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うつくしい鰓
人魚の鰓は何処にあるのか。正面から、斜め上から見た限りでは見つからず、じろじろ眺める訳にもいかないから尋ねてみたが、結局教えては貰えなかった。
「耳の裏にあるというのが有力な説だけれど」
人魚は楽しそうに笑った。
「耳の裏? なあに、それ」
こんな感じで。
身体のことを余りしつこく訊くのは憚られるので、気になりつつも追及していない。
「きっと、想像通りよ」
彼女は耳の裏から首筋を撫でながら――ここにはない、と示しているようにも、そこにあるものを隠しているようにも見えた――人魚の鰓について語る。
「空洞は黒くて、奥に赤が潜んでいて、人間にはきっと不気味でしょうね。でも、銀色がちらちら煌めていて、きれいなものよ」
それから彼女は長々と溜息を吐いて、私を睨むような、憐れむような不思議な目付きをした。
「でも、あなたたちはたくさん塩をかけて、しっかり焼いてから食べてしまうんでしょうね」
そんなことはしないよ、と私は否定した。彼女は全く信じなかった。




