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第129話 恋の宣戦布告だとっ!?

 無事に『ネガティ部女子』プラス子龍先輩とのデートも終わり、俺は家に帰りたい気持ちでいっぱいだったが帰り際に美代先輩が俺にこう言ってきた。


「一矢君、一つお願いがあります。出来ればまだ家に帰らず、このメモに書かれている通りに五階のレストランに行ってほしいのですが……」


 俺は美代部長が今回の『デートマニュアル』を作成したルイルイに対して気を遣ってそう言っているのだろうとは思ったが、美代部長の頼みを無視する訳にもいかないので、俺は渋々五階にあるレストランの前に来ている。


 そしてメモにかいてある通り、レストランの受付で『予約している布津野です』と言うとお店の人が『お待ちしておりました』と言い、席へ案内してくれた。


 そして案内された席には一人の女性が座っている。

 でも座っているのはルイルイじゃないぞ!?



「せっ…聖香じゃないか!? 一体どうしたんだ!?」


「あっ、一矢君こんばんは。本当に来てくれたんだ? ルイルイ先生に『ここで待ってろ。時期にダーリンが来る』と言われたんだけど、本当に一矢君が来るのかどうか不安で不安で仕方が無かったわ……。でも本当に来てくれて良かった……」


 ルイルイが聖香にここで待ってろという事は……


「はい、これ……」


 聖香は俺に手紙の様な物を渡して来た。

 俺はそれを受け取り、封を破り中に入っている手紙を取り出し読んでみる。


 するとその手紙の内容に俺は驚いた。


『よう!! ダーリン、『デート』お疲れ様!! どうだった? 楽しかったかい? それに私の考えた『デートプラン』はどうだったかな? お気に召してもらえたかな? 『ネガティ部女子達』とはあんな事やこんな事は出来たかな? まぁお前達は『ショボ過ぎる性格』だから、大した事は起こっていないかもしれないがな。 ハッハッハッハ!!』


 何なんだ、この手紙は!?

 文章なのに思いっきり『ルイルイ感』が出ているよな!!

 そして少し腹が立つ……


 『それで最後に私の考えたプランだが、おそらくダーリンは私と『デート』だと思っているだろう。しかしそこは常に『期待を裏切る私』だ!!』


 うわぁぁああ、自分で自分の事を『期待を裏切る私』って言ってやがるぞ!?


 『ダーリンに問う? 今回の『生徒会長選挙』で一番頑張った奴は誰だ!? ダーリンか? それとも『ネガティ部 部員』達か? いや、そうじゃないだろう……。今回一番頑張ったのは他でも無いダーリンに推されて『生徒会長』に立候補した和久塁聖香わくるいせいかだと思わないか!? 私はそう思い、今回の『デートプラン』最後の締めくくりはダーリンと『ワクワク』の『二人でディナー』そして『二人で食べさせあいっこ』名付けて『アーン作戦』とした!! 以上、健闘を祈る!! 追伸……この手紙をワクワクにも読ませるように……フフフフ……。 更に追伸……今回の私の計らいを見て私の事を惚れ直してもいいぞ、ダーリン……』


「・・・・・・」


「一矢君、手紙には何て書いてあるの?」


 ル…ルイ…ルイルイの奴、一体何て事を考えてんだ!?

 あれだけ俺と最後に『デートする感』を出しておいて、結局こういった計らいをするとは……


 マジでルイルイの事がよく分からなくなってきたぞ!!

 あいつは本当は『良い奴』なのか? それとも『腹黒い奴』なのか……?


 しかし、ルイルイの奴、俺と聖香で『アーン』をやれだとーっ!?


 お…俺が良くても聖香がイヤがるに決まってるじゃないか!!


 とりあえず聖香にもこの手紙を読ませなければいけないんだよな?

 はぁぁ…何か気が引けるけども……

 凄いイヤな顔をされたらどうしよう……


「聖香、はい。お前にもこの手紙を読ませろって書いてあるから読んでもらうけどさ。別に手紙の内容なんて気にする必要は無いからな!! 聖香には『拒否権』があるんだからな!!」


「一矢君の言ってる意味がよく分からないけど、私もこの手紙を読んでいいのね? それじゃあ、読ませてもらうわね……」



 聖香が手紙を読みだして十秒後、聖香の頬が少しだけ赤くなる。


 三十秒後、聖香の頬が更に赤くなる。そして目が少し泳いでいる様にも見える。


 そして一分後、聖香の頬、いや顔全体が真っ赤っか……。頭から湯気が出て来そうな感じだ。


「聖香、そういう事だ。ほんとルイルイの奴、一体何を考えているんだろうな!? 聖香は気にする必要は無いんだぞ。俺なんかと『アーン』なんてイヤに決まっているしな。さっきも言ったけどお前には『拒否権』があるんだからな!!」


