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おれのあつかい

 見慣れない医務室の天井は、きっかり五秒ほど俺の頭の中を真っ白にした。

 隣のベッドを見ると、鳩さんは既にいない。俺はベッドから起き上がり、目に付いた手洗い場で、顔を洗う。鏡に映る俺の顔は、悪夢のせいかとてもさえない。

 いや、悪夢というのには、鮮明すぎた。


「でもなんとなく、わかったよ」


 あれは、失われた俺の記憶だ。

 知らなかったはずの、ピエロが登場する夢。そして、昨日鷹野さんが言っていた、食われるという比喩でもなんでもない光景。

 それも全部、記憶のない空白の五ヶ月という要素が、パズルのピースみたくかっちりと嵌る。

 俺は、俺の手から離れていく、大切な人を夢に見ていたのだ。

 記憶が鮮明でなくても、あの子達が大切な人だというのが、心の中に伝わってきた。とても大切なものをなくしてしまったという、後悔もあった。

 記憶を失った俺だからこそ、この想いだけは残ったのかもしれない。


「よし」


 俺は気合を入れて、医務室の扉に手をかける。まずは、自分で確かめるのだ。抜け道や、脱出口という名の、希望を――


「待て、鳥乃啓二よ!」


 希望を……保留にした。 

 扉を開くとそこには、光のともっていない外灯にホークが聳え立っていた。


「キャプテン・ホーク、なんのようだ?」

「これを、貴様にやろう」


 そう言うと、マントの裏からひとつの袋を取り出した。なかには、歯ブラシやらタオルやらの生活用品が詰まっていた。


「これくらいは、必要だろう?」

「あ……ああ、そうだな」


 意外と世話好きなのだろうか、どこから持ってきた生活必需品を、朝一で渡してくれるとは。


「じゃあ、後で使わせてもらう」

「馬鹿者がぁあ!」

「な、なんだよ」


 怒っているのか、ホークは俺に一喝する。


「貴様、歯は磨かないのか?」

「磨くけど、後にするよ」


 とりあえず、今日手に入れたこの気持ちをなくしてしまわないうちに、俺は行動を起こしたかった。助けたい人の、想いが俺を突き動かしている。


「じゃあ、これありがとな」


 そそくさと俺は、逃げるように走り出したが。


「甘い!」


 かかとの辺りを、人差し指でつつかれた。俺は少しつんのめるように、たたらを踏む。


「あてっ、なにする……ってなに! 足が勝手に正座を!」

「寒風流体術、正座遊星。人の流れにあたる椎神を突いた、貴様の足は自分の意思とは無関係に正座を続ける。もし、無理に動かそうとすれば」

「……動かそうとすれば?」

「貴様の股間が……ボン! だ」


 なんか、腰の辺りがキュンとなった。拳法使えるって本当だったのか。


「こうでもしないと、わしの話を聞かなそうなのでな」

「あんまりだ」


 正座する俺と、それをいつの間にか地上に下りたホークが、腕を組んで見ている。


「安心しろ、少したてば治る。ともかくだ、貴様は今から人と話す機会が多くなろう、こういった非常時だからこそ、基礎的な生活を怠るでない」

「言ってることはわかるが」

「わかっていない! 貴様は基礎を怠り、浮き足立ったその足で困難という名の山を登ろうとしているのだ。それではそよ風に吹かれるだけで崖から落ちてしまおう」

「な!」


 浮き足立ってるだって、そんなこと、


「ないと、いえるのか? 高ぶる想いに身を投げ歯磨きという子供の基礎を怠るような男に」

「それは……」


 たしかに、そうなのかもしれない。

 もし、人に聞き込みをするようなことがあったら。もし、歯を磨いていない自分の口臭が、ほんの少し人の口を堅くしてしまったら。

 些細なことかもしれない。だが、もし浮き足立った自分に、何個もの些細なことが重なれば。


「すまなかったキャプテン・ホーク。俺が間違っていたようだ」

「うむ、わかればよし!」


 ホークの言葉は、素直に認められなかった愚か者の背中を後押しするようだった。


「その中に入っているものは、ピエールランドのショッピングエリアに全部置いてある。必要なら、今度は自分でとるがいい」

「ああ、わかったよ」


 その言葉に満足したのか、ホークは一度うなずいて、風のように去っていった。

 ありがとう、キャプテン・ホーク。

 威風堂々とするその姿に、少しの感謝を、そしてその積み重ねが、彼にとっての救いになることと信じて、俺はお礼を願う。

 そして、俺の正座が解かれるのは、きっかり十分ほどかかった。



 朝の準備を済ませると、園内は人の賑わいで溢れていた。

 目を覚ますのが遅かったのかもしれない。開園時間を過ぎたピエールパークには、平日だというのにたくさんのお客さんが、視界いっぱいに溢れていた。

 その中で、一人パーク内を歩き回る俺は、肩身が狭く少し浮いていた。

 あれからずっと、俺は園内を大まかに探索していた。しかしなにが見つかるわけもなく、時間だけが刻々と過ぎていく。

 一度、正門出口にて強行突破を試みたが、意外にも人形はあっさりと俺を通してくれた。しかし、ピエールパークの領域から出るぞというところで、何か膜のようなものにぶつかって、先に進めなかった。バリアーでも張られているのだろうか。


