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第128話 ホラー映画ってオイシイよな!(挿絵有り)

さぁ、遂に美代前部長の登場です。

果たしてどんなデートになるのでしょう?

 【映画館前】



「美代部長、いや美代先輩……お待たせしました!!」


「あっ、こんにちは一矢君……。いえ、私も今来たところですから……」


 もう俺は騙されないぞ!!

 今日は全員、約束の時間よりもメチャクチャ早い時間から来ているからなっ!!


 きっと美代先輩だって、かなり早い時間からこの『ショッピングモール』に来ていたんじゃないのか!?


「で、美代先輩……。本当は何時に来られていたんですか?」


「えっ? そっ…そんなに早くには来てませんよ!! ほ…ほんとですから……。さっき時間調整で映画を一本観ただけですし……」


 はい!! 少なくとも二時間前には来ていた事確定!!


「そ…それでどんな映画を観られていたんですか? 今から同じ映画を観る訳にはいかないので……」


「先程、私が観た映画は『ネガティブな女と普通の人が両想いになれるのか!?』というタイトルの『恋愛映画』でした……。とても感動して涙を流したところです……」


 えっ、え――――――っ!!??


 その映画って、俺達二人で観るべきだったのでは? と、つい思ってしまうんだけど……

 いや、お…俺の考え過ぎだよな!?


 そっ…そうだ。俺と美代先輩が『そんな関係』になる訳ないし……

 今日の俺の役割は将来、美代先輩が本当にデートする時の練習相手なんだからな……


「それで、俺達が今から観る映画は何なんですか?」


「はい、今から私達が観る映画は『普通の人が豹変!? ネガティブ女性達を襲う!!』というタイトルの“ホラー映画”です……」



 突っ込みどころ満載だなっ!!


 まず、さっきの恋愛映画もそうだけど、タイトルに『普通』やら『ネガティブ』やら出過ぎじゃねぇのか!?


 そんな『奇跡』みたいな事があるのか!?


 まさかこれは、ルイルイの差し金なんじゃないのか!?

 いやでも、ルイルイがこの映画館でそんな事が出来るはずがないしな……


 あっ、待てよ!!


 もしかしたら子龍先輩の親父さんの仕業じゃないのか?

 ここのオーナーだし、可能性はあるよな!?


 それにルイルイとも繋がりが有るかもしれないからな。

 なんてったって、俺の親父の昔の『軍師』だった人だしな!!


 まぁ、いずれにしても俺は今から美代先輩と『普通』に映画を観れば良いだけなんだ。

 ちょっと、“ホラー映画”ってのが気になるけども…………


「それじゃ美代先輩、そろそろ映画館に入りましょうか?」


「そ…そうですね、一矢君……。今日はよろしくお願い致します……(ニコッ)」


 あぁぁああ!やっぱ美代先輩の笑顔は最高だな!!

 あの常に暗い表情からの笑顔が凄くギャップがあって、俺の心をわし掴みしやがるぜっ!!



【映画館内】


 さぁ、いよいよ映画が始まるぞ。

 俺の隣には美代先輩……


 そして観る映画はホラー映画……。俺がビビって『ギャー』とか言ってしまったら最悪だな!!

 まぁ、幸い俺はあまりホラー映画が苦手じゃないから助かったけども……


「一矢君……。何だかドキドキしますね……?」


「そ…そうですね……。ハハハハ……」


 まぁ、俺は隣に美代先輩が居る事に対してドキドキしているんだけどな!!



 しかし、この映画は何なんだ!?


 『普通』の少年が『謎の男』から貰ったチョコを食べた途端に『豹変』して『殺人鬼』になるのかよ!?


 まず、『知らない人』から貰ったチョコを喰ってんじゃねぇよっ!!


 そして『ネガティブそうな女性』に近付き……第一の犠牲者が………………


「ギャ――――――――――――――――――ッ!!」


 だっ…誰だ!? こんな出だしでビビって叫んでいる奴は!?


 ん? あっ…アイツは!?



「こらっ、津田!! 出だしからそんなビビってどうすんだよ!?」


「だっ…だって井羅須戸いらすど部長……。俺、ホラー映画苦手なんですよ……」


「お前の顔の方がよっぽどホラーに近いぞ……」


「どさくさ紛れに俺の悪口を言わないでくれますか?」



 なっ…何で『クリエイティ部』の新部長と副部長がここに居るんだ!?

 まさかあの二人もデートなのか!?

 これじゃ気になって映画どころじゃないじゃないか!!


 ギュッ……


 えっ……?


「ひ…一矢君……。私、あの『普通の男』がとても怖いです…………」


 みっ…美代先輩!? 


 あの美代先輩が、俺の腕をギュっと掴んできたぞっ!!

 そっ…そうだった!!


 ホラー映画には、こういった『特典』があったんだった!!

 これは俺にしてみれば『超ラッキー』じゃないか!!


「み…美代先輩、大丈夫ですよ……。俺が横に居ますから。それにあんな『豹変した普通の男』なんて所詮は『普通の殺人』しか出来ませんから……」


 ん……? 今の俺の返しは果たして正しいのか??

 まぁいっか……俺は今、とても幸せな気分だしな…………



「ウギャ――――――――――――――――――ッ!!」


 まっ…またアイツかよっ!?

 いい加減にしてくれないか!?


「おい津田!! お前がついて来るっていうから仕方なしに連れて来てやったのにさ、私がメチャクチャ恥ずかしいじゃないか!! お前もう帰れよ!!!!」


「いっ…嫌ですよ!! 俺は今度の『学園祭』でお化けの彫刻を創るつもりで、今日はその題材の為に来てるんですから!!」



 なるほど、そういう事か。

 でも別に映画館に来なくても『お化けの題材』なんてどこにでもあるだろ!?


