4話 捕虜に対する最初の断罪
目の前には、ゴブリンの群れがいた。
森でのことを思い出して、頭を触ろうと手を見ると両方の手首に縄がかけられていた。足も確認してみると、両足にも縄がかけられていた。
だが、両手に縄をかけられていても頭を触ることができると思い、頭を触り両手をみると手に赤色がついた。
俺は、赤い手と目の前のゴブリンの群れで思わず叫んでしまった。
「うわーーっ、なんなんだこれは、一体何がおきているっていうんだーーっ!」
自分の現状に恐怖を感じて思わず叫んだ。その叫び声に気づいてゴブリンがこちらに向かってくる。
ゴブリンが向かってくることではっとした俺は、自分の現状を振り返る。
意識を失っていたこと、洞窟の中にいることそしてゴブリンの群れこれらを結びつけると、今自分はゴブリンに洞窟までつれてこられたことが紐解ける。また、これからやられるであろうむごたらしい惨状も・・・。
こん棒を持ったゴブリンどもが自分に近づいてきてこちらをニタニタ笑いながら見ている。
ふと一匹のゴブリンがほかのゴブリンに話しかけた。
「ぎぎ・・がががががーーっ、ぎぎぎぎぎ」
「ががががが、ぎぎっ、がががががが」
「ぎぎぎーーーっ!」
ゴブリンの言語で話しているから何を言っているのかさっぱりわからない。
だがよろしくないことを話していることはなんとなくわかった。
逃げられないので、ゴブリンどもを見た。もしかしたらテイムできるのではないかと思った。
テイムの方法は、相手に両手をかざしてテイムと叫べばよいらしい。
俺は早速両手を広げてゴブリンに向かって叫んだ。
「テイムーーーーっ!」
「土下座しろ!」
だが、案の定ゴブリンは土下座をしなかった。
まあ、そりゃそうだよなとこころのなかでつぶやいた。
ゴブリンは俺が叫んだため、最初は身構えたがなにも起きていないと知ると、爆笑していた。
「がばばばばばばばばっ!」
「ばばばばばががっ!」
ゴブリンどもは少しの間、爆笑していたが、少したったらおさまった。
そして、俺の頭を掴んできた。
「痛い、やめてくれーっ、許してくれーっ!」
俺は叫んだがゴブリンどもは気にせず、頭をつかみながら別の場所に移動させられた。
その部屋をみて思わず愕然とした。
なぜなら、部屋の中にいた人は剣で切り刻まれていたからである。
部屋に入ったと同時に、ゴブリンは俺を部屋の中央に放りなげた。
すると、放り込まれた俺に気づき剣を持ったゴブリンどもが近づき俺を切り刻んだ。
「うわっやめろ、やめてくれ、痛い痛いよーっ」
あまりの痛さに叫んだがゴブリンどもはやめず切り刻んで来る。
「もうやめてくれ、なんでもいうこと聞きますから、ゴブリン様ーーっ!」
ゴブリンどもはなお辞めず、俺は意識を失いかけそうになった。
その時、突然魔法使いの帽子をかぶったゴブリンが近づいてきて、何かを唱えだした。
「ぎぎむぎぎむえっがぎむ!」
すると、俺は意識を取り戻した。それどころか切り刻まれた身体の傷がみるみる消えていったのだ。そう、このゴブリンは回復魔法で俺の身体を回復させたのだ。
だが、その時俺は頭の片隅に恐ろしい考えが浮かんだ。
もしかして、・・・何回でも切り刻んで、楽しむために、回復させたのではと・・・。
俺の予想が当たったのか、ほくそ笑みながらゴブリンどもはまた切り刻んできた。
「ぎゃーっっっっ!」
俺の大きな叫び声は部屋に響いていた。
一連の行為が終わると、俺は部屋から出され、牢屋みたいなところに移されたのだった。
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