攻略レベル1「幼馴染」III
依頼人との話を一通り済ませると早速作戦会議に取り掛かるために円卓の広間に集まった。円卓の広間とは無論、うちのリビングだ。
今は闇の力でリビングと現実世界を別次元に移しているため、家族が来ても心配はない。
「これはどういうことだ?」
腕を組み、俺はこの目を疑う状況に首を傾げずには居られなかった。
「申し訳ありません京太様。確かに皆のものには連絡をしたのですが‥‥わたしにもこの状況は分かりかねます。今一度連絡しますので少々お待ちを」
「その必要はないわ」
ポケットよりスマホを取り出そうとするウサギの行動を何者かがたった一声で制止させる。それはウサギの意志とは関係ない、強制的に行動を中止させられたのだ。
「その声はルナ、君か。必要がないとはどういう意味だ?」
コイツはルナ。俺が死んで契約する前から死神に仕えているメイドだ。一度死神がお試しということでルナとやり合ったことがあるのだが、魔力と身体能力の差でボコられたことがある。
「どういう意味?それは私に質問をしているのかしら?この短期間に随分偉くなったわね、死になさい」
「一回の失言で極刑か。それもお前の主人が命じたことなのか?」
「いいえ、あの方の意思とは関係のないものよ。これは私の私情。さ、死になさい」
「そこまで言われると流石に俺も傷つくぞ?それで本当にどういうことなんだ?我が従属達がここに集まっていないのはお前の仕業と見ていいんだな?」
若干の苛立ちを込めると、ルナはため息を吐いて俺の問いに答えた。
「えぇそう。ただこれはあの方の命令よハデス」
「なに?」
「あの方はこう仰っていた。4人の従属を従わせ、下級悪魔に匹敵する魔力を蓄えた貴方の力を見定めたいと、だから今回はそこの従者1人と貴方で解決して見せなさい」
「死神の奴め‥‥いつもの気まぐれを発動しやがったな?」
「気まぐれではないわ。言ったでしょ?これは貴方の存在価値を見定めるためのもの。あの方の力を借りといて、多勢に無勢でしか勝てない雑魚なら殺せと命じられているわ」
ルナは空間からナイフを一つ引き抜くと、ハデスに向けて銀刃を光らせた。
「なるほど、了解だボス。まぁ従者はあくまで俺のサポート。あいつらが居なくてもなにも支障は生じない。アンタは黙って俺のいつも通りの仕事を見て、その成果をあの方に報告しろよ」
「ほんと減らず口を吐くようになったわねハデス。あの方と契約する前の貴方はもっと素直で可愛げがあったわ。少しは以前の自分を見習いなさい」
「残念だが俺はもう二度と昔の自分に戻るつもりはない。圧倒的な力で他者を陥れ、復讐を果たす今の俺こそ本当の自分だ」
そう言うとルナは俺に視線を合わせず指を鳴らすと、この場の闇に溶け込みこの場を去った。
「どうしますか京太様。彼女達が使えない今、作戦も大まかに変更する必要があると思うのですが‥‥‥」
「いや作戦はこのままでいい。この一件をクリアするのに必要な条件がスピードアタックに変更されただけだからな」
時と場所は変わって午後18時、場所はホテル街の路地の一角。毎週金曜日にターゲットである伊藤弘樹は桜坂綾乃を連れてここを訪れる。
「そ、それで?どうしてあの人はここに居ないんですか?えっと‥‥‥」
「ウサギです」
「う、ウサギさん。もしかして僕見捨てられたんじゃ?」
「安心して下さい山崎さん。きょ———ハデス様は救いを求める相手を見捨てる方ではありません。貴方は立てた計画通り動いてくれれば大丈夫ですから」
山崎は緊張で震える体を抑えながら彼らの到着を待つ。ウサギは緊張を解ほぐしてあげようと痙攣する肩にそっと手を添えた。
「綾乃さん‥‥取り戻せるといいですね」
「あ‥‥っ。そうですね、必ず取り戻します」
昨日の京太様との話を思い出したのか、山崎さんは震える体を鎮めるために左拳を胸に当て、2度深呼吸をした。
——————すると
金髪のチャラめの男が華奢でスタイルのいい女性の腰に手を回しながら、ホテル街を歩く姿が2人の目に映った。
