2話 10年後の現状
能力査定で、ゴブリンテイマーと能力が決定して、10年が経過した。
生活はというと仕事以外の面ではほとんど困りごとはない。いまのところは普通に生活できている。しかし、仕事をするとなると問題が生じる。なぜなら、この世界の仕事は自分の能力を用いて仕事をするからである。
例えば、冒険者なら攻撃性のある属性の魔法が使える能力を所有していたり、身体能力をずば抜けてあげる能力を主有していたり、強い魔物をテイムしないと殺される可能性が非常に高いからである。
ほかにも、農作業を行う仕事においては農作物の成長速度を速める能力が求められたり、飲食店では食事の手作業を手助けする能力が求められたりしている。
能力が皆無の状態では、仕事の求人は少ないのである。将来のことを考えると不安がでてきた俺は、ゴブリンをテイムして何らかの仕事に就きたいと思った。
勿論、俺はやりたい仕事がある。それは、冒険者だ。理由は、冒険者になって世界中を探検したり、強い魔物を狩ってかっこいい姿をみせ、みんなにあこがれる存在になり、ゆくゆくはお姫様と結婚して王様になりたいという願望をもっている。
街の裏路地を歩きながら、将来なりたい願望の姿を想像してときめいていた。しかし、自分に与えられた能力がゴブリンテイマーと考えると現実に戻された。さらに、目の前にいやな5人組がいることに気づきため息がでた。
その5人組は俺に気づくと近づいてきた。そのうちのひとりがつぶやいた。
「よう、おまえこんなところで何してんの?」
「買い物だよ」
「フーン、買い物ね。なら買うためのお金は持っているよな」
「うん、持っているけど・・・」
「ならその金よこしな、まさか歯向かったりしないよな、なんせお前は能力なしと変わらないんだから」
男がそうつぶやくとまわりの連中はゲラゲラ笑っていた。
この男は近所にいる同い年のやつで能力は身体向上、俺の能力がゴブリンテイマーだがゴブリンをテイムできないことをしっているため、いつも俺を脅してくるのだ。
「おい、何をだまっているんだ。早くよこせよ。」
俺は、いつもいつも金を獲られてきた。毎回我慢していたが、このままではいけないと思いとっさにつぶやいた。
「い、・・・嫌だ。・・・これは買い物するための金だ。いつもいつもお前に渡したりしてたまるか」
「そうかよ、なら痛い目にあいたいということだな。」
そういうと5人の男たちは一斉にリンチしてなぐったり、けってきた。
何もできずにいたおれは、ボロボロになり、お金も奪われた。
「けっ、最初からお金を渡しておけばよかったのによ」
男はつぶやいて去っていった。
ボロボロになった俺は、仰向けになり空をみやげ自分の非力で哀れな惨状に涙が出そうになったが、涙をこらえてあいつらをコテンパンにする力を身につけてやると思い、すぐに立ち家に向かった。
家に着くと母がいた。ボロボロになった俺を見て、
「どうしたのウィルソン、またボロボロになってなにがあったの」
「う、ううんなんでもない。ただ、排水溝に引っかかって、転んでお金を落としてしまったんだ。本当にごめん」
「そ、そう前にもこういうことがあったはね、次こそは排水溝に引っかからないようにしなさい。」
「はい、わかりました」
当然そんなボロボロの状態なのだから転んだのではないとわかるとおもうが、母はそれ以上なにも言わなかった。
俺としてもいじめにあいお金を取られたとは言えずその場をさり、自分の部屋に入った。
部屋に入ると俺は自分の無力さと屈辱でいっぱいいっぱいになり、部屋にあった剣と、胸につける防具と盾をもってすぐ部屋と家を飛び出した。
ゴブリンに出会いテイムして、自分の今の惨状から抜け出すために・・・
俺はゴブリンがいそうな街の近くの森に向かった。
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