N:2
「ちょっとー……早くないですか?」
「あぁ~…ごめんね〜…色々話さないといけないから」
おっさんも眠いのかよ。
「2人とも眠いなら顔を洗ってみたらどうだ?」
「「たしかに」」
ザバァッ
「「復活!!」」
「…てことで昨日の続きをしよう」
「明星。先に話したい事があるんだけどいい?」
「私は後で大丈夫だ!」
その時におっさんが不思議そうな顔で聞いてくる。
「前々から思ってたんだが、明星というのさ名前か?」
「あぁ私が唯一覚えていたのがこの名前だけなんだ」
「そうなのか…(記憶はなくなってるのか)」
「ありがとな。よし!何でも聞いてくれ!!」
俺は気になっていた事を聞く。
「昨日のあいつはどうやって倒したんですか?」
この質問を想定していたのかすぐに懐から何かを取り出した。
「この拳銃だ」
「確かに…木にぶつかって痛がってたし…痛覚みたいなのはあるからなぁ」
「あれはプログラムで出来ている。だからこそ、一部例外もある」
「例外?」
「普通のMPAは銃を撃つと驚いて逃げる……だが、痛覚のプログラムがバグで作動しなくなったMPAかがいる」
「そいつには銃が効かないんじゃ」
「そうだ…これは普通の銃なんかじゃない。護雷銃という銀製の弾に帯電させる対MPAの武器なんだよ」
「護雷銃…かっけえ…」
「大抵のMPAには効く。識別機体を除けばな」
「識別機体は帯電耐性があるんすか?」
「中には帯電耐性があるのものがいるというだけで色々な奴らがいるんだ」
MPAは生態系の補完のために創られたはずだ…
「識別機体は生態系の補完が役割ではない。人命救助やテロ対策などの実験で創られたんだが、今ではMPA関連の企業での悪用……さらには軍事利用に使おうとしている人間が創っているんだ」
「凄い話で頭がパンクしそうになる……じゃあ、識別機体が来たらどうするんですか」
「識別機体には対識別機体の武器や武具があるから強い奴が対処しているよ」
「もしかして…私はその識別機体という物なのか?」
「そうだ…だから君を迎えに来たんだ」
「そうだったのか…」
「だが、問題があってな〜」
チラッ
何か俺の方向いてんだが…。
「君が彼の相方になってるんだよ」
「相方?」
「君は彼を起動したはずだ」
「普通に何もなかったですけど…」
「普通は…起動しないんだよ」
「え?」
「君が彼の相方としてプログラムされていたという事なんだ…何故そうなっていたのかは分からないが、明星を使いこなせるのは君だけなんだよ」
「やはり秋野を一目見た時にビビッときたんだ!!私たちは運面の出会いだったんだな!!」
「それは嬉しいけどよ〜…使いこなすとは…」
「識別機体は一国を守れるぐらいの力があるんだが、その力を貸してくれ!!お願いだ!!」
おっさんは俺たちに土下座をしながら懇願している。俺は明星の意思を尊重したい。
「明星はどう思う?」
「私は玄信には感謝している。だからこそ、あの時私たちを救ってくれた恩を返したい!!秋野は良いか?まだ君に恩を返せていない上に迷惑をかけてしまうが………」
父親を幼い頃に亡くし、母親は俺の学費や生活費のためにほとんど出張で家にいなくてずっと一人だったんだ。そんな俺にとって明るいお前に救われてるんだ。もっと一緒にいたい!
「もちろんだ相棒!!」
「ありがとうッ!!秋野!!」
おっさんがやっと顔を上げる。
「2人とも本当にありがとう!!」
「記念だ!皆でマック食いに行こう!!」
(ここ田舎だしな…久しぶりだな)
「マックは美味しいのか?」
「美味しいよ」
「早速行こう〜!!」
おっさんから明星専用の肩掛け袋に入れて皆でマックを食いに行く。
「秋野ッ!これとても心地良いよ」
「そりゃそうだ。それはちょっと高い綿で出来てるからな!!奮発したんだぞ〜」
(自腹なんだ)
山道に入り俺と明星は少し怯えていり…。
「あの時に追っ払ったから大丈夫だよ〜」
ドンッ
車の上に何かがのしかかる。
「「「?」」」
「ガジャァァァァン!!」
「まさか?!」
「しっかり掴まれ!!」
ガジャン!!
車が山奥に突っ込み大破してましった。
「俺の車が……」
「おっさん…やばい…また、あいつだ」
昨日ぶりの再開に呆れると共に車が壊れて悲しむおっさんに同情してしまう。
「2人とも俺の後ろにいるんだぞ」
「おっさんが戦うの?!」
「俺しかいねえからな〜」
この子たちを守れるのは俺だけだ…久しぶりに本気でいこう!!
「ガジャァァァァン!!」
「いっちょいくか!!」
玄信の本領発揮?!一体何が出来るんだ!!
次回…「ホロケウカムイ」