ホロケウカムイ
この勝負における俺の誤算はあの時に見間違えた事。こいつは蝦夷狼のMPAなんかじゃない…識別機体「ホロケウカムイ」。
キューーーーー…
ん?待てよ。なぜ破壊したはずの射撃機関が修復されている。……やべぇッ!!
ドンッ
「あぶねぇなぁ」
この勝負における相手の誤算は俺の得意技が「見切り」だという事。
「俺に溜め技は悪手だぞ」
「グルルルル…」
だが、なぜ咆哮を蝦夷狼と似ても似つかない音にプログラムする必要がある?そんな事を考えている暇も無さそうだな……
「俺は回避。お前は溜め技。お互いに相性最悪だな」
ハァハァハァ……
「もう…大丈夫か…」
「ありがとうな。秋野」
どうしよう…おっさん護雷銃しか持ってないじゃん…
「秋野…私に提案があるんだ」
「?」
…確かに可能性はあるかもしれない
「だ、だが、もし失敗したら明星は重症を負うかもしれない…(いや…明星を信じよう!!)」
「私は覚悟はできている」
「あぁ行こう!相棒!!」
この泥試合を一体いつまでやる?
「ガジャァァァァン!!」
「少しは疲れたかワンちゃん」
彼らが逃げれる時間は稼いだ。後はどうやって逃げるかだ。
「一か八か…」
「ガジャァァァァン!!!!」
「早っ!!(やっぱり、識別機体とはいえベースは蝦夷狼のMPAだ。追いつかれるッ!)」
「?(なぜ近づいてこない)」
「グルルル…」
戦っている最中に最も疑問に思っていた事。それは…近接攻撃を一切してこない事!!
(蝦夷狼がベースなら噛みついてこれば勝てる。だが、それをやらない…ん?あれは?)
「射撃機関の修理が雑じゃないか!!」
これを見せないために不要に近づかなかったのか。
「生憎今日は眼鏡をかけてるんでな」
こいつには痛覚がある。だからこそ、直したばかりの脆弱な射撃機関をもう一度撃ち抜けばかなりの痛手だろう!
(いける!)
「ガジャァァァァン!!」
キューーー…
「きた!!」
奴の射撃機関に標準を合わせる。
ドンッ
奴に痛覚はプログラムされてなかった…全てが布石だったようだ。
ガシャンッ
「もう一つあったのかよ…」
この射撃機関の射程なら彼らに危害は及ばないだろう。
「秋野君。N:2…いや明星君。頑張れよ」
ドンッ
「!?」
「間に合った!!」
「玄信!恩返しに来たぞ!!」
秋野と明星の策とは…!?
次回…「守りたい人」