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前回に比べたらかなり少ない分量ですが、できる限り早めに投稿していきます。
色々なことがあった入学式の日からはや一週間がたった。
ちなみに、あの後俺は意識を失い、目覚めたのは一時間も後。気を失っていた間クラスの女子からは高山を押し倒した変態と言われたが和馬やぶつかってきた奴のおかげか、誤解はすぐに解けた。
「おーい、翔。いっしょに帰ろうぜ!」
うしろから名前を呼ばれ、振り向いた。
「和馬か、…そうだな帰るか。ちょっと待っててくれ、今帰り支度するから。」
そう言うと和馬は、おう。と笑いながら返事をした。
和馬はクラスのみんなとも話が合うため、学級委員をすることになった。二人で話ながら校門へ向かっている時に体育館の前を通ると、うしろから、おーい!! と呼び止められた。
「なんだ、佳奈じゃないか。」
と和馬が答えた。翔も、何か返事をしようとしたが、やはり緊張して口が上手く回らない。
「なんだとはなんだい、ひょっとして期待はずれだった?」
「いや、そんな事はないぞ。てか期待って何をだよ」
などと他愛のない話を二人でしていた。
「と、ところで倉橋、今日は部活無いのか?」
かなりぎこちなかったが、やっと翔も会話に入る事が出来た。
「いやいや、これから。うちの部活やけに競争率が高いから気合い入れていかないとスタメンになれないから頑張らないといけないしね。」
と翔に笑顔で答えた。
「おっと、部活に遅れたらやばいからそろそろ行くよ。じゃーね!!」
と言うと部室棟の方へと走って行った。
「佳奈は相変わらず頑張っているな」
「あ、あぁ倉橋なら今年中にでもスタメンになれるんじゃないかな?」
と言うと翔は、佳奈が走って行った方をもう一度みた。
「どうだろうな、佳奈もさっき競争率が高いって言っていたからな。どうした、翔。顔が赤いぞ?」
「そ、そんな事ねーよ!?」
と必死にごまかした。
「……早く、帰ろうぜ」
と、翔は足早に学校を出た。
「そういや、あれから高山さんとはどうなの?」
「全然だめだな…。謝ろうと思って話しかけてもこっちに見向きもしてくれない…。この分だと高校生活の間ずっと謝れそうにないかなぁ…。」
そう、あの日から高山とは全然話せていない。話しかけても無視もしくは、話しかけてくるな変態と言わんばかりにこちらを睨み付けてくる。むしろあの状態の高山に話しかける方が難しい。てか無理。こっちもそれ相応に高山に殴られたのだからもうおあいこで許してほしいのだが…。
「まぁ、いくら事故とはいえ女の子の胸を揉んだのは事実だからな…。クラスのみんなから変態の烙印を押されないだけマシだと思って、これからは大人しく暮らすことだな。」
まてまてまて!! その言い方では悪いのは完全に俺だけではないか…。いや、本当の被害者である高山には本当に申し訳ないと思っているが…。
しかしまぁ、このことを言っていたって起こってしまった事実は変わりはしないし、高山にもこれ以上迷惑をかけてしまうわけにもいかない。ここは、黙って受け入れるべきなのだろう…。
「やっと罪を償う気になったかい?」
「……はい、刑事さん。俺、一生かけてで…ってなにさせてんだよ!!」
そしてさりげなく俺の心の中を読むんじゃない!! エスパーかよ…。
「まぁ、趣味の一環で超能力について調べて、弟子入りしたこともあったなぁ…」
「まじかよ!?」
本当に超能力ってあるのか? いや、でも実際に目の前にいる和馬は俺の心を読んでいるわけで…
「…っというのは冗談だ。」
「冗談かよ!! てっきり本当のことかと思って信じちゃったじゃないか!!」
はは、悪い。と和馬は軽く答え、そのまますぐ、
「最近、翔が高山さんのことで気にしていたのは一緒に行動してて分かったからな。気を紛らわせればと思って少し冗談を言いすぎてしまった。」
と答えた。
そうか、あまり周りには気にしていないふりをしていたが和馬くらいの付き合いともなるとわかってしまうこともあるのだろう。たぶん…。事情をあまり詳しく知っていない倉橋だって…。
「わるい。なんか色々気を使わせてたみたいだな…。」
「そういう気持ちがあるのなら、今度何かご馳走してくれよな」
こいつめ…。
まぁ、迷惑かけてしまったことも事実だし、これから長く続く付き合いだろう。たまにはいいんじゃないかな…。
「昼飯に購買のパンふた…ああ、三つでいいか?」
そういうと和馬は笑顔でサンキューと答えた。