想いの先
「トワイライト」それは、日の出前や日没後の薄明かりのことを指す。
これは俺ら4人のそれぞれの「トワイライト」の話。
ーー咲太のトワイライトーー
高校に入学してから、1年ちょっとが過ぎた。只今は選択科目で選んだ化学の授業中である。
俺の高校は2年生になる少し前に、文系か理系かを担任との面談で選択して決める。
俺が理系を選択したのは、ただ文系の科目が苦手なのが多かったからだ。特に歴史の授業は同じような名前の奴がゴロゴロいるおかげで大の苦手になった。その点、理系の授業は公式とか覚えてしまえば後はそれを応用するだけだから、楽でいい。今、やってる授業内容も物理で出てくる内容に被ってるし。
おかげで、寝てさえしなければ怒られないし。
「ん?」隣の席から紙が机の上に飛んできた。
紙を広げて見てみると、 「 ー今日も例のお嬢様彼女とデートか?笑ー 」 隣の席の奴を睨みつけてやると
ニヤニヤしながら、俺の親友の翔がこっちをみていた。
「ー あー、そうですけどなにか? ー」内心、中学生か!と思いつつ、どうせ、暇だったから返事を返すことにした。
「ー いいなー。俺も彼女欲しい!!お前の彼女の友達とか紹介してくれよ! ー」
…彼女の友達ねぇ。
彼女の友達を想像してみたが、んー、無理だろうな。いろんな意味で。
そんなことを考えていたら、授業終了のチャイムが鳴った。
それと同時に、翔が俺の手を掴んで「マジで頼むな!!」と言って、そのまま部活にダッシュして行った。
翔は、見た目はすごくチャラいのに、なんと柔道部なのだ。3年生が引退して、主将に選ばれるなど意外と真面目で頼りがいのあるいい男なんだが、角刈りに金髪という謎の組み合わせという、見た目のせいで女の子に人気がない。目立って女の子からモテたいはなんとなく男ならわかる。柔道部だから、髪を伸ばせないのもわかる。だからって、その両方を取る翔の頭の中は全くわからない。
でも、何に対しても真っ直ぐで、真面目な翔は本当に俺の親友でよかったと思う。
まあ、親友のために一応これから会う彼女にさっきのこと聞いてみるかな。