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ご令嬢は真紀の話に耳をかたむける

作者: 下昴しん

 侯爵の娘、エリー・ベルト・フォン・フェルセンは浴室で綿の肌着を脱ぐと、大理石の浴場に入って水を浴び汗を流した。

 大理石の白と見まがえるほど美しい肌は、水を弾き、長い黒髪を艶めかせる。

 広い室内には観葉植物や噴水があった。大浴場の広さだが、エリー以外の人影はない。

 これほど広くする必要はなかったと、エリーはいつも思うのだが、父が疲れを癒すことにこだわった結果だった。


 朝日が天井のステンドグラスから入り、石畳をアゲハチョウのように彩る。

 ふと、そのさきの噴水の水しぶきに目をやると、だれかが映っていることにエリーは気づいた。


「だ、だれだ……!」


 人影は左右に動き、明らかにエリー本人ではないことが分かった。


「ここは、フェルセン家の浴場だぞ!」


 男勝りのエリーもさすがに胸をはだけた状態で対峙できず、その場でしゃがみ込み噴水とは逆の方を向いた。その場から逃げなかったのは、どんな者であろうとフェルセン家の敷地に勝手に入る輩は成敗しないといけないと、父ゆずりの負けん気があったからだった。


 すると噴水から声が聞こえる。まるで舞踏会場のようなホールに響く声だ。


「あ、あれ! もしかして、繋がった……!?」


 若くたどたどしい、女の声が響く。


「もしかして、貴方は……エリー・ベルト・フォン・フェルセンですか?」


 女の声は震えて、動揺していた。エリーは濡れた横髪をかきあげて、噴水の残像に目を凝らす。

 ステンドグラスの光のように、鮮やかな服を身にまとっている女の子が、女神のように宙に浮いている。


「お前はいったい何者だ! この無礼者!」


 エリーが怒るのは当然で、この時代の観念上、裸を見られることは一生だれとも婚約することができなくなることを意味している。政治に関わる家系であれば、なおさらだった。貞操という観念が、武器になる政治の世界に、エリーは身をおいていた。


「も、申し訳ありません。まさか、風呂に繋がるなんて……。私は、あなたの本を読んでいる真紀と申します」


 眉間に皺を寄せるエリーは、目の前の美しき亡霊が実体であれば、裸など気にせず、殴りに行っていた。


「真紀……、そんな名は知らん!」


 その時、微かに稲妻のような光が噴水から飛び出し、真紀と名乗った亡霊が消えかける。


「え、うそ! もう切れかかっている?! エリー様! 私、あなたの大ファンなんです! その男勝りな強さと、どの姫君より美しく整った顔! 本では悪女役ですが、私は本当のあなたを知っています」


 太陽の光を雲が遮り始め、地面のアゲハチョウは光を弱める。浴場全体が暗くなり、エリーはどこか冷え冷えとした空気を肌に感じた。


「どうしても伝えたいことが――」


 エリーは真紀の話に耳をかたむけた。


***


 噴水は光を失い、真紀はもう二度と現れないとエリーは直感した。

 体を起こした瞬間、浴室のガラス戸が勢いよく開く。

 甲冑をきた兵士が五人ほど浴場に押し寄せてきた。

 白い大理石は泥まみれの兵士の靴で茶色に汚され、帷子(かたびら)の錆びた臭いと外気がエリーのもとまで漂ってくる。


 観葉植物の大きな葉をちぎって、エリーは肌を隠すと、帯剣した兵士の喉を叩いて横転させる。


「お前らは何者だ! ここをどこだと心得る!」


 泡を吹いている倒れた兵士をみると、続く兵士は立ち止まった。


「我々は第一皇子、カルロス様の命令であなたを国外追放するためにきました」


 国外追放……エリーは愕然とした。その言葉に心当たりがあった。

 噴水をみやると、このことを予言をした真紀という亡霊の姿はやはりもうない。


「理由は」


「……淫猥な行為により、貴方が魔女であると賢老議会で認定され、国外追放の罰が妥当という判断になりました」


 『認定』とはバカバカしい。賢老議会には権力者にへつらう、耄碌した老人しかいないことをエリーは知っている。そしてエリー自身が、第一皇子カルロスの反感を買っていることを薄々知ってはいた。