「ひ…一矢君はどうなの……?」


「えっ……俺!?」


「そう、一矢君は私と『アーン』するのはイヤなの……?」


「おっ…俺はイヤっていうか……俺は別に構わないんだけどさ……。聖香が俺なんかと『アーン』なんてイヤじゃないかなって思ってさ……」


「イヤじゃないわよ……」


「えっ?」


「だからイヤじゃないわよ!! 私は一矢君と『アーン』するのはイヤじゃないわよ!! っていうか逆に私は……私は一矢君と『アーン』をやりたい!!」



「えっ、え―――っ!!?? そっ…そうなのぉぉおおお!!??」




 という事で俺と聖香は、お互いの料理を相手の口元に持って行き『アーン』と言い合いながら食べて行く。


 かなり恥ずかしい……

 他の客も俺達の事をニコニコしながら見ている。

 更に店の従業員までもが笑顔でこちらを見ているようだ。


「せっ…聖香? お前コレ恥ずかしくないのか!?」


「はっ…恥ずかしいに決まってるじゃない。でも先日の『選挙演説』の時と比べたら恥ずかしさは全然マシよ。何だか一矢君のお陰で私、以前より心が強くなったみたい……」


 なななんと!? 俺が聖香をここまで強くしてしまったのか!?

 なんてこった……


「さぁ一矢君、次は一矢君の番よ。早く『アーン』って言いながら口を開けてくれるかな?」


 いや、マジでいざとなったら女は男なんかよりも全然強いよな!!


「聖香、本当に俺なんかと『アーン』をしても良いのか? こういう事は本当に好きな人とやるべき事だしさぁ……。俺は今回の『デート』で皆さんが『本当のデートをする時が来た時の練習相手』だと思って、『相手役』になりきろうと頑張ってきたんだけどさ……。でもお前は『ネガティ部部員』じゃないからさ……。どうなんだろうと思ってさ……」


「ひ…一矢君は私の事、嫌い?」


「えっ? いきなり何だよ!?」


「答えて!! 一矢君は私の事が嫌いなの?」


「べ…別に嫌いじゃ無いけどさぁ……。『好き』か『嫌い』かで聞かれたら『好き』だと思うしさぁ……」


「一矢君、『アーン』して?」


「えっ!? あっ…アーン……」


「私は一矢君の事、『好き』でも『嫌い』でも無いの……」


「モグモグ……ふーん……モグモグ……そうなのか……モグモグ……」


「私は一矢君の事が『大好き』なの!!」


「!!?? ウグッ!! ウッ!! りょう…料理が喉に……ウッ!!」


「ひっ…一矢君大丈夫!? 早くお水を飲んで!!」


 ゴクゴクゴク……


「プハァアア!! しっ…死ぬかと思ったぞ……。って、ん?」


 聖香が俺の座席の後ろに回り、背中を優しくさすってくれている。


「一矢君ゴメンね。変なタイミングであんな事を言ってしまって……」


「い…いや、気にするな。俺はこうして生きているしな……」


「プッ……。本当に一矢君は『誰にでも』優しい人よね?」


「別に俺は誰にでも優しい訳じゃ無いぞ……」


「でも少なくとも私達にはとても優しいわ。まぁ、その『優しさ』が時に『罪』になる事もあるんだけどね……」


「えっ? どういう事だ?」


「ううん。気にしないで……。私の独り言だから……。いずれにしても私は今まで『ネガティ部』の人達に遠慮していたところがあって……。特にやっとお友達になれた舞奈にはね……。でも今回、一矢君の応援をもらって『生徒会長』になる事が出来たでしょ? 何となくだけど私、『ネガティ部女子達』と『対等』になれた気がしたの。だからもう、今までみたいに遠慮なんてしないって決めたんだ……」


 えっ? 聖香は『ネガティ部女子達』に何か遠慮をしていたのか?


「だからもう一度言うね? 私は一矢君の事が『大好き』です。それは間違いの無い事実だから!!」


 チュッ……


「えっ!?」


「い…今のキスは『ネガティ部女子達』に対しての『恋の宣戦布告』の意味でもあるから」



 えっ、え―――――――――っ!!??



 なっ…何なんだ、今回の『デートプラン』は!?

 全てルイルイの筋書き通りなのか!?


 いや、キスまでは筋書きには無いだろ!?


 いずれにしても今回の『デート』は紅伊奈からの右頬へのキスで始まり、聖香からの左頬へのキスで終わるのか!?


 しかし、この小説は『ギャグコメ』じゃ無かったのか!?

 いつからここまでマジな『ラブコメ』になったんだ――――――!!??


お読みいただきありがとうございました。


締めくくりのデートがまさかの聖香と......

そして最後にその聖香から『恋の宣戦布告』という形でのキスをされた一矢......

今後の彼等の運命はいかに?


これでようやく『デート編』終了です。

次回からは『新章』開始!!


どうぞ次回もお楽しみに(*^▽^*)

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