終着点
第1話「終着点」と第2話「鮮やかな世界」のを1つにまとめました。初めての小説でまだ慣れてませんが、何卒日本傘下をよろしくお願いします。
いつも通りの何ら変わりのない通学路。つまらない俺の日常を変えてくれる何かに期待をしながら今日も生きている。
ガジャァァァァン!!!!
まるで天変地異の予兆かのような轟音が響き渡る。恐怖と好奇心を抱いて音の鳴った方向に俺は胸を踊らせて走った。駆け抜けた先にいたのは……
「…………」
ただの薄汚い和傘だった。
「何でこんな山奥に…?」
さっきの轟音に疑問符はてなを浮かびながらも周りを散策してみたが何も目立つものは無かった。10分ぐらい経過してからふと時計に目を移す。
(やっべ!!遅刻しちまう!!)
「学校終わりに来るから。またな!」
ガラガラガラッ!!
「高宮ッ!!遅刻ギリギリだぞ!!」
「すみません。(よっし!!間に合った!!)」
今日一日で一番つまんない時間が始まり出した。入学してから1ヶ月経つのに友だちがいない俺には地獄でしかなかった。
「高宮君。宿題は?」
「……あ、忘れました」
「明日持ってくるように。良い?」
「はい……」
この言い訳も何回目までもつかなぁ。
キーンコーンカーンコーン〜………
「放課か…行くか」
独りでぼそっと呟くも誰も反応しない…皆友だちがいて楽しそうだ。ただがむしゃらに走った。
「久しぶり!!」
もちろん応答は無い。今まで俺たちのために雨風凌いでくれたんだ。俺は家に持って帰ろうと和傘に手を掛けた……
「重ッ?!」
あまりの重量に驚愕したが、試行錯誤の結果肩に担ぐ事で楽に持ち帰ることが出来た。
「ただいま〜」
「おかえり」
いつもより足を高く上げて階段を駆け上る。
「さてと、綺麗にしますか。」
俺の掃除スキルで薄汚れた和傘はとても綺麗な紅色の和傘に変化した。
「綺麗な紅色というよりかはメタリックレッドって感じだな。やけに光沢感もあるしな……それに硬い。」
カチッ
「…?」
音が鳴ったと同時に傘が開き、平紙の真ん中の丸い模様が動き出した。
「君は………?」
「は?」
……真ん中の丸い模様は目だった。
「俺は高宮秋野」
「私は明星だ…………?」
和傘というよりかは機械みたいなこいつはどうやら俺の部屋を観察しているようだ。その目はまるで迷子の子供のような不安を宿していた。
「ここは世界で一番安心できるマイルームだ!!」
「お前は何であんな山奥にいたんだ?」
「………」
どうやら、こいつは記憶が無いらしい。唯一覚えていたのが明星という名前だけ……一体何者なんだ?
「ちょっと色々触らせてもらうぜ」
「別に良いが…?」
ずっと持ち手の部分しか触ってなかったから分からなかったが、こいつは機械だ。
「まぁ、とにかく行く当てがないなら好きなだけここにいなよ。家族みたいで楽しいし」
「良いのかい?!ありがとう!」
「ありがとうって嬉しいのか?」
「もちろんだ。君には感謝しているよ」
こいつ機械なのに感情があった。
「何か食いたいものはあるか?」
「石突きに充電口があるだろ。そこにコンセントを差してくれないか」
「あいよ」
「少し眠たいから寝かせてくれないか?」
「あいよ(寝るんだ)」
まぁ分かってはいたが機械だから食べ物は食べなかった。他にも色々話したかったがすやすやしてしまった。
「俺の新たな日常の始まりだな!!」
この日はいつもより心地良く眠ることが出来た。
「[N:2]の所在地を確認しました〜」
「すぐに捕獲してくれ…ちゃんとやるんだぞ」
「俺たちは同期だろ?一番俺の事知ってるくせによ〜」
「……だから言ってるんだ」
プツッ
「しかし、参ったな〜こりゃ」
(今回の捕獲対象についての情報は一切無し。しかし、[N:2]か……)
迫りくる影…秋野と明星の2人はどうなってしまうのか?!
次回…「資格」