「……ままならないなあ」


 つまるところ、俺は当てのないピエールランド探索に疲弊していたのだ。簡単に見つかるような所に抜け道があるとは思っていないし、だからといってどこを探せばいいのかわからない。


「どうすりゃいいんだ……」


 頭を垂れて、道の端に置かれたベンチに腰掛ける。夏の太陽が、俺から汗を搾り出していく。

 俺は視線を人ごみに向けて、周りにいる人々を眺めてみた。

 ピエールランドに来たことがうれしくてたまらなかったのか、親の手を引いてはしゃぐ小さな子供。アイス片手に笑いの耐えない、若者のダブルデート。


「はぁ」


 いったい俺は、何をしているのだろう。

 彼等はピエールランドを何事もなく楽しみ、そして日付が変わる前に帰っていくのだろう。

 俺はピエールランドに来ても、楽しくもないのに留まって、殺されるのを待っている。

 彼らに助けを請うか? 俺は誘拐されたのだと。

 言った所で、おそらくどうにもならない。どうにかなるなら、鷹野さん辺りが何かしている。

 ふと、にこやかな親子連れが、ホットドックを食べているところを見て、お腹がすいた。今日はホークからもらった袋に入っていた、健康食しか食べてない。


「腹減った……」


 自分の財布を確認する。一度も使っていないので、諭吉さんが何人かいる。

 なにか、買って食べよう。

 ちょうど目に付く所に、ファーストフードのような飲食店が見えた。ピエールランドの概観を崩さないためか、とても小奇麗というか、馬車風味のお洒落な建物だった。

 俺はふらふらとその飲食店の行列に並び、俺の番が来るのを待つ。

 数分待って、ようやく俺の番。


「ご注文はお決まりですか?」

「あの、ホットドック一つ」


 別に小さい声でもなく、ただ簡潔に述べた。そう、それなのに。


「あの、ホットドック一つ!」


 カウンターの中にいる店員の人形は、一向に俺の言葉に反応しなかった。

 人形達の顔は、夜とはうって変わって人形とは思えないほど人間らしく、そして美男美女の集まりである。こういうところにも、人気の秘密があるのかもしれない。

 だけど、今の俺にとってその顔は、俺の言葉に顔色一つ変えない鉄仮面だった。


「ご注文は、お決まりでしょうか?」

「だから!」


 大声を出してから、周りを見て恥ずかしくなる。しかも、待っている人たちは一向に進まない行列に痺れを切らしていたのか。少し俺のことを睨んでいた。


「あの……すいません」


 俺はその視線にたじろき、そそくさとカウンターの横を通り過ぎていく。そして俺の次に来たお客さんには、何事もなかったかのように、人形達が注文を受けていた。

 人形は俺を、完全に無視していたのだ。


「こんなのないよ……」


 完全に弱気になってしまった俺は、できるだけ人のいないところを目指すように、人の流れとは逆の方向を歩いていった。

 惨めな思いだった。俺以外の人間はちゃんとそこにいるのに。俺は一人だった。

 それからしばらく、人ごみを避けるように、三分くらい歩いたのだろうか。

 気づくと、どこか外れのアトラクションに出た。ピエールランドにしてみるとあまり整備されていない地面に、あまり大きくないジェットコースターが傍らにある。しかも準備中と、入り口に看板が置いてあった。


