学園祭』で私が造る作品の手伝いをしてくれる『パートナー』の事だ。この札を引いて丁度良い機会だと思ってな……」
「えっ? という事は俺が津田先輩の作品のお手伝いをするって事ですか?」
「ああ、そうだが……布津野君は私の手伝いをするのは嫌なのかい?」
「いっ、いえ…そんな事は無いですよ!! 前にも言いましたが俺は昔から絵を描いたりするのが好きでしたから、お手伝いさせてもられるなんて光栄ですよ!!」
「おぉぉ、そっかそっか~!! それなら話が早いな!! って事で布津野君、アタシについて来てくれ!!」
「ちょっと待ってください!!」
「ん? ムキッチーどうした?」
む…ムキッチ―って……
「津田さん、あなたの言っている事は少しおかしいと思いますが」
「はぁああ!? 何がおかしいというんだい!?」
「津田さんが引いた札に書かれていたのは『一番パートナーだと思う人』ですよね?」
「ああ、そうだが……それの何がおかしいんだい?」
「この文章では現在パートナーとして一緒にやっている人の事を表していると思いますよ。これからパートナーにしようと予定している人の事を書いているとは読み取れないんですけど……」
「!!!!」
うっ、さすが前妻木部長だ!!
言っている事が正論過ぎてあの津田先輩ですら言い返せないでいるぞっ!!
「ハッハッハッハ!! さすがは『ポジティ部 部長』だな!! ムキッチーの言う通りだよ!! この文章ならそう理解するのが当然かもな。でもまぁ、今のやり取りで布津野君が私にパートナーになってくれる事が確定したからアタシは超満足だよ!! という事でアタシはこの『対決』からは身を引く事にしよう!! うーん、そうだな、井羅須戸でも捕まえてゴールするとしようか……。それじゃあ、あとはお前達二人で布津野君の取り合い頑張ってくれ!!」
津田先輩、何て潔さだ!!
惚れ惚れしちまうぜっ!!
それで前妻木部長はどんな内容の札を引いたんだろうか!?
「嫌よ!! なんで私が紅伊奈の『借り物』にならないといけないのよ!?」
えっ? 今のは舞奈の声か!?
へっ!? 紅伊奈が舞奈の手を引っ張っているぞ?
「だからぁぁ、舞奈じゃないとダメなのよ!!」
「だから何で私なのよ!? ちゃんと札に書かれている内容を言いなさいよ!!」
「それは言いたくないわ!!」
「言わないなら私は絶対について行かないから!!」
何なんだ、あの二人は!? それに紅伊奈が俺では無く舞奈を連れて行こうとしているけど、一体、紅伊奈が引いた札には何て書かれていたんだろうか?
まさか……『自分よりも大きな胸の人』とかじゃないだろうな!?
いや、それはまず無いな……。紅伊奈は自分の方が胸が大きいと、きっと思っているはずだからな……って俺は何て事を考えているんだ!!
それにこちらでは前妻木部長と花持先輩との対決がまだ終わってないし……
でも紅伊奈達の事も気になるし……
このままでは津田先輩が井羅須戸部長を連れて一番にゴールしてしまうじゃないか!!
幸い、津田先輩はまだ井羅須戸部長を見つける事が出来ていないみたいだし、他の部も何だかもたついている様だし……
今なら紅伊奈達が行けば一位になれるんだけどなぁ……
よしっ!!
「舞奈っ!! お願いだ、紅伊奈の事を信じて一緒にゴールしてくれないか!? 今なら一位になれるチャンスなんだよ!!」
「で…でも……。いくら一矢のお願いでも内容を知らないまま紅伊奈について行くのは私の性格上、絶対無理だわっ!!」
どんな『性格上』なんだよ!?
しかし、舞奈があんなに融通の利かない奴だとは思わなかったぜ……
「そっ…それじゃぁ紅伊奈、お願いだから、札に書いている内容を舞奈に教えてやってくれないか!?」
「嫌よ!! いくら大好きな一矢君の頼みでも私の性格上、恥ずかしくて絶対に言えないわ!!」
だから、お前もどんな『性格上』なんだよ!?
よーし……こうなったら……
ビュンッ!!
「おっ、おい!? どこに行くんだ『ボス』!?
ボスって言うな!!
紅伊奈の持っている札を奪い取ってやる!!
シュッ
「あっ!!?? 一矢君、何で私の札を奪うのよ~っ!!??」
「お前がなかなか札の内容を舞奈に言わないからだよ!! こうなったら俺が紅伊奈の代わりに読んでやる!!」
「あ―――っ、ダメ―――ッ!! お願いだから一矢君、読まないで~っ!!」
「どれどれ……ん? 『一番、友達だと思っている人』…………」
ガシッ!!
「えっ? 何!? 舞奈!?」
「行くわよ!!」
ギューーーン!!
「うわぁぁあああ!! そんなに強く手を握らないでぇぇぇ……!!」
「紅伊奈!! 一位取るわよぉぉおおお!!!!」
「いや、ちょっと待って~っ!!」
あ…あっという間に二人共いなくなってしまったぞ……
そして……
『ネガティ部代表の弥家乃紅伊奈さんが一着でゴールしましたーっ!!』
「 「 「え――――――――――――っ!!??」 」 」
お読みいただきありがとうございました。
紅伊奈と舞奈のやり取りがとても可愛かったですね♡
そういえば前妻木部長の札には何て書いてあったんでしょうね?
それは次回に判明します(笑)
という事で次回もお楽しみに(^_-)-☆