 カルロスには溺愛する妹がいる。

 その妹とエリーは同じ学年の士官学校に通っており、同じ教室で学んでいた。


 この国は他国と戦争をしており、王や貴族の女性であっても、戦や軍に関する基礎的な知識を学ぶことは、婚姻後に使用人を扱う上で必要な知識であった。

 エリーは男勝りな性格ゆえに、カルロスの妹をフェンシングの試合でコテンパンにし、それ以来カルロスの妹はフェンシングに対してトラウマを持つようになっていた。

 カルロスの妹も負けず嫌いなところがあり、様々な競技でエリーに挑むが、すべて返りうちにするエリー。学園内で、もはやエリーに歯向かうものはいなくなる。


 しかし才色兼備なエリーを陰で悪女と嫉妬する者も現れ、あらぬ噂も流れるようになっていったのだった。


***


 エリーはタオル一枚に身をくるみ、街道を歩かされていた。

 肌を見せれば婚姻相手はいない。そんな時代に、綿の織物一枚で昼間の市場を馬に引かれ罪人として見せしめにあう。

 エリーは涙が流れた。両手を縄で結ばれて、馬に引かれているので、きちんと拭うことはできなかった。

 学園で最も美しいと言われた黒髪は波をうって、街道の子供が魔女だと指さす。


 町が丘から見えなくなるまで裸足で歩くと、馬が停止した。

 兵士が下りてきて、エリーの首を掴むと道端に押し倒す。


「……俺の妾にしてやろう」


 なんでこんなことになったのか。

 私は何も悪いことはしていないのに……。兵士はエリーを隠す布切れを奪おうとして手を伸ばす。

 エリーは両手の縄を兵士のクビに巻いて、締め上げると、縄に手を伸ばす隙に股間を蹴り上げた。


 兵士はまるで石像のように膠着し倒れて失神した。

 縄を外すと、手首が赤黒くうっ血している。

 おさえると、痛みが肩まで上がってきた。エリーは兵士から服と剣を奪い、街に戻る。


 真紀が言っていた、第二皇子セナのもとへ。


***


 町はずれの軍事施設。荒々しく削り出された看板に訓練場の文字。

 エリーは兵士の恰好で、開いている門を通った。


 柵のなかで男たちは訓練し、怒号が飛び交っている。

 兜をかぶっているエリーは、長い髪を鎧の下に通していたので、女性とは分からなかった。


「おい、お前、訓練生か? 若いなあ、見たことない顔だな?」


 鋭い目つきの男がエリーの肩を掴んだ。エリーは反射的に手を取り上げてしまう――心はまだ現状を整理できていなかった。

 男が触ると体が勝手に動いてしまう。


「お? 威勢がいいな」男はエリーの袖をつかんで力強く引き寄せると、エリーは自然に腰を低くして、男の胸元に入りこむ。そして男のもう片方の袖をつかんだ。

 男は意図せず、エリーの背中に乗ってしまうと、ぐるりと宙で回転させられ地面にしりもちをついた。


「……まいった」


 やってしまった後、エリーは自分のしたことに目を丸くした。ほとんど反射的に体が動いてしまったのだった。しかしそれよりも、周りの空気がピンと張りつめたことにエリーは気付いた。


 前髪をかきあげて笑顔になると、男は立ち上がりエリーと握手する。

 