「あ……」


 その場所で、またベンチを見つける。しかも今回は、ベンチに腰掛ける先客がいた。

 偶然にも、鷹野さんに出会ったのだ。


「おはよう。鷹野さん」

「そ。おはよう」


 昨日見たのと同じで、とてもそっけない返事。

 鷹野さんはまた俺にそっぽを向いている。気晴らしになにか話を振ろうとして、膝の上に乗っている箱のようなものを見つけた。


「えっと、それなに?」

「お弁当」


 鷹野さんが箱を開けると、そこには小奇麗に詰まったサンドウィッチが数個入っていた。


「おぉ!」


 思わず、感嘆の声を上げる。女性のお弁当なんて、初めて見たぞ。

 鷹野さんは俺なんかお構いなしに、一つ目のサンドウィッチを食べ始める。口を小さく開けて、サンドの先っちょからぱくぱく食べるその仕草は、不覚にもかわいかった。


「なにか?」


 俺の視線が気になったのだろう。一度手を止めて、鷹野さんは俺に聞いた。

 そこで俺は、すこし欲のような感情が湧き出た。


「あの、サンドウィッチ、分けてもらえませんか?」

「……だめ、あげられない。私の分だから」


 鷹野さんは目を逸らして少し考えた後、俺のほうを向いて言った。

 断られると思っていなかったので、予想以上に落ち込んだ。


「いや、ごめん。ただ俺、お昼ご飯買えなかったから……」

「もしかして、人形に声をかけたの?」


 俺がうなずくのを見て、鷹野さんは無表情にそうよねと一言言って、俺に向き直る。


「彼等人形はピエロがいない限り、私たちのことなんて気にかけもしないわ。彼らにとって私達は存在していない。だから、調理場から勝手に食材をとっても何も言わないから、どこかのカウンターに入って勝手に作れるわよ」


 そういえばホークも、あの日用品を持ってきたといっていたな。

 調理場か、どこか手ごろな場所でも見つけないと……


「……なに?」

「あ、いや」


 俺の目は、自然とサンドウィッチに向いていた。よほどお腹が減っているのか。


「あまり見ないで。そんなに、いい物じゃないから」


 鷹野さんは俺の視線から守るように、両手でサンドウィッチを隠す。

 勝手に作れる。おそらく、このサンドウィッチは鷹野さんが自作したものだ。


「えっと、おいしそうだよ」

「そんなにほしいの?」


 なんというか、俺は結構食い意地が張っているようだ。人の食べ物ばかり見ているなんて。

 鷹野さんは眉をひそめて、俺とサンドウィッチを見比べる。サンドウィッチから目を逸らさない俺を見て、一度溜息をつくと、俺に向き直る。


「なら、交換条件。情報をちょうだい」

「情報……?」

「ピエールランドの」


 交換条件って、別に争っているわけじゃいから、いくらでも教えるのに。

 それに鷹野さんの持っていない情報を、俺は持っているのか?


「ないの?」

「えあ、あるよ、ある!」


 あわてて弁解しつつ、自分の中にある記憶をこれでもかと手繰り寄せる。

 ……記憶?


「そうだ、あれだ」

「あれ?」


 俺は、ピエールランドに来るまでの事情と、この五ヶ月間の記憶がないことを、順を追って話していく。そして夢に見た内容も、身振り手振りで一生懸命説明した。

 一通り話してみて、彼女からの意見も聞きたかった。


「たぶん、あの夢が俺のなくした記憶なんだ」


 俺が話し終えると、鷹野さんは顎に指を当てて、数秒考えた後、


「違うと思う」


 俺の意見は、否定された。


「……なぜに?」

「私、一ヶ月くらい前からこのピエールランドに誘拐されたけれど、あなたの姿を見たのは、この前がはじめてよ」


 とても、至極全うな理由だった。

 そりゃそうだ。もしここに五ヶ月もいたら初めて会ったときに鷹野さんが気づくだろうし。いやでも、そうと言い切れるのか?


「もしかして、俺はこれまでずっと隠されてたとか」

「隠される、理由はあるの?」

「……ないです」


 だけど、どうしてもあの夢が記憶を巡って見せていることに、俺は確信を抱いていた。理由もないけれど、あれは夢なんかじゃない。


「どうして?」


 わからないという風に、鷹野さんが問う。納得のいかない俺の顔に、鷹野さんは疑問を抱いたのだろう。

 俺は……考えてみる。

 どうして、夢の出来事にそこまでこだわるのかと。


「その俺の記憶には、ピエロに食べられていく名前も思い出せない人がいた。俺は、その人たちを絶対に助けるって誓ったのに、俺はピエロに勝てなかった」


 そのこだわりだけは、俺の中ではっきりとしていた。あの時の、俺の思いは本物だった。


「だから、今回は絶対にピエロに一泡吹かせてやりたい。そうだな……たとえば俺達が全員助かって、それでこのピエールランドを出るとかさ」

「……そ」


 そうだ。俺は、このピエロに閉じ込められた場所から助かりたいだけじゃない。

 みんなで、ここから逃げるんだ。

 鷹野さんはいつもより歯切れの悪い返事をして、どこかの空に目を泳がせていた。


「今はどうにもならないけど、みんなで頑張ろう」

「いいこというねー。鳩はちょっぴり感動したよ」


 その時だった。俺のちょうど左隣に、いつの間にか鳩さんが座っていた。


「は、鳩さん!」

「あれ、本当に気づいてなかったの、鈍感だねー」


 鳩さんは浮いた両足をぶらつかせて、そしてその両手には緑色の大きい球体を抱えていた。


「鳩もよくここで食事を取るんだ。あんまり賑やかじゃないけど、鷹野さんもいるしね!」


 ニコニコ顔で、鷹野さんにコンタクトを取っているが、あまり反応がない。そしてその両手には大きい球体を、


「それ、緑色のボーリング?」


 俺は見かねて、鳩さんのもっていたそれを指差す。


「これ? 見てのとおりキャベツだよ。私の昼食」


 そう言うと、鳩さんは大きな口で林檎のように表面からキャベツに噛り付いた。もぐもぐと、ハムスターがひまわりの種を口に含むみたいに、たくさんのキャベツに頬を膨らませている。