 スッ……


 えっ!?


「一矢君……スミマセン……。今のシーンもとても怖くて……」


 う、うわぁーっ!!!!

 今度は美代先輩の顔が、俺の左肩に寄り添う形になったぞっ!!


 おっ…俺はこんな嬉しい状況で良いのか!?

 なんか後で、バッ…バチとか当たらないだろうな!?


「一矢君? 私がもたれて重たくないですか? いっ…嫌じゃないですか……?」


「いいえ。全然重たくないですし、嫌でもないので美代先輩は気にしないでください!!」


「ほ…本当ですか? あ…有難うございます……」



 こ…こんなに美代先輩が近いのは初めてじゃないのか?

 この状況で俺は映画なんて観れるはずが無いじゃんか!!


 でも、後で美代先輩から映画の話題をされて答えられないのもマズいからなぁ……

 ある程度はちゃんと観ておかないといけないよなぁ……



「フギャ――――――――――――――――――ッ!!」


 だからお前のせいで余計に映画に集中出来ねぇんだよっ!!

 アイツをぶん殴りたくなってきたぞ……


「津田!! いい加減にしろよっ!! 今のシーンのどこが怖いんだよ!?」


「だっ…だって今のシーンの『普通の男』の顔が布津野君に見えてしまって、思わず映画館でも彼に会えた様な気がして思わず嬉しくなって叫んでしまったんですよ!!」


「紛らわしい叫び方をするんじゃないよっ!!」


 あ…あいつ。色んな意味で、今度ぶん殴ってやる……


 ガサッ、ガサッ!!


 えっ? 今度は何っ!? ……っていうか美代先輩……


 今度は俺の腰に両手で抱き付いて来たぞ―――――――――ッ!!!!

 ひじ掛けに美代先輩のお腹が当たっているはずなんだけど、痛くないんですか?


 ってか、いつの間にか俺の左側のひじ掛けが無くなってるぞっ!?

 何で急に無くなるんだ!? イリュージョンか何かか!?


「ひ…一矢君スミマセン……。今のシーンの『普通の男』が思わず一矢君に見えてしまって……。それで一矢君が急に『豹変』しまったらどうしようと思ってしまったら怖くて怖くて……。もうまともに私はスクリーンを観る事が出来なくなってしまって……」


 美代先輩、アンタもかよっ!?


 まぁでも、津田の野郎とは違うからな。

 ホントに俺は『ネガティ部女子』達とのデートで最後にこんな幸せな気分を味わえるとは思っていなかったな……


 少しは今回の事を計画したルイルイに感謝しても良いかなっていう気持ちになってきたぜ…………


 でもこの後のルイルイとのデートはパスするけどな!!


 ちょっ…ちょっとだけ、美代先輩の頭を撫でてみようかなぁ?

 イヤイヤイヤッ!! 俺は一体何て事を一瞬思ってしまったんだ!!


 さすがの美代先輩も俺がそんな事をすれば、絶対に幻滅するに違いない……

 それにしても美代先輩の身体の温もりが俺の身体にメチャクチャ伝わってくるよなぁ……


 あと美代先輩の香りって、こんな感じだったんだな………………

 なんか、とてもいい香りだよなぁ……


「フゲェ――――――――――――――――――ッ!!」


 うるせぇよ、津田!! お前の叫び声もとうとう慣れてきたわっ!!


 アレ? 美代先輩は今のシーン、反応しないのか? って、俺は何を期待しているんだ!? もうこれ以上俺に密着する方法は無いんだからな!!


「ムニャムニャムニャ……スースー……」


 えっ?


 美代先輩、まさか……


 このまま寝てるじゃねぇかッ!?


 もしかして寝不足? それとも実は今日のメンバーの中で一番早くにこの『ショッピングモール』に来ていたとか……。うん、美代先輩ならあり得るな。


 開店前に並んでいた可能性もあるし、映画も今ので四本目くらいかもしれないぞっ!!


 どうしよっかな? これは起こした方が良いのかな?

 でも俺の膝の上で、とても気持ち良さそうに寝ているしなぁ……


 よし、このまま起こさないでおこう……



 美代先輩、『ネガティ部 部長』本当にお疲れ様でした。

 

 あの入学式の日、俺は美代先輩と出会えてなかったら……。あの『脅しの様な勧誘』が無かったら……。そして『ネガティ部』に入部していなかったら、俺はこんな楽しい学園生活を送る事なんて出来ていなかったかもしれません……


 本当に有難うございました。

 来年進学されても、たまには『ネガティ部』に顔を出してくださいね……


 ……あっ!? 

 いつの間にか俺、美代先輩の頭を撫でていたぞっ!!

 マズイな!! 美代先輩起きてないよな……?


 しかし、美代先輩の髪の毛ってサラサラでホント綺麗だよなぁ…………



「ホゲ――――――――――――――――――ッ!!」



 津田~っ!!

 メチャクチャ良い場面なのに、お前の叫び声で台無しにするんじゃねぇよっ!!!!




 しかし、この時の俺は知らなかった。


 美代先輩が実は『狸寝入り』をしてた事を……

 そして美代先輩の映画館内での言動や行動は、全てルイルイが作製した『マニュアル』通りだったという事を………………


挿絵(By みてみん)

お読みいただきありがとうございました。


どうでしたか?

いくらマニュアル通りだったとしても、あの美代前部長がよく頑張ったと思いませんか?


きっと狸寝入りをしていた美代前部長の顔は真っ赤でしょうね。

逆に緊張のあまり気絶していたかもです(笑)


そして今回で『ネガティ部女子達』と一矢とのデートは終了になるのですが......

そんなアッサリとルイルイが今回の企画を終わらせてくれるのでしょうか?


それでは次回もお楽しみに(^_-)-☆

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