「君強いね! ちょっとお手合わせ願おう」


 男のヒスイ色の瞳と目が合い、エリーは気付いた。


「第二皇子セナ様ですか?」


 セナはバツが悪そうに、頭を掻くと木刀を投げ渡す。


「……ほら、甲冑は脱がないの?」


 もし女性に投げ飛ばされたと分かれば、セナに悪評が立つかもしれない。エリーは兜と甲冑を着たまま構えた。

 ――真紀は言っていた。エリー様が貴族に戻れる可能性として、ひとつだけ方法が。それは第二皇子のセナ様に気に入っていただき、できれば結婚すること。その才覚がエリー様には必ずあります――


 エリーはセナと向き合って内心、おもしろく思っていた。

 士官学校では男と戦うことは禁じられていたが、軍神と噂されているセナと戦えることは光栄であり、自分の力を試してみたかったからだ。


 セナは一瞬に間合いをつめて、斬り込んでくる。その速度は今までの対戦してきた相手――指南役すらも超える速度だった。

 薙ぎ払い、受け流し、鍔迫り合いをして、エリーは防戦一方となる。


「甲冑を脱がないからだよ」


 近づけた顔でセナはウインクすると、エリーの心臓は高鳴る。男性をこれほど近くで見たのは父親以外いなかった。


「あれ、君は?」


 セナは犬のように鼻を動かすと「女?」とつぶやく。

 エリーは焦って、力任せにセナを鍔で押して体を弾くと、セナの手元を狙って打ち込む。

 一刀一刀が木くずが飛び散るほどの強打で、セナの木刀は中腹からへし折れた。


「まいった!」

 

 猛攻するエリーに片手を突き出して止めるセナ。見ていた兵士たちは、感嘆の息を漏らして拍手した。


「こっちに来てくれ! すぐに入団手続きをしよう」


 セナはエリーを宿舎に案内した。

 宿舎には天幕が張ってあり、部屋のなかはセナとエリーだけだった。


「君は、フェルセン家のご令嬢では?」


 エリーは兜を脱ぐと、セナは確信したようにうなずいた。


「セナ皇子。どうか、カルロス皇子を止めてください」


 膝をついてエリーは頭を下げた。


「どういうことだ、話を聞こう」


 セナはカルロスという単語を聞いた途端に、声色が変わり背を伸ばす。エリーはセナの険しい顔に一瞬狼狽えた。


「私はカルロス様に魔女の烙印を押されて、国外追放となりました。淫猥な行為をしていると、いわれのないことで一方的に賢老議会で決めつけられました。おそらくはカルロス様のご令妹(れいまい)を無下に扱った仕返しかと。しかし、それだけでこの仕打ちはひどすぎます」


 しばらくセナは顎に手をやって考え込むと、柔和な表情に戻る。


「エリー殿、もう大丈夫です。よく、ここまで来てくれました」


 セナは優しい口調になるが、すぐに眉をしかめた。


「……ただ、エリー殿にはつらいかもしれないが、伝えておかなければいけないことがあります」


 背を向けるセナを見てエリーは心の中がざわつく。


「フェルセン侯爵が亡くなられました」


 エリーは口を覆って、声がでないように気持ちを制する。しかしどうしても目に涙が溜まっていった。


 侯爵はエリーの唯一の親族だった。つねに遠い地で職務に従事して、国を守っていたが、まさかこういった形で父の死を知ることになるとは思っていなかった。

 カルロスが突然に魔女裁判を開いたのは、エリーの後ろ盾がなくなったことを見越してのことだったのだ。


「私は兄のしたことが許せません」


 セナはエリーを慰めるために言ったわけではなかった。

 エリーの件以外にも、カルロスの暴挙はいくつかあったのだ。セナは意を決すると、軍神と噂され、敵も慄いた恐ろしい表情に変わる。


「……エリー殿、私と一緒に先陣を切り武功を重ねましょう。大丈夫です……私があなたを命に代えても守ります」


***


「私が囮になって敵を攪乱する。その間に敵の武将を討ってくれ」


 セナの馬が襲歩で右翼と併合すると、そのまま敵につっこんでいく。

 この国の最高兵力を誇る近衛兵はエリーのもとにあった。


 セナにはカリスマ性があった。

 小隊のなかにセナが入ると、一つの生き物のように動き、近衛兵のような強さを敵に見せつける。

 敵はセナにかかりきりとなったところで、エリーは馬の速度をあげた。


 近衛兵たちが鉄壁の守りでエリーを守る。エリーのバネのような、伸びのある攻撃は、敵の兵を一太刀ごとになぎ倒していく。

 セナを超える火矢のようなエリーの攻めは、苛烈を極めた。

 