「調味料は、必要ないのか?」

「ケッチャップはたまにつけるけど、基本はそのままかなー」


 しっかりと飲み込んでから、こちらに返答してくれる。その辺はしっかりしてるようだ。


「あ、でも表面は少し剥がしてるよ。さすがに素の状態じゃ食べられないからねー」

「いや、それ以前にそのまま食べるのは間違ってるだろ」

「栄養は、偏ってるわね」


 鷹野さんの方は見慣れているのか、そこまで込み入ったことは言わないようだ。


「大ジョブ。朝は栄養食食べたから、キャベツ大好きキャベ人の辞書には栄養管理だってちゃんとあるのさ」

「キャベ人って、緑色の肌をしてそうだな」

「人種差別はよくないよ、イエローモンキーって」


 そう言っている間にも、どんどんと食べつくされていくキャベツ一丸。


「大丈夫よ鳩さんは、いつもああだから」

「えーそういうこと言う。全献立サンドウィッチの鷹野さんなのに!」

「私、ここで食べるのやめようかしら」

「一人は寂しいよー!」


 俺がいるけど。とは口に出せなかった。

 涙目になっている鳩さんの相貌から、あの夜に見た大人びた感じはまったく見られなかった。これも、彼女の演技なのだろうか。


「あ、啓君なんだか寂しそうな顔してるねー。大ジョブだよ! 啓君も歓迎するよ。ここで食べる人は増えたほうが楽しいからね」


 そういえば鳩さんって、よく人の表情を口に出すよな。これって、もしかして人の顔色を伺い生きてきた彼女の癖なのだろうか。


「だめ、そういう難しい顔は禁止だよ。昨夜のことをばらされてもいいのかぁー?」

「なな、なんだよ、べべ別に何もなかったって」


 鳩さんに体をゆられながらも、俺は鷹野さん顔色を伺うが、まったく興味のないご様子。


「うーん何もないのにあわてる敬君って、要領わるいねー」

「馬鹿いうな、俺はこれでも高校では優しい人と評判の男だったんだぞ」

「当たり障りのない人物論ね……」


 鷹野さんがぼそりとつぶやく、なかなか鋭いことをおっしゃられた。

 それが何かの拍子だったのか、鷹野さんはベンチから立ち上がり、人混みのある方向に視線を向けた。

 その後で、何かを思い出したかのように俺に向き直って、


「これ」

「……え?」


 バスケットから一つ、サンドウィッチを渡してくれた。

 俺はしばらくの間、鷹野さんが何をしているのか、理解するのに時間がかかった。


「情報はなかったけれど、参加賞」

「あ、ありがとうございます」


 俺は危なっかしい手つきで、そのサンドウィッチを受け取る。


「……」

「……」


 鷹野さんは意図せず自然と無言になった。俺はどう言えばいいのか解らなく、無言になった。

 こういうときこそ、鳩さんがしゃしゃり出てくれてもいいのだけど、


「……鳩さん?」


 鳩さんは、俺たちとは別の方向を見ていた。視線をたどると、ちょうどこの区域に唯一あるアトラクション、さびれたジェットコースターの方を見ていたのだ。

 なにか想いのこもった真剣な目つきで、鳩さんはじっとジェットコースターの入口にある、準備中の看板を見つめていた。


「あそこで、事故があったらしいわね」


 そのとき、沈黙を破るように鷹野さんが口を開いた。


「事故?」

「レールが外れたか何かはよくわからないけど。死者がでたのよ」

「そんなニュース、聞いたこともないぞ」

「知らなくても無理ないわ。私も、ピエロから聞いただけだから。確証もない話よ」


 じゃあ、鳩さんが見つめているのって、


「その事件、鳩さんが関係してるのか?」

「ううん、鳩は関係ないよ」


 鳩さんが、小さな声で返事をした。

 なら何故、そんなにじっと見ているのだろう。


「そうね、鳩さんは関係ないわ」


 そんな疑問を知ってかしらずか、鷹野さんは自然と言葉を紡ぐ。


「なんで、そう言えるんだ?」


 鷹野さんは、どうして鳩さんが関係ないと、言い切れるのか。

 そう聞くと、鷹野さんは自重じみた笑みを俺に見せて、


「だって、あそこで死んだのは、私の父さんだから」


 あっさりと、そう言った。


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