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武士の愚死

 武士は恥をかくと死ぬ。これは清らかに生きるためのことらしいが、あたから見たら周りに強制され殺されたようなものだ。つまり、本当は生きたいと思っていた者が無理矢理殺されたことだ。

 これは、その武士の清らかな死について考える短編である。

 夜、雨が降る中であった。バッチい汚い服を着た3人の男たちがいた。

 二人は百姓の家の息子たちで兄弟であった。しかし、素行が悪く親から嫌われついには家に追い出された。困り果てた二人は強盗をたくらんでいた。兄の名は太郎、弟の名は次郎。

 もう一人は武士で刀の腕が立つことや、浪人で衣食住に困り仲間に入った。兄弟から「お侍さん」と呼ばれている。これは侍があまり名前を話したくないからだ。なぜなら、このような悪事に手を染めるなら名を名乗らぬことが一番だ。

 3人は商人が宿屋にいて大金を持ってきた情報を入手した。3人は宿屋にいた商人を襲撃して金を奪おうとたくらむ。さいわい、兄弟は国境の抜け道を知っておりどこへ逃げるのか知っている。元々別の国へいたのでそこからこの国へ通ってきた。

 彼は打ち合わせをして宿屋が見える場所へいた。遠くだが見えるのは確かだ。 次郎が宿屋へ向かい中を確認して帰ってきた。中には商人の他に商人がやとった腕の立つ浪人たちが5人いたらしい。3人で真正面から行くとまず全滅は免れない。

 太郎は侍に提案を出した。



「おさむれぇさんよぉ。あんたが斬りこんで俺たちがぁ商人の金をかっぱらってくるから安心してくだせえぇなぁ」


「君たちが逃げるわかるにしても、私はどうする?」


「心配しないだせぇ。俺の顔はぁ、商人と似ているでさぁ。

 だからぁ、俺がぁ商人の服装をしてぇうまく誘導すればぁ大丈夫でさぁ」


「なるほど、確かにいい。しかし、君はどうする?」


「そこは俺が話す」



 次郎が話を移した。



「なあに、商人を俺が襲って気絶させ服を兄貴のとすりかえて後は兄貴が声をあげて商人がやとった浪人で殺して後は逃げるだけ。服もよさげなものでいいらしいぜ」



 次郎はいきようようとはなしていた。しかし。



「だがなぁ、次郎。盗むのは俺たちがぁ三人分で納得できるような小判だ」


「ああ、わかっているよ」



 兄弟は納得し侍もうなづき作戦を決行することにした。



 *



 侍は正面に兄弟は裏から襲撃することにした。侍は刀を持ち宿屋に入る。



「どちらで……」



 店員の言葉を無視して奥へと進む。すると、商人を護衛する浪人が2人あらわれた。二人は刀を手にしていない。



「おい、ここから先は……」



 その時、侍は刀を持ち素早く抜き1人を斬り伏せた。もう一人はあわてて刀を持ったがすでに遅し。侍は突きの構えをとり心臓を貫いて敵を殺した。

 店員が侍による血みどろの光景を目の当たりにして叫び残った護衛の内二人がやってきた。二人はすでに刀を抜き侍を見ていた。侍は距離をとり様子を見ていた。

 一方、裏から侵入した兄弟たち。彼らは様子を見ていた。商人と最後に残った護衛が何をするのか見ていた。護衛と商人は離れずじっとしていた。兄弟は考えた。

 次郎をわざとおとりにして護衛の目を引き付ける。



「誰だ!」



 護衛は次郎を見て構える。次郎は当然のごとく刀を抜く。



「くせ者め!」



 護衛は刀を抜き襲いかかった。



「お、おい!」



 護衛が次郎を追いかけて行くも商人は置き去りにされた。侍や太郎のいる方向とは別の方向へ誘導した次郎。太郎は商人いる部屋に入り商人の口を手で封じて絞殺した。服を奪い着てあたかも商人と見せた。

 そして、太郎は小判30枚を奪い手ごろで軽く値打ちの高い物をさがしたがなく次郎を助けに行くことにした。

 太郎は次郎を追いかけている護衛に「何をしている! ワシの部屋に盗人が入ってきたぞバカ者め!!」と叫んだ。護衛はわれを返し戻っていった。

 しかし、太郎は護衛が来ないよう障子をとって移動しにくくした。

 侍と戦っていた者たちも我さきと商人の所へ逃げた。太郎、次郎、侍はしめたと思い宿屋から逃げていった。



 *

 太郎と合流した三人はすぐさま関所もない山の中にいた。



「ははははは! さすが兄貴だ!! ここまでくれば別の国の住人としてふるまえば心配ねえ!!」


「ああ、おれたちゃあもう少しでぇ大丈夫でぇ!」「うん……」



 侍がうかない顔をした。



「どうしてさぁ先生?」


「いや……やはり……」



 侍は武士の家の人間であるためかやはり、このこうどうに苦心していた。自分の行いで家族が恥てしまう。この様な行動は金に困り果て一時の感情に身を任せてしまった結果だ。外道に身を落とし最後まで貫こうとしたがよもやこのようなことになるとは……。

 やはり、向いていない。



「先生ぇ? 切腹で?」


「そうしたい気分だ」


「まだ人生たくさんあるのにそれも多くあるじゃないか」


「しかし。一族に迷惑をかけていき恥をさらしたくない」


「なるほど。下手なもんであっしが介錯をしましょうかい?」


「ああ、たのむよ」



 侍は短刀を取り出し自らの腹につき刺した。太郎は刀を振り落としうまく侍の首を斬り落とし介錯した。

 これで終わりかと思われていた。しかし。



「よかったなぁ次郎。取り分が増えたよ」


「え……そうか兄貴?」



 太郎は笑っていた。そう、太郎は金の取り分が増えるなら真面目で罪悪感のある武士を選び仲間にして最後の方で罪悪感にかられて死を懇願すると見ていた。結果、取り分は増えた。



「計算通りだよぉ。俺の目に狂いはなかった。こいつは一時の感情で俺たちに手を貸して最後はこうなると思っていた。いやはや、まあいいいか」


「兄貴……怖いな……」



 そう、太郎はすべて予見していた。次郎は予見できずただ兄を恐れていた。

 その後、兄弟は国境をこえてどこかへ逃げうせた。侍は何者かにみぐるみをされた状態で発見された。それが、兄弟にやられたとは誰も知らない。




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