 敵の武将は刀をとる(いとま)もなく、天幕で追い詰められて降伏した。

 エリーは勝鬨(かちどき)をあげると、遠くのセナがそれに応える。

 セナとエリーは戦場でひとつになったのだった。


***


 王国の城は軍隊が常に出入りをしていた。エリーは鎧兜を装備したまま城門を通る。隣にはセナの姿があった。

 セナの軍は攻め寄せる敵軍の主力を悉く打ち破り、褒章の授与と謁見の機会を与えられたのだった。エリーは身分を隠したまま、セナの右腕の武将として同席が認められた。


 エリーとセナは謁見の間に通され、列席に向かい合う形で並ぶ。高みに玉座があり、その背後から神と勇者をモチーフにしたステンドグラスが、赤い絨毯に影を落としていた。

 エリーたちの向かい側にも皇子が座るであろう席が設けられて、貴族や元老と思われる人々が集まりつつある。

 そこに第一皇子カルロスが現れると、みな跪いて頭を垂れる。


 カルロスの表情は温和で、鼻の下に柔らかそうな茶色の髭を生やしている。赤と青の格子状のマントを羽織り、頭にはシロツメクサの文様が光る小さな王冠を被っていた。

 エリーは密かに顔を下げながらも、カルロスをじっと睨み続けている。憎悪の対象はエリーが思うよりも弱々しく、女々しく見えた。


 カルロスが席に着くと、やがて誰よりも高い位置に設けられた玉座に王が座る。


「これより授与式を始める。敵の主力軍である武将を討った第二皇子セナ、王の御前に」


 セナは返事をして立ち上がり、王の前に立った。王の代わりにカルロスが席を立ち、臣下がもつ勲一等のメダルを手に取る。


 カルロスがセナの前に来ても、セナは跪かなかった。


「私はこの汚れた手で勲章を頂きたくはありません」


 セナはカルロスを(いか)った目で睨むと、カルロスは一歩さがり眉をひそめた。

 臣下は「無礼者!」と怒鳴ったが、ピクリともセナは動かない。


「誠に恐縮ですが、謁見できる貴重な場をかりて上申させていただきたい」


 謁見の間に家臣たちの声が響く。騒然とする中で、王は微動だにしなかった。


「第一皇子カルロスは、ここにいるフェルセン家のご令嬢、エリー・ベルト・フォン・フェルセンを魔女の罪で国外追放しました」


 エリーは立ち上がり兜を取ると、カルロスは目を見開く。エリーが王を見上げると、王の影がゆっくりと動いたようだった。


「エリー嬢は私を頼り無罪を主張しました」セナが言い終わる前に、王が口を開く。

「カルロス、セナ将軍の訴えは真実か」

 王の野太く響き渡る声が天井から降り注ぐ。


「いえ! 全くの言いがかりです。……この女は侯爵の娘という立場でありながら、夜な夜な男どもと戯れて、肉欲に興じ男を弄んでいるのです!」


 この時代に女性が複数の男性と関係を持つことは罪に問われた。まして王族と関係がある貴族の部類であれば、王国の品格が問われることもあり、重罪となることもあった。


 エリーは拳を固く握りしめた。嘘、偽りがどうして、よどみなく出てくるのか。

 ここは謁見の間。そう言い聞かせて、高ぶる気持ちを抑える。


「エリー嬢は、夜な夜な男と遊んでいる……。それは大きな勘違いです」セナは自分の家来に合図をすると、一人の兵士が謁見の間に入ってきた。

 エリーはその男に見覚えがあった。


「この男は、エリー嬢とフェンシングをして負けています。夜な夜なエリー嬢は剣技を高めるため、男と試合をしていたのです。そうであろう、エリー嬢?」


