10話 襲撃の段取り
夜になった。壁に掛けられた、たいまつの火のおかげで、洞窟の中の牢屋の周りは薄暗い程度だ。
牢屋の監視役についているゴブリンは2匹だった。
ゴブリン2匹は牢屋から少し離れた位置にあるテーブルとセットのイスに座っていた。
テーブルには砂時計みたいなものと木製のジョッキが置かれていた。
牢屋の中は、目つきの悪い男とがたいのいい男は寝ている。ゴブリン博士と俺はゴブリンどもを制圧するため、寝ているふりをしながら起きていた。
俺は、ゴブリン博士にいつ襲撃するか小声で話した。
「ゴブリン博士今すぐ襲撃しますか。それとももう少し待ってから襲撃しましょうか?」
「もうちょっとだけ待ちましょう。理由は、ゴブリンの監視役が交代する時間だからです。」
ゴブリンの監視役は交代制で、ある時間になると交代することになっていた。
交代する時間を確認する方法は、砂時計の砂が全て下に落ちた時である。
テーブルに置かれた砂時計をみるとほとんどの砂が下に落ちていた。
交代するときに今いるゴブリンの監視役は新しくくる監視役のゴブリンと交代するため、現在の状況を伝えるためか話し込む。そのすきをつきテイムするのだ。
ゴブリン博士の言う通り新しい監視役のゴブリンが来てから襲撃したほうが良い。
「わかりました。では、新しい監視役のゴブリンが現れたら襲撃を開始しますね。」
「ただ、襲撃する前の、今だからゴブリン博士に伝えたいことがあります。」
「何を伝えたいんですか?」
「俺の名前です。まだ名前を言っていませんでした。」
「そういえばそうでしたね。私もまだ本名を伝えていませんでした。」
「では、改めて俺の名前は、ウィルソン・ジョージです。」
「ゴブリン博士もとい私の名前はエイブ・スミスです。」
「よろしくお願いしますエイブさん。」
「こちらこそ、よろしくお願いします。ウィルソンさん。」
二人は自分の名前をあかし、結束力を少しだけ上げたのである。
交代するゴブリンをテイムした後の段取りも再確認していく。
「あと、交代するゴブリンをテイムしたあとは、切り刻まれる部屋までテイムしたゴブリンに連れていかれる形で向かいますね。」
「はい。切り刻まれた部屋に到着したら、テイムして待機させているゴブリンどもを連れて、大勢のゴブリンがいる部屋へゴブリンにつれていかれる形で向かいましょう。」
「了解です。俺の魔力量なら大勢のゴブリンをテイムできると思います。また、混乱に乗じてエイブさんが牢屋の中にいる他の人たちを開放して、洞窟から全員をだせば成功ですよね」
「ええ、その通りです。しかし、途中ですきをついて襲ってくるゴブリンはいると思います。その対策のためテイムしたゴブリンを使い守らせるようにしましょう。」
「わかりました。」
段取りの再確認が終わった。同時に砂時計が完全に下に落ちた。ゴブリンの交代する時間だ。
ガチャン
牢屋の部屋のドアが開かれる音がした。
よし、襲撃開始だ。
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