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第134話 名は体を表すよな!!

 遂にこの日がやって来てしまった……


 そう、今日は『名染伊太体育祭』だ!!


 部室ですったもんだあったあの後も大した『作戦』も浮かばずに今日を迎えてしまった。


 でも、俺はそれで良いと思っている。

 とにかく今日は皆と一緒に思いっきり『体育祭』を楽しむことにしよう!!


「それでは只今より名染伊学園長よりご挨拶を頂きます。どうぞ宜しくお願い致します」



「えぇぇ……今日はお日柄も良く……」


 挨拶する場所間違えてねぇか!?


「あっ、ゴメンゴメン……。これは先日、親戚の結婚式のスピーチで使用した挨拶文でした……」


「 「 「ハッハッハッハ!!!!」 」 」


「(ニヤッ)フフフフ……」


 うわぁぁ、何だか学園長が『つかみはオッケーだ』という様な凄い満足した顔をしているぞ……。本当にあの人が『初代ネガティ部 部長』なんだろうか!?




『プログラム一番、ラジオ体操です!!』



「よーしっ!! みんな気合い入れてラジオ体操をやらないと怪我をしてしまうぞーっ!!」


 えっ? 前で体操しているのは根津先輩じゃないのか!?

 たしか前に出て体操をするのは『アクティ部 部長』って聖香から聞いていたんだが……


「ちょっ、ちょっと根津先輩!! 何を勝手な事をされているんですか!? それは俺の仕事ですよっ!! 人の仕事を取らないで頂けませんか!?」


 やはり根津さんが新部長の針切さんの仕事を奪おうとしてたんだな!?

 そして副部長の羽和さんが根津さんを壇上から引きずり落そうとしているぞ!!


「根津先輩!! あなた死にたいんですか!?」


「ごっ……ゴメンよぉぉ!! 直ぐに降りるから羽和ちゃん、許して~っ!!」


「 「 「ハッハッハッハ!! ハッハッハッハ!!」 」 」



 しかし、予想通り波乱の幕開けだな!!



『続きましてプログラム二番 一年生による百メートル走です!!』


 おっ、この種目はたしかうちのクラスの男子代表はモブオだったよな?

 あいつは何故か昔から足だけは速かったんだよな……ホント足だけはな……


 ん? モブオと一緒に走る奴の中に『クリエイティ部 副部長』の津田弟がいるぞ!!

 あいつもクラス代表に選ばれているくらいだから足が速いのか?



『よーい……』パンッ!!


 ドテンッ!!


「ウギャッ!!」


「えーっ!? 津田の奴、いきなり転んでるじゃねぇか!! 大丈夫か!?」


 んで、やっぱりモブオが一着かよ!!

 なんかモブオのくせにクラスの奴等からめちゃくちゃもてはやされているじゃねぇか!! チッ……モブオのくせに……


 で、いきなり転んでしまった津田もようやくゴールをしたけれど……


「うっ……うぅぅ……グスン……」


 良い歳をして泣いてんじゃねぇよ!!

 お前は小学生かっ!?

 『怖い顔』が台無しだぜっ!!



『続いて一年女子の百メートル走です!!』


 えーっと……うちのクラスの女子代表は……あっ、そっか……聖香が代表だったよな……


 で、一緒に走るメンバーの中に陸上競技専門分野の羽和さんがいるじゃねぇか!!


「聖香、頑張れよぉぉぉ!!」


「あっ!? ひっ……一矢君……(ポッ)……」



『位置について、よーい……』パンッ!!



 うぉぉおお!! やっぱり羽和さん、めちゃくちゃ足速いわっ!! って、聖香も同じくらいに速いじゃねぇかっ!?」


「一矢っ!!」


「えっ? 舞奈か……どうしたんだ?」


「知ってた? 聖香って中学の頃、陸上競技をやっていたらしくて、全国大会にも出場した事があるらしいわよ!!」


「なっ…なるほど!! どうりで羽和さんと引けを取らない速さなんだな!!」


 っていうか、聖香が一番じゃないか!!

 す……凄い……


「うわぁぁああ!! 聖女様~っ!!」


「仙道さん、恥ずかしいから聖女って言わないでって言ってるでしょ!!」


「どうだ、見たかお前達!? これが『名染伊太学園の聖女様』の実力だーっ!!」


「だから、それは言わないでくださいってば!!」


 何だか仙道先輩……キャラがドンドン変な風に変わって行っているような気がするぞ!!


