でんじゃらすパフェとお礼
「いやー、みんな無事で良かったよねー♪」
あの後、怪盗団をリリーの護衛騎士団に引き渡せてひと安心。しかも乗客たちにもやたら褒められちゃって、超絶ご機嫌です!
「そうだな。なにより____
「こちら、ご注文のブラックコーヒーとでんじゃらすパフェでございます。」
「ありがとうございます。ところでお姉さん、すごく可愛いね。この後食事なんてどうです?」
「えっ……!♡」
「話聞けよ」
◇ ◇ ◇
「ブライアンのバカ。もうちょっとでデート出来そうだったのに」
「黙れ」
「ひどい……」
そして今は騎士団の帰りにブライアンに誘われ、カフェに来ています。
なんかブライアンは『でんじゃらすパフェ』っていう絶対常人じゃ食べきれないバカでかパフェを完食してる。普通に化け物じゃない?
「なあ。『お礼をさせてくれ』って言ってたよな」
「そうだね。あ、何か思いついた?出来る範囲なら叶えるよ!」
ブライアンは何か神妙な面持ちでこちらを見据える。
「お前、勇者なんだったよな?」
「え、うん。」
やだな、飯奢れとかだったら。めちゃくちゃ食べそうだし。
……なんて、考えていたんだけど。
「旅に、俺も同行させてくれないか?」
「へっ」
真面目な顔に、いつもより少し低い声色。
その言葉が冗談だとはどうしても思えない。
「……いや、うーん……とね。ボクは仲間が欲しいとは思ってたし、願ってもないことだけど……」
なんと言葉を紡ぐべきだろうか。
「ボクは必ず魔王を倒す。神託で授かった使命であり、……わたし自身の野望でもある。それは簡単なことではないよ。」
命の保証はできない。
ボクが簡単に許可を出して良いものなのだろうか。
「簡単には言っていない。」
思わず息を呑む。
「君、なんて顔……」
寂しそう。苦しそう。痛そう。
そんな使い古された陳腐な言葉では形容しきれないほどの、ドス黒い感情を孕んでいて。
……わたしは、この感情を知っている。
「話そう。全部。
____俺が旅をする理由を。