俺と共に生きて欲しい
あれから、一年の時が経過した・・・
ルベライトはアリアと共に、龍の口の街で暮らしている。最初は色々不便に思う事も多かった。しかしそれでも文句を言う事無く暮らせたのは、きっと傍にアリアが居たからだろう。
何時も、アリアはルベライトの傍に寄り添ってくれた。何時も一緒に頑張ってくれた。きっと、ルベライトは彼女の事を。理解してしまえば、もう歯止めは効かなかった。抑えが利かなかった。
・・・本当は、もうずっと前に解っていた事だ。それを、知らないふりをしていただけだ。
ルベライトはアリアを町の外周にある、とある尖塔に連れてきた。アリアは小首を傾げている。
「あの、ルベライト?どうしましたか?」
「アリア、俺はお前が石英の事を今でも好きだという事は知っている・・・」
「・・・・・・はい」
何か、空気を感じ取ったかアリアが真面目な顔をする。ルベライトは続きを話す事をためらう、それでもアリアは続きを黙って待ってくれる。じっと、黙って待っていてくれる。
ようやく、決意が固まったのかルベライトは続きを話す。真剣な顔で、続きを話す。
「もし、俺がこれから言う事が嫌なら・・・、素直に拒否してくれても良い。けど、もし仮にそれでも俺の我が儘に付き合ってくれるなら・・・。それでも良いと言ってくれるなら・・・」
「・・・・・・はい」
一瞬だけ、間を置いてからルベライトは言った。その顔は、何処か泣きそうだ。そう感じた。
「どうか、俺と共に生きて欲しい。俺と、結婚してくれ―――」
そう言って、ルベライトは手を差し出した。その手をじっと見詰め、アリアは口を開いた。
その瞳は、真っ直ぐルベライトを見ている。ルベライトのみを見ている。
「少し、訂正させてください・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
ルベライトは、黙ってアリアの目を真っ直ぐ見る。アリアは、にっこり笑って彼を見た。
その笑みは、何処までも慈しみに満ちていた。何時もそうだ、彼女は何時だってずっとそんな笑みでルベライトを支えてくれたのだ。支えて、温もりを与えてくれた。
そんな彼女は言った。暖かい笑みで、言った。
「私は、貴方の事を嫌だなどと思った事はありません。ましてや、我が儘とは思いませんよ?」
「・・・・・・じゃあ」
「はい、こちらこそ。どうぞよろしくお願いします」
そう言って、ルベライトの手を取った。アリアは、満面の笑みを浮かべていた。
その笑みに、ルベライトは堪え切れずに泣いた。そんな彼を、アリアは優しく抱き締めた。
そして、二人は次の日に町の教会で結婚式を挙げた。