「わっ…和久塁さん!!」


「えっ? なっ…何、羽和さん……?」


「私、思い出したのよ!! あなた『伍倫ごりん中』の『久世杉聖香くよすぎせいか』でしょ!? 苗字が違うから気付けなかったけど、あの走り方は絶対に『中学女子陸上界の聖女』と言われた『久世杉さん』としか思えないわ!!」


「え…えっと…それは……」


 何だって!? 聖香が『中学女子陸上界の聖女』だって!?

 あの走りっぷりなら納得だけども……でも苗字が違うっていうのは……


「絶対にあなた、久世杉さんでしょ!? 何で今は和久塁って苗字なの!?」


 イヤイヤイヤ!! 羽和さん、そこは聞いてはいけないところだろ!?


「はっ…羽和さん、聖香にだって話したく無い事もあるだろうし、苗字が違うのは家庭の事情ってやつだろうから、あまり詮索しない方が良いぞっ!!」


「そっ、そうよ羽和さん!! 聖香が可哀想じゃない!! もう少し相手の事を考え話をしてほしいわ!!」


「言われてみればその通りよね……。和久塁さん、ゴメンね……。それと今の私の言動で『ネガティ部の助っ人役』をクビにだけはしないでね!? 布津野君お願いだから私をクビにしないで!!」


「ハハハ……分かってるさ。別に羽和さんをクビになんてしないよ」



「一矢君も舞奈も私をかばってくれて有難う……。でも大丈夫よ。苗字が変わった事は別に言う必要が無いというか説明が面倒だったからというか……『両親が離婚してしまって』……」


 ほらっ、やはりそうだ!!

 普通、苗字が変わるって事はそういう事だよな!?


「両親が離婚してしまって……って言えたら話は簡単に済むんだけど、私は少し違っててさ……」


 えっ? 両親が離婚して聖香が母親側について行った訳じゃないのか!?


「実は私の母親は江戸時代から続いている老舗旅館の一人娘で、本当は母が婿養子をもらって旅館を継ぐはずだったんだけど、うちの父と結婚する事になってしまって……最初は結婚を反対されたんだけど母がどうしても言う事を聞かなくて、それに困った私の祖父や祖母は結婚を許す代わりに一つだけ条件を出したのよ……まだ続き聞きたい?」


「いや、普通そこまで話したら最後まで言うだろ!!」


「そ……そうよね……。で、その条件と言うのが二人が結婚して子供が二人以上生まれたら一番末っ子に『和久塁』の名前を継がせる……要は『養子』になる事を条件に出してきたの。それで五人兄弟の末っ子の私が高校生になるタイミングで『和久塁』の名前を継いだって訳なの……」


 なんか、体育祭どころでは無いような話を聞いてしまった気がするぞ!!

 それに聖香は五人兄弟だったのか!?


 ご両親…………メチャクチャ頑張ったんだな!!


「それじゃ聖香!? 将来アナタがその旅館を継ぐの?」


「うーん、そうねぇ……。私は小さい時から旅館の仕事を手伝っていたけどとてもやりがいのある仕事だから……おそらく将来は旅館も継ぐと思うわ……」


「へぇ、そうなんだぁぁ!! じゃあ私、アナタが旅館の女将になったら毎年、泊りに行くわ!! そうだ!! 『寿志光グループ』を挙げて聖香の旅館を応援するわね!!」


「えっ、ほんとに!? 舞奈有難う!!」


 オイオイオイ!! なんか今、俺は凄い『契約成立』の瞬間に立ち会った気がするぞっ!!


「ところで一矢君……?」


「ん? なんだ聖香?」


「一矢君って何人兄弟なの? それと一矢君って末っ子かな……?」


「えっ!? それどういう意味で質問しているんだ!?」


「べ……別に深い意味は無いわよ……深い意味は…………(ポッ)」


 なんか、とても不安を感じたんだが……



 しかしアレだな。

 まさか聖香の苗字が去年までは『久世杉』だったとはな……


 ん? 待てよ……


 『久世杉聖香』……『くよすぎ せいか』……名前を入れ替えると……


 『せいか くよすぎ』……『性格良すぎ』…………



 マジで『名は体を表す』よなっ!!


お読みいただきありがとうございました。


これからドンドン『波乱の体育祭』になっていきますよぉぉ!!


どうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆

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