「……はい。士官学校の女性では相手にならなかったので、未明に強そうな兵士に声をかけて試合をしておりました……」


「そこで負けた男どもが、酒場で嘘を広めた。そうだな?」


 広間の扉に狼狽えて立ち尽くす男が口を開く。「その通りです! 申し訳ありません……。エリー様、どうしても女に負けたことを認めたくなく、みなで画策して嘘を言っておりました。……本当に、申し訳ありません」


「嘘だ! その男を買ったのだろう!? セナ汚い真似を!」カルロスは居丈高に声を上げると、セナの胸を突いた。


「では、エリー嬢と戦ってみたらいかがでしょうか」


 セナは剣を抜くと、周りの臣下が歩み寄って、セナとカルロスの間に人の壁を作る。

 しかし、カルロスはその壁を押しやった。


「……いいだろう。貸せ」


 カルロスは褒章を床に落として、背筋をピンと張ると、エリーに対して剣を構えた。

 セナは目を丸くしているエリーにウインクする。


 女性はあくまで非力。カルロスの固定観念は揺らぐことがない。妹のように、女は口先だけで何もできない存在だと、カルロスは千載一遇のチャンスにめぐりあったと思った。

 

 しかしエリーが剣を抜いた瞬間、カルロスの右手にあったはずの剣は宙に舞い、落ちるとエリーの左手のなかにあった。


 あまりに突然のことで、謁見の間は時を失ったかのように沈黙する。

 カルロスは王を見上げて、膝を震わせた。


「……知らなかった! 知らなかったのです! 父上!」


 カルロスは無言の王から恐ろしいほどの圧力を感じていた。


「しかし、これだけではありません」

 膝をついたカルロスをセナは見下ろす。


「カルロスがエリー嬢を国外追放したのは、フェルセン侯爵を殺すため暗殺者を放ったからです」


 謁見の間が騒然とする。カルロスは下唇を噛んだ。


「快活なエリー嬢がいずれは真相を突き止めることを危惧し、カルロスはエリー嬢を国外追放した。フェルセン侯爵が亡くなってから、私は暗殺者を突き止めました」


「……もういい」


 カルロスは力なく項垂(うなだ)れると、石畳に手をついて嘆く。


「すべては王国のためだった。フェルセン侯爵は敵に味方の情報を送り、スパイ行為を繰り返していたのだ」


「……違います。兄上。フェルセン侯爵は敵と停戦を行うため、秘密裏に敵国に忍び込み交渉を続けていたのです。……兄上、城の中に居たまま重大な判断をしてはなりません。フェルセン侯爵は王国の基盤を支える重要な人物だったのですよ」


 コツン、と王が権杖(けんじょう)を鳴らす。


「皇子カルロス、おぬしは誤った判断により王国の忠臣を暗殺した。そして暗殺の証拠を隠すため、罪なき娘を国外追放した。その罪は重い――よって二十年間、塔に幽閉する。また、娘を裁判した賢老議会は解散。臨時議会の選出は第二皇子セナに任せる」


 王は立ち上がると、みな頭を下げ、カルロスを残して敬服した。


 新政権の実権は第二皇子セナが握り、カルロスは獄を抱き王国から忘れ去られる。



 軍神と言われたセナを讃える兵士たちを見下ろし、礼拝堂の高見台からセナが軍隊と民衆に手を振ると王国全体が歓喜の声に包まれる。

 セナの横にエリーが立つと、女神と流布された姿を見て、兵士はさらに鼓舞され女性たちは卒倒する。


 真紀の助言の通り、エリーはセナの第一夫人となるのだった。


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