お姉ちゃんっ子
僕には同い年の姉がいる。なにせ、双子だから当たり前の話なんだけどね。
それで、双子というのは、不思議な力がある人もいるという話を聞いたことがある。
ちなみに、それは本当のこと。
でも、僕とお姉ちゃん以外は、誰も知らないこと。
「ねえ、お姉ちゃん?」
「どしたの」
テーブルにあるこたつに入りながら、テレビを見ているお姉ちゃんに、僕は宿題でわからないことを聞く。
「あんたねえ、それもわからないの?」
「分からないから聞いてるんじゃない。ねえ、教えてよ」
「分かったから、ちょっと額貸しなさい」
僕が、顔を差し出すと、お姉ちゃんとちょっと強く額同士を引っ付けた。
瞬時に、宿題の解き方や他のもろもろの感情が、僕の中へあふれ出る。
「これでわかったでしょ」
「うん、ありがとう」
そう、僕たちしか知らない力。
それは、僕とお姉ちゃんの額を引っ付けると、意識を共有し合えるということ。
ちなみに、ほかの人でも試してみようと思っていても、なかなかできないから、本当に僕たちだけの間にしか効かないのかはわからない。
でも、こうやると、口で言うよりも、はるかに早く、僕は問題を解くことができた。
「さて、私もう寝るね」
「おやすみなさい」
最後に、額を引っ付けると、まだ眠くないという思いもあるのがすぐに分かった。
でも、僕は引き止めなかった。
「また明日ね」
僕はそういって、お姉ちゃんが部屋に入っていくのをじっと見た。