「あ、あれ!間違いないです!綾乃ですっ!」
ウサギはスマホをスクロールし、写真に写る男女とお互いに身を寄せながら歩く2人を見比べる。
「確かにあの2人で間違いないようですね。では山崎さん、私も与えられた使命を果たすためここから離れます」
「あ‥‥はい。わかりました」
「山崎さん」
不意に名を呼ばれた山崎はふと顔を上げる。
「カッコいいですよ。愛する人を守るために自身の恐怖を断ち切っても向かおうとする貴方は。必ず、綾乃さんを取り戻しましょう」
ウサギは優しく笑みを浮かべると、踵きびすを返して持ち場に向かった。
「はいウサギさん。ありがとうございます」
男は見据える1つの希望に向かってその一歩を踏み出した。
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「なぁ綾乃。今日はさ、ゴムなしでやんね?」
「えー?でも、出来ちゃったらどうするのー?」
豊満な胸を男の腕に絡みつかせながら女は訪ねる。
「大丈夫だって。もしデキちゃっても責任取るし?それにさゴムあるとないとじゃ快感。全然違うぜ?」
「き、気持ちいいの?じゃあ————うん、いいよ」
赤く頰を染めながらそいつは俺を受け入れた。
ふん。こいつも所詮俺の犬、この世界の女は全て俺の雌犬だ。
それを最近自分自身で気づいた。
自慢じゃないが俺は勉強もできるし、運動神経も抜群。うちの学校はサッカー部の強豪校で全国はいつも常連だ。そんなチームの中で俺はキャプテンを務めてる。
だからたまに思うことがある。神は俺に二物も三物も与えていると。
サッカー部強豪校のキャプテン。そんな肩書きがあるからか学校じゃ数多の女が俺に寄ってきた。
まず初めに付き合ったのは読者モデルをしてるっつうスタイル抜群の女。付き合って3日目にキスをして、5日目に◯ェラ、そんで1週間目に彼女の処女膜を破ってやった。
次に寄ってきたのは文化祭でミスコンでグランプリを取ったアイドル系の女子だった。前の女ほど上玉じゃなかったが、とにかく胸がデカい。そいつは文化祭の終わりに後夜祭で告ってきたから、俺は1つ条件を出した。
学校の連中が花火だのキャンプファイヤーだのと騒いでる中、俺は丁度奴らが騒いでいる真上の教室でそいつを犯してやった。もちろん窓に手を付かせてヤッたから上を見上げたら俺たちの姿も見えただろうさ。
そうやって女を作っていくうちに両手じゃ数えきれない俺は女を抱いてた。これでも十分満足いくはずなのに、環境に変化がないからか少しずつマンネリ化していった。
俺は今日もチアリーダー部の部長を腰に抱きながら暇を潰していると、アイツは現れた。
仲睦まじく手を繋ぎ、初々しいカップルが校門の前を歩いていた。
そいつの名は桜坂綾乃。前々からスタイルも良くて抱いたら気持ちよさそうとは思っていた。しかし男の方はなんだ?ヒョロヒョロしてて弱そうな陰キャじゃねぇか。もし俺がアイツだったら—————
そんなことを考えていると、俺は1つ考えが頭をよぎった。
そうだ、あいつも俺のモノにすればいいんだ。
体に快感を覚えさせて、俺から離れなくさせればいい。
そう思い俺は早速行動に出たが、そっからはまぁ早かった。
綾乃は陰キャと幼馴染でなにかと深い縁があって結構苦戦したところもあったが、結局綾乃は俺に堕ちた。
今じゃホテルに入るなりすぐ俺の下半身を舐め回す奴隷だ。
初めはレイプをするようにしなきゃ開かなかった股も今じゃすぐに俺のモノを受け入れる。
所詮女なんてのはたった一回体に快感を覚えさせればヒィヒィ言う雌犬。
そう——だからこの世界じゃ全ての女は俺の雌犬なんだ。
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「ハデス様、ターゲットがここに」
「あぁわかっている。速やかに計画αに移れ」
「かしこまりました」
闇のオーラを身に纏い、ビルの屋上から今回の家畜を見下ろした。
「さて、今回はどのように調理してやろうか」