5話 酷使とシャーマンゴブリン
牢屋に入った俺は、辺りを見渡した。
周りには、3人の男がいた。俺と同じように両手両足を結ばれた状態であった。
ゴブリンが去るのをみて、周りの人たちに話かけてみた。
「あの、話しても大丈夫ですか?」
しかし返事は返ってこなかった。
もう一度話かけてみる。
「これからどうなるんでしょうか?」
するとこれにはかほそい声でがたいのよい男が返事を返してきた。
「毎日毎日、切り刻まれるか奴隷のように酷使されるんだよ」
旋律を覚えた。毎日今回のように切り刻まれるか酷使させられるのかと。しかしふと疑問に思ったことがある。酷使とはいかなることをやらされるのかと。
疑問に思っていたところに、ゴブリンが目の前に現れた。手には、食べ物があった。それを牢屋の中に投げつけた。すると、周りにいた男達は一斉にその食べ物を口にくわえて食べ始めた。
食品がなくなると思い、俺も食べ物を口にくわえて食べた。
その光景を見ていたゴブリンはほくそえんでいた。
食事を終え、ゴブリンどもは去ったので再び牢屋にいた人たちに話しかけたが、返事は一切帰ってこなかった。
ある程度時間が経つとウトウトして俺は眠りについた。
翌朝、目を覚ますとゴブリンどもが目の前にいた。またしても手にもっていた食べ物を牢屋に放り投げた。俺はまたかぶりついた。
最悪の食事が終わると、ゴブリンどもが牢屋の中に入り、両足の縄をほどいた。
歩けるようになった俺を含めた男4人を連れだした。
向かった先は行き止まりの場所であった。俺たちはゴブリンから手渡されたピッケルみたいなものをつかい、洞窟を掘り進めさせられた。
ピッケルを使ってゴブリンに反撃してもよいと思ったが、ここはゴブリンしかいない洞窟だと思い反撃するのをやめた。
洞窟を掘り進めて7、8時間が経った。俺はへとへとだった。すると再びゴブリンどもが俺達の両手に縄をかけて牢屋に連れて行かされた。
再び牢屋に入り、1時間くらい経つとゴブリンどもが食べ物を牢屋のなかにほうり投げた。俺たちは食べ物をかぶりついた。
食事が終わると昨日と同様話かけてみた。この洞窟内でどのように過ごしてきたかさらに聞き出すことや脱出方法についてはさんざん昨夜聞いても返事がなかったので控えた。
俺は、魔法のことについて聞いてみた。
「昨日、切り刻まれる部屋で回復魔法を使うゴブリンを見たんですが、魔法を使えるゴブリンなんているんですね?」
「ゴブリンにも魔法を使えるゴブリンいるよ。あと、そういうゴブリンをシャーマンゴブリンというんだ。」
意外なことに返事が返ってきた。昨日話した人とは違う人だった。その人は、他の人と違い穏やかそうな人だった。
「ふん、流石はゴブリンを研究しているだけあって、ゴブリンの種類にも詳しいな。ゴブリン博士。」
昨日話したがたいのよい男がつぶやいた。
「ゴブリンに詳しくても、つかまってこき使われているようでは世話ないけどな。」
目つきが悪いもう一人の男もつぶやいた。
「そうなんですよね。もう少し、注意しておくべきでした。」
「もう反省しても今更遅い。だが、自分も人に言えたものではないがな。」
この牢屋のなかにいる全員、思いあたるふしがあるのか黙ってしまった。
自分としては、ゴブリンに詳しいゴブリン博士からさらに聞きたい情報があったので沈黙を打ち破り話しかけた。
「ゴブリンシャーマンは見たことがなかったのですが、他のゴブリンと同様に生まれるのですか?」
「いいえ、それが少々違います。」
「それはどこがどう違うのですか?」
「すみません、ゴブリンを生み出す方法についてはあまりいいたくはありません。ただ、ゴブリンシャーマンを生み出すには、魔法使いの女性が必要です。」
俺は、その発言を聞いて色々と察しがつき、それ以上ゴブリンシャーマンを生み出す方法については聞かなかった。
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