エピローグ2
・・・機械音が室内に響いていた。その室内に、一人の青年がベッドに静かに横たわっていた。
・・・・・・・・・
何も聞こえない。何も見えない。何も話せない。指一本動かせない。此処は何処だ?今、俺は何処に居るのだろうか?一体どうして、こんな事になった?
思い出してみる。確か、俺は幼馴染と一緒に街を歩いていた筈だ。信号が青になり、一緒に横断歩道を渡ろうとしたその時だ。トラックが猛烈な速度で突っ込んできた。
確かに、信号は青だった筈だ。それなのに、法定外の速度でトラックは突っ込んできた。
それを見て、俺は咄嗟に幼馴染を突き飛ばした。そうだ、俺は暴走トラックに轢かれたんだ。
・・・だとすると、此処はあの世か?何とも寂しい場所だ。暗くて寂しい。
「いやいや、君はまだ生きてるよ。奇跡的に手術が間に合ってね」
・・・は?誰だ?
「僕の名は石英。と、それはまあ今は良い。君にはまだやらねばならない事がある。だから、君にはまだ此処で死んで貰っては困るんだ。少しだけ、反則技を使わせて貰うよ」
反則技?それって一体・・・
「まあ、今は気にするな。君は早く戻るべき場所に戻れ・・・」
ちょっ、待・・・
・・・・・・・・・
次の瞬間、青年の視界は光で満たされた。そのあまりの眩しさに、青年は眉をしかめる。
・・・・・・・・・
「・・・・・・此処、は?」
其処は機械に囲まれた部屋だった。恐らく、病院なのだろう。ゆっくり身体を動かそうとする。しかし筋肉が硬直しているのか、身動きが取れない。仕方なく、口元のマスクだけ外した。
すると、部屋の扉が開いたかと思ったその瞬間。何かを落とす音が聞こえた。
振り返ってみる。其処には、涙ぐみ身体を震わせる幼馴染が居た。足元にはタオルが落ちている。
何と言えば良いのか解らなかったから、思わず苦笑を浮かべた。瞬間、幼馴染が飛び付いてくる。
わんわん泣きじゃくる幼馴染。その姿に困惑する。しかし、何もしないのもアレだからその背中に手を回して優しく撫でた。すると、余計に泣きじゃくった。一体どうすれば?
・・・この日、一つの奇跡が起きた。




