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日本傘下  作者: 外伝日記
序章
2/6

資格

 いつも通りの朝…では無い。俺の部屋には喋る和傘がいる。高校に入学してから1ヶ月、ようやく訪れた自分の日常を変えてくれる出来事。

「これからの毎日が楽しみだ」

当の本人はまだすやすやしている。

「おはよー」

「おはよう。あ、そういえば長期出張が決まってもう新千歳空港に行かなきゃいけないから諸々の生活費はテーブルに置いとくからね」

「相変わらず急だなー。まぁ、家の事は任せてよ」

「あら、今日は素直ねぇ。泣きじゃくって止めたりしないの?」

「いつまで子供扱いしてるんだよ…じゃあな」

「行ってきます」

 ガチャンッ 

今日は土曜日。しかも、母親がいないとなったらダラダラし放題!!


「まさか、[N:2]が民家にあるなんてな……実は違いました〜とかだと思うがな」

事の発端は昨日の午後七時…俺たちが血眼になって探し続けていた[N:2]の電気反応を突如感知したと林から伝えられたんだが……

「よりにもよって北海道にあったのかよ」

面倒くせえな〜。


 ピンポーン

「おいおい。忘れ物か?」

 ガチャッ

「は~い……って、どちら様でしょうか?」 

「こんにちは〜」

「私、大切な和傘を落としてしまいまして〜ここの家の人が薄汚れた和傘を持っていたというのを近所の方から聞いたのですが〜持ってたりします?」

(持ち主か……こんな早く見つかるとは思ってなかったが、、、)

「ちょっと待っててください」

「ありがとね(本当にあるのか…?)」


 出会いは珍奇で別れは突然…楽しかった1日がずっと続くと思ってた…いつも通りの朝が明星あいつと一緒の朝になると思ってた…

(てか、落し物だったのかよ…普通あんな山奥に落とすか?)

今日の階段はどうやら木星から来たようだ。

 ピキャァーーー…

「おはよう!秋野」

「……おはよう」

「何かな、お前の持主みたいな奴が家に来たんだよ……」

「そうか……今日でお別れか…」 

「そうだな」

「君は私を暖かく家に迎え入れてくれた…その恩を返せなくてすまない…」

「気にすんな。自分が何なのかを思い出せるかもしれないぜ」

「う…すまないが、充電器を抜いてくれないか」

「あっ、あぁそうだったな」

「……」

「遠慮せず言ってくれ」

「私を連れってくれないか」

「あいよ(歩くのは無理なんだな)」

いつも通りの朝に戻るのを自分で選択した。こいつは記憶が無いんだ…そんなの可哀想だろ…。

 ガチャッ

「やっぱりあったか〜。さっそぉ」

「君…が、私の知り合いなのかい?」

(ん?おいおいおいおい!!既に起動してるじゃないか!!だからか!!だから昨日突然レーダーに反応したのか!!)

「参ったな〜こりゃぁ……」

「?(どうしたんだ?)」

「すまない。坊や、親御さんいるかい?」

「出張で不在ですが」

「ちょっと一緒に来てもらわないと行けないんだ」

「え?な、なんでですか?無理ですよ。あなた何なんですか?」

「えっと~……(やっべ、何て言おう…)」

こいつは一体何なんだ?とにかく、誘拐されるかもしれない…逃げなきゃ!!

「誰かぁ!!不審者です!!」

「な、なに言ってる坊や…ちょっ、ちがっ(うわ~あいつらこっち見てるよ。やべぇ…)」

「ママ友Aさん、あの人やばいよ」

「ママ友Bさんもそう思うわよね」

 ドンッ!!

「あ、あなたは?!」

伝説のママ……人々は彼女を…「大和やまとガイア」と呼ぶ。

「あんた〜?」

「ゲッ、なんですか〜誤解ですよ(終わった)」

「秋野ちゃんが可愛いから誘拐しようってこ・ん・た・んかしら?秋野ちゃん逃げなさい!!」

「あ、ありがとう!!ガイちゃん!!」

「明星逃げよう!!」


 中学生の頃の記憶がフラッシュバックする…

「好きです!!付き合ってください!!」

「私筋肉大好き…さようなら」

俺はそれから毎日筋トレした。この筋肉は明星を担いで走るためにあったんだ!!

「筋トレしていて良かった〜!!」

「秋野、何で逃げるんだ?」

「これはあくまで予想だ」

(あいつは明星を見た瞬間、喜びや驚きではなく、懐疑的な表情していた。聞き込みをしてまで探している物を見つけられた時にする顔ではないだろ。)

「あいつお前の知り合いじゃないわ。話しかけられて驚いてただろ。知り合いだったらお前が話すことぐらい分かってるはずだ」

「確かに……秋野。行く当てはあるのかい」

「あぁ、あるさ(ガイちゃんが止めてくれてる間はあのうんと山奥に逃げよう)」

明星はあいつが自分の知り合いじゃないと分かって悲しそうにしていた。だが、俺は正直嬉しかった。もしかしたら、まだこいつと一緒に入れるかもしれない…もっとお互いに話し合って友だちといえる関係になりたい。そんな気持ちが俺の足を強くしてくれる。

(明星を担ぎながらだとクソ疲れる…)

「ハァ…ハァ…(もう無理だ)」

 バタンッ

俺は地面とキスをしていた。恥ずかしい。

「秋野!!大丈夫か?!」

「大丈夫だ…ここまで…来た…ら、もう追ってこれないさ…ハァ、ハァ」 

 ガジャァァァァン!!

(何だ?聞いたことがあるぞ…)

「秋野……」

「どうした…あけ…ぼ…し…」

「何だ…あれ?」


秋野と明星が逃げた先で見たものとは…?!

次回…「二分の一の未来」

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