表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神殺しの星辰《ほし》(旧題:不幸な少年と病の少女)  作者: ネツアッハ=ソフ
神殺しと神殺し
97/114

よう、後輩

 「お前が、殺人鬼”断頭の死神(しにがみ)”だというのか?」


 「ああ、その通りだ。僕がその”死神”で間違いない」


 瞬間、ペリドットとホタルの二人が臨戦態勢に入る。拳銃を構え、石英に向ける。その頬には一筋の冷や汗が流れ落ちている。場は一瞬で緊張状態に入る。


 ルビと黒曜、スイショウは慌てて石英を(かば)うように前に立った。その光景に、警官二人は動揺したように目を見開いて三人を見る。しかし、ルビ達は石英を庇ったまま動こうとしない。


 アリアはおろおろと、どうしたら良いのか解らないようだ。


 「君達、そこを退いてくれないか?その男が何者か理解しているのか?」


 「理解しています。この人が、石英が殺人鬼だった事は・・・。本人から聞きました」


 ペリドットの言葉に、ルビが毅然(きぜん)と答える。ペリドットは怪訝そうに眉をしかめる。彼女の行動の意味が理解出来ないのだろう。その瞳には僅かに動揺の色が浮かんでいる。


 「なら、どうして?」


 「この人を愛しているから」


 「っ!!?」


 動揺。ペリドットの目が大きく見開かれる。その目は大きな動揺が浮かんでいる。


 しかし、それでも納得出来ない。納得出来る筈が無い。


 「っ、ふざけるな!!!この男の為に、一体何人の人達が犠牲(ぎせい)になったと思っているんだ!!!」


 ホタルが声を荒げて恫喝(どうかつ)する。しかし、それでもルビは引かない。真っ直ぐ彼を見据え、言った。


 「それでも、私は石英を愛しているんです。それに———」


 ルビは言った。


 「きっと、石英は(つぐな)っていける筈です。何より、石英自身が償っていく気があるのですから」


 「っ、しかし。それでも・・・。そんな言葉で」


 まあ、納得出来ないだろう。そう判断した石英はルビの肩に手を置き、前に出た。


 ルビが、黒曜とスイショウがぎょっとした顔で石英を見た。


 「貴方達の言い分は理解出来る。僕の犯した罪はどうあっても償えるものでは無いのだろう。でも」


 「・・・・・・・・・・・・っ」


 ペリドットとホタルの二人は黙って石英を睨み付ける。しかし、石英は動じずに言った。


 「こうして、それでも僕の傍に寄り添ってくれる人が居る。僕の事を信じてくれる人が居る。だからどうか僕に償わせて欲しい。それだけが、僕に出来る唯一の事だから」


 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ちっ」


 苦渋(くじゅう)の表情を浮かべていた。


 長い沈黙の後、ペリドットは舌打ちと共にホタルを連れて立ち去ろうとした。その直後。


 「ああ、それと一つ」


 石英はわざと、大き目な声で言った。


 「よう、後輩(こうはい)。どうした?そんなに殺気だって?」


 瞬間、物陰から血のように赤い髪と瞳の青年が出て来た。その瞳は、非常に濃い殺気に満ちていた。

殺人鬼二人、